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司法試験の論文の条文の書き方

論文の勉強をしているのですが、どこまで条文を書けばいいのか分かりません。 たとえば、民訴法の、法定管轄の問題で、売買代金債権の支払を求める訴えの場合、参考書の本には、 法定管轄は義務履行地たるA地方裁判所及び被告の住所地たるB地方裁判所にある(4条1項、2項、5条1号、民法484条後段、裁判所法24条1号、同33条1項1号)。 と書いてあります。 これって全部書かなければいけないんですか? 民訴法4条1項、2項、5条1号まではなんとかなりそうですが、民法に飛んだり、裁判所法がからんでくるとは、全然思いもつきません。 論文試験では、全部書かなければいけないんですか?

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noname#83227
noname#83227
回答No.2

司法試験に限らず、一言で言えば、その結論を導くのに必要な条文は全て書く、です。 条文を何のために引用するのか考えてみましょう。法律上の根拠を示すためです。ですから、根拠となるなら引用しなければならないし、ならないなら引用する必要はないということになります。 試験では落としたからと言って致命傷となるかどうかは状況次第ですが、結論に影響しない条文は書く必要はありません(と言うか、書いてはいけません)。なお、教材の場合には参考として関連条文を挙げることはよくあります。もっとも解答例に書いてあるのならそれは“書く必要がある、少なくとも書いた方が確実に評価が上る”ものであるはずですが。 そこで質問の例を見ると、まず原則となる管轄を明らかにする必要があります。言い換えれば、移送先の裁判所に移送できるかどうかを決める前提として、本件訴訟の原則となる管轄を明らかにしなければなりません(管轄権のない裁判所に移送はできません)。そこで原則となる管轄を定める条文として民訴法4条1項2項が必須なのは当然です。ここが管轄の有無を判断する第一歩ですから。そして、本件訴訟が財産権上の訴えであることが明らかなので5条1号も必須です。 次に、5条1号で「義務履行地」と定めているのですから、では義務履行地がどこかが明らかにならないと困ります。そこで問題に書いていない以上は、原則となる義務履行地を定める民法484条後段を示さないと義務履行地が定まりません。抽象論なら構いませんが問題が「A県」「B県」「C県」という特定の県を指定しているのですから、義務履行地を明らかにするために民法484条後段を示す必要があります。ちなみに司法試験の勉強をするくらいなら民法484条後段は常識の部類ですから書けないようではまずいです。 ここまででもし仮にB県に所在する裁判所に管轄権がないとなるとB地方裁判所には当然移送はできないということになります(この問題では管轄権はありますから念のため)。この判断のためには最低限、上記条文は必須なのでここまでは絶対に落とせないということになります(厳密に言えばここまででは決まりません。下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律別表第5表によって初めて各地方裁判所の土地管轄が定まるので。ただ、本問が「A県」という風に実在する県名を指していない以上、そこまで指摘するのは無意味ですから書く必要はありません。実際問題として「B県に所在するB地方裁判所」とわざわざ所在する県を書いてある以上、B県において提起できる訴訟についてはB地方裁判所に土地管轄があるというのが問題の趣旨と読むべきです)。 更に、訴額によって第一審裁判所の管轄が分かれているのは常識です(少なくとも司法試験を受けるのなら常識でないと困ります)。だから問題で訴額を明示しているのです。解りますか?司法試験の問題には基本的にどうでもいいことは書いていないのです。ということは、訴額500万円が管轄の決定に影響するからこそわざわざ書いているのです。そこで訴額によって管轄を決定する根拠条文はどこにあるのかと言えば、これは裁判所法というのもまた常識にしないと駄目です。そこで裁判所法で財産権の争いについての第一審としての地裁の管轄を見ると24条1号にあるのですあから、これを書かないと「地方裁判所」に管轄権があることが明らかになりません。ちなみに24条1号で33条1号1項を引用しているのですからこれを書くのは容易なはずです。特に33条1号1項「以外」という規定なのですから、地方裁判所に管轄権があるかないかを決めるには33条1項1号が必要です。よって、当該条文もB地方裁判所に管轄権があるという“結論を導くのに必須”の条文なのですから引用がやはり必要です。 で、こんなものは丸暗記の必要はありません。と言いますか丸暗記頼みでは駄目ですよ。なぜその条文が必要なのかをきちんと理解しないと。そして、理解すれば必然的に条文は引けるはずです(時間は掛かっても。その時間を減らすのは練習と慣れ)。 民事訴訟において、原則となる管轄権の規定がどこにあるかということと民法上、債務の履行地の原則規定があるということ、そして、第一審については管轄が訴訟によって地裁、簡裁、家裁、高裁(これは刑法の極一部の罪だけなのでそれほど重要ではありませんが、刑法を勉強すれば必ず目に触れる話なので知っていて当然です)と分かれ、それが裁判所法に規定があるという3つをを知っていれば足りる話です。具体的な条番号まで憶える必要はありません。現場で条文を見つけられればそれでいいのです。そしてこの程度のことは知っていて当然というのが司法試験の要求する法的知識の水準でもあるのです。 最後に、「書かなければいけない」というのが「書かないとE判定」という意味なら、必ずしもそうは言えないがきちんと条文を引用している答案は評価が上るということは言えます。法律解釈の原点が条文であるというのは法律を専門とする者にとっては常識であり、その当り前の常識を備えているということをきちんと示すことすらできないでは、実務家登用試験で評価が辛くなっても仕方がありません。

uiuiuiii
質問者

お礼

長文ありがとうございました。 丸暗記から抜け出せるように頑張ります。

その他の回答 (1)

