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語用論の格率?
語用論の格率? 以下の2つの会話において、最初の発言者の発言は間違っていないのに、後の発言者がこれを批判しています。語用論の中の格率に、これを説明するものはないでしょうか。あるいは、これと関係のあるものはないでしょうか。 ・会話1 「彼はもう幕内力士になったのだそうだ。」「いや、彼はもう小結だよ。」 ・会話2 「あいつは英検2級を持っているのだそうだ。」「何言ってるんだ、うちの部署の社員はみんな持っている。」
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格率とか公準という言葉を使われているところ見ると、Grice の会話の含意を念頭に置かれているのでしょうね。 要するに含意の問題ですよ。Grice で言えば量の格率違反から生じる含意かな。 「幕内力士になった」という発話からは「まだ幕下下位だ」という含意が、 「あいつは英検2級を持っている」とわざわざ言うということからは、「他の人は持っていない」という含意が生じます。 「いや、彼はもう小結だよ。」「何言ってるんだ、うちの部署の社員はみんな持っている。」 という発話はこの含意を否定しているわけです。 Levinson や Horn の新グライス学派 Neo-Gricean、Sperber や Wilson の関連性理論 Relevance Theory ですと、若干説明も違ってきますし、Grice のオリジナルの格率よりも筋が通っているとは思いますが、詳しくはこちらをお読みください。 S.C.レヴィンソン『意味の推定 : 新グライス学派の語用論』田中廣明, 五十嵐海理訳 研究社、2007.7 東森勲, 吉村あき子『関連性理論の新展開 : 認知とコミュニケーション』 研究社、2003.2
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- marisuka
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語用論の格率って何ですか? それは恥ずかしながら知らないので…。 意味や用法の面から言えば、先の発言内容の有効性が乏しい、情報が古い、それは言うまでもないことだ、などの場合、否定や批判する言葉が後の発言の最初にくることが多いようです。 出張から帰って来るなり、「いやもう大変だったよ」などと言うのは、言われる前から「どうだった、うまくいったのか」という質問を予期したものととらえればどうでしょうか。
お礼
回答、有難うございます。 説明不足だったかも知れないので、質問を補足します。人間の会話が論理学のルールに従うものであるのなら、正しい発言をしたらまともな批判をされることはありえないはずなのに、実際には上に挙げたような批判が可能です。ということは、論理学的な正しさ以外に、会話を支配する原則があるということになります。では、その原則は語用論の中にある格率(「格率」と書きましたが、「公準」と呼んでいる本もあり、その方が良いのかも知れません)の何れかではないのかというのが疑問だったのです。もっとも、問い自体が的外れだった可能性はあるかもしれません。
お礼
参考になりました。紹介して下さった本を読んでみたいと思います。有難うございました。