- ベストアンサー
中国の愛国主義政策について
中国・共産党は、社会主義にもかかわらず、国内経済を大きく海外に開き、規制を緩和させるという、資本主義的な行動をとっているように思います。 これは、言ってみれば、近年の中国の脱社会主義的な動きです。 しかし、同時に中国では愛国主義政策が活発になっているようにも感じます。 これは、言ってみれば、近年の中国の社会主義的な動きです。 中国当局の思惑を読み説くうえで、この矛盾はどのように理解したらよいのでしょうか? 反中感情にとらわれない、公正な意見をお願いいたします。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
まずは、歴史的背景からはいっていきましょうか。 中華人民共和国は、戦後に毛沢東が率いた中国共産党が中心になって作った国です。 その思想は「マルクス・レーニン主義」でした。 そして、計画経済に基づいて最初は農業を続いては工業を中心に経済振興を図りました。 しかし、思ったような成果が上がらずに毛沢東時代が終わると鄧小平が権力を握ります。 鄧小平は、毛沢東時代の諸々の矛盾や失敗による影響を脱しようと改革を進めていきます。 主な改革内容は、中国共産党の一党独裁を堅持しつつ市場経済を開放しようというものです。 その結果、大きな経済成長を達成します。 しかし、ここでも歪みや矛盾が露わになり、結果として「天安門事件」という大事件がおこりました。 この事件は、知識人や学生が中心となり民主化を求めたのに対して、中国政府が軍事力でもって弾圧した事件です。 さらに東西ドイツの統合やソ連の崩壊とそれに伴う旧ソ連国家の民主化などを目の当たりとします。 この一連の事件・国際情勢の中で、こうした「民主化」の動きを封じ込めるのに、武力だけでは不可能であることを知ります。 そこで、「教育」にその可能性を見いだしました。 そして、1995年に「中国教育法」が制定され、そこで「愛国主義教育」が強化されました。 つまり、市場経済の導入に伴い中国共産党への忠誠心・服従心が低下してきた。 また、経済成長によって中産階級が台頭し始めたことで、民衆の政治参加意欲も増してきた。 しかし、天安門事件みたいに武力で無理矢理押さえ込むのは、国際イメージも悪いし何よりも国内が疲弊してしまう。 そこで、「愛国心」というどの国でも用いられているオブラートに包んで共産党一党独裁を受け入れさせたい。 そのために最も効果のあるのが「教育」である。 そこで、効果的な「教育」を行うための諸制度を制定・実地してきた。 ・・・と、まぁそういった背景があるわけですよ。 >これは、言ってみれば、近年の中国の社会主義的な動きです。 別に、「愛国主義教育」というのは、社会主義とは関係ありませんよ。 教育内容に社会主義的イデオロギーの植え付けがあるだけで、それをそのままま資本主義的イデオロギーに変えれば米国や日本が行ってる教育でもありますね。 まぁ、資本主義は愛国心よりも利潤追求の方が全面に出るために社会主義国よりも「愛国心教育」が薄いように見えますけどね。 そういえば、安倍内閣が3分の2という数の論理で押し通して可決した「教育基本法改正案」にも「愛国心」が全面的に押し出されてましたね。(まぁ、「道徳心、自律心、公共の精神」だとか「美しい国日本」だとかに言い換えてましたけど) 最後に、中国を理解する上で役に立ちそうなサイトやPDF文献が見つかりましたので、参考にURL載せて起きますね。 中国政治の仕組み http://kccn.konan-u.ac.jp/keizai/china/08/frame.html 中国共産党員の数と分析 http://www.21ccs.jp/jhand_websokuho/jhand_websok_02.html 愛国教育について(PDF) http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200412_647/064705.pdf
その他の回答 (2)
- zta35367
- ベストアンサー率50% (3/6)
少し長くなりますが、お付き合いください。 >中国・共産党は、社会主義にもかかわらず、国内経済を大きく海外に開き、規制を緩和させるという、資本主義的な行動をとっているように思います これはそうしないと国際社会で生きていけないからです。中国は日本を追い抜き、GDP(国内総生産額)で世界第2位になりました。世界中探しても今これだけ景気がよく、伸び盛りなのはインドと中国くらいでしょう。ですから中国は資本主義とか社会主義とかじゃなくて、この流れを利用して一気に世界中にシェアを広げたいわけです。中国は近年、日本の技術をパクって機械業でも進歩してきました。自分たちで考えたのではなく、日本からパクったので、値段を安くできます。値段が安いと、質の同じ日本製品より売れるに決まってます。そうした理由から海外に進出し始めたのです。 >しかし、同時に中国では愛国主義政策が活発になっているようにも感じます これには理由が2つあります。 1、近年、中国は世界でも有数の大国となったために、昔の日本のようにアメリカ、ヨーロッパから敵としてみられるようになってきました。そのためせめて中国人には自分の国に極端な愛国心を持たせないと国が持たないからです。 2、そしてもう一つは、中国共産党が国家を支配し続けるためです。中国は「言論の自由」も民衆にはないため、近年ノーベル平和賞を受賞した劉暁波さんのような活動家が増え、それに参加して民主主義を求める声が高まっています。しかしそういった活動に参加した人々は軟禁されたり、罰を受けさせられたりするため、国民の不満は高まるばかりです。中国政府はそういった活動から国民の目をそらさすために、極端な愛国感情や反異国感情を植え付け、更には尖閣諸島沖問題などを起こして、国民の不満を違う方向(日本など諸外国)へ向けようとしているのです。そうしないと中国共産党と中国という国が崩壊するから。 実際、中国はこれ以上民主化活動が活発化した場合、国家が滅びると思われます。そのため中国共産党は今、国民に愛国感情と反異国感情を植え付けるのに必死なのです。これが中国政府の方針矛盾の原因です。ですから今の中国という国家の繁栄面(GDP第2位)と危機面(民主化運動の活発)の二重構造からこの矛盾は必然的です。長くなりましたが、読んで頂いてありがとうございました。
お礼
話をくぎってお話していただけたため、とても分かりやすかったです。質問内容以外にも勉強になることが多く、本当に助かりました。
- Yelm
- ベストアンサー率19% (63/324)
>しかし、同時に中国では愛国主義政策が活発になっているようにも感じます。 >これは、言ってみれば、近年の中国の社会主義的な動きです。 愛国主義は別に社会主義とは直接の関係はありません。 ただ議会制の国家では「愛国主義」は政権政党支持とイコールではありませんが、現在の中国における「愛国主義」は共産党支持とセットになっています。 しかしこれも別に社会主義とは関係無く「独裁政権の取る当たり前の方策」に過ぎません。 ハッキリ言えば現在の中国共産党は看板に共産主義があるだけで、実態は「開発独裁政権」なので看板を見ずに政策だけ見ていれば特に矛盾してはしていません。 過去の例を見ると開発独裁政権はある程度、経済発展すると国民の声が強くなり、独裁体制を放棄せざるを得なくなるパターンを描きますので、中国共産党政権はそれを恐れて「愛国主義=現政権支持」を強調しているわけです。
お礼
な、なるほどー。 非常に参考になりました。 一番早く回答くださりありがとうございます。 私的に、実態は開発独裁政権というのは、とても納得のいく見解です。
お礼
わざわざご親切にURLまで添付していただき、本当にありがとうございました。調べていて、毛沢東や鄧小平の関係が曖昧なままだったので、その点でも非常に助かりました。とても中立的、論理的な説明で、一番理解しやすかったです。