回答No.1

基本的には、すべて挙げるべきでしょう(もっとも、管轄の関連条文をストレートに問うだけの問題が、論文試験で問うような内容かどうかは疑問ですが)。 混乱するのは、そもそも「法定管轄」というくくり方をするからです。 法定管轄と関連する概念は、合意管轄や応訴管轄であって、要するに管轄が法定されるのか、当事者の言動によって定まるのか、という問題です。ゆえに、合意管轄や応訴管轄がない限りはすべて「法定管轄」なので、どこにどんな条文があるか、という話と結びつきません。 大ざっぱにいえば、民訴法は土地管轄・専属管轄の問題を定めていて、裁判所法は職分管轄・事物管轄の問題を定めています。すなわち、第1審を簡裁と地裁のどちらが取り扱うかは事物管轄の問題なので、組織規範たる裁判所法がこれを定めます。対して、何県の第1審裁判所に訴えるべきかは、土地管轄の問題なので、民訴法4条以下を見れば良いわけです。 また、民訴法5条によれば、実体法との関係(誤解を恐れないいい方をすれば訴訟物との関係)で管轄が決まることが分かるので、その根拠条文を探すことは難しくありません。 管轄の大原則は民訴法4条なので、まず、被告の住所地の第1審裁判所に管轄があります。次に、事物管轄は訴額によって決まるので(裁判所法33条1項1号、24条1号)、請求する額が140万円を超えるかどうかを検討します。超えるなら、被告の住所地の地方裁判所、超えないなら、被告の住所地の簡易裁判所に訴えることになります。 次に、管轄の例外として民訴法5条があるので、訴訟物が何かを考えます。そうすると、売買代金債権の支払請求訴訟は財産権上の訴え(1号)なので、義務履行地に裁判籍があります。民法上、債務の弁済は債権者の住所地で行うのが原則なので(持参債務の原則:民法484条)、義務履行地は、債権者の住所地となります。その上で、事物管轄を検討します。 したがって、原告・被告が共に同じ市内に住んでいるなら、裁判籍は1つになるので、「義務履行地たるA地方裁判所及び被告の住所地たるA地方裁判所」となることもあります。また、訴額が書かれていない以上、「地方裁判所」と断言するのは正しくありません。 つまり、「売買代金債権の支払を求める訴えの場合」は、『常に』、「法定管轄は義務履行地たるA地方裁判所及び被告の住所地たるB地方裁判所にある(4条1項、2項、5条1号、民法484条後段、裁判所法24条1号、同33条1項1号)」と書いてあるなら、その参考書の記述は正しくありません(間違ってはいないが70点、ということ。しかも読者の誤解を招くので、参考書の出来としては30点)。 『常に』ではなく、裁判籍と事物管轄、実体法の関係が、上述のようにきちんと整理されてた上での記述であったり、「売主はA県、買主はB県、という事例について」の説明であるなら、参考書は誤りではなく、あなたの理解に誤りがあります。

uiuiuiii
質問者

補足

返信ありがとうございます。 そして、言葉足らずで申し訳ありません。 問題を全部書くと、 『A県に居住する甲は、B県に居住する乙に対する金500万円の売買代金の請求につき、管轄裁判所をC県に所在するC地方裁判所とする旨の合意があるとして、同裁判所に訴えを提起した。同裁判所がこの訴訟をB県に所在するB地方裁判所にいそうすることができる場合について説明せよ。』 です。 論点は、 1、管轄違いの移送(16条)。合意管轄の要件・管轄の合意の効力 2、遅滞を避ける等のための移送(17条)   (1)専属的合意と付加的合意の区別   (2)専属的合意管轄の場合の17条の移送 を書けばいいわけですよね? 本件訴訟は、500万円の売買代金債権の支払を求める訴えであるので、法定管轄は義務履行地たるA地方裁判所及び被告の住所地たるB地方裁判所にある(4条1項、2項、5条1号、民法484条後段、裁判所法24条1号、同33条1項1号)。ところが、甲は、管轄の合意(11)条があるとして、C地方裁判所に訴えを提起している。      ↓ 管轄の合意が無効であれば、管轄違いに基づく移送(16条1項) 管轄合意の効力      ↓ 意思表示に瑕疵がある場合は、民法の規定を類推適用      ↓ 管轄の合意が有効である場合には16条1項による移送はできない。そこで17条による移送の可否を検討する      ↓ 17条の要件・効果      ↓ 本件の合意は、専属的管轄合意であると解されるが、c地方裁判所が、その必要絵師を認めるときには、なお職権でB地方裁判所に移送することができることになる(17条)。以上 と書いてありますが、一番最初の所で、条文がたくさん書いてあるので、覚える必要があるのか困っていました。 1つ1つの条文の最後に、ここへ飛びなさい。みたいな小さな条文とかがいっぱい書かれているのをみたのですが、民訴法4条の最後を見ても、民法へとべ!とか裁判所法24条へ飛べ!とか書いていないので、困っていました。 覚える必要があるのなら、丸暗記しますが、この問題に限らず、条文を書くときに、効率的な探し方とかないのかなぁ~と思っていました。

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