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アダム・スミスの「国富論」について
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- bigorange9
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簡単にいうと「国民経済の価値の究極の源泉は、労働である」または「労働こそが国民生活を豊かにする生産物を生み出すことができる。また、その労働によって生産した物を外国の物と交換して(=貿易)得られたものが価値を持つ」ということを言っています。 当時、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、ポルトガルなどの西欧諸国は自国をどのように富ませるか、他国との競争にどう勝つかしのぎを削っていました。その過程で、「国を富ませる原動力は何か?」という議論が経済学者たちの関心事でした。 最初、16世紀頃にポルトガルやスペインが栄えたときは、南米などで金銀を掘って本国に運び、一時的に豊かになりましたので、「貴金属の保有量を重視すべきだ」という「重金主義」が主張されました。しかしお金だけあってもそれを有効に使えなかった両国は衰退していきます。代わってオランダなどで小国ながら毛織物の加工貿易で繁栄し、商業をこそ重視しべきだ、とする「重商主義」が発展しました。一方農業大国のフランスでは農業こそが国の基本であるとして「重農主義」が唱えられました。 アダム・スミスはこれらの経緯を踏まえつつ、国民経済の価値のもっとも大きな源泉は労働であるという「労働価値説」を初めて明確に述べた人です。商業にしても農業にしても、その国の労働者が従事して付加価値を生産しているわけです。したがって国民(消費者)が欲するものをいかに多く安く高い価値をもって生産するかが大事となります。 当時のイギリスはいち早く産業革命を推進させ、農業から工業へ、農村から都市へと労働力人口を移動させていきました。これにより他の西洋諸国を圧倒する工業力・生産力を構築し、軍事力の拡大と貿易黒字の拡大を図っていくことができました。 「労働価値説」はその後大きく2つに分かれます。一方はマルクスの「資本論」に代表される共産主義の経済学です。こちらでは、労働価値の主体である労働者が資本家からますます収奪される結果、ついに革命が起こって先進国は共産主義に移行する、という結論を導きました(そうはならなかったわけですが)。一方は古典派・新古典派経済学として今世界中の主流となっている資本主義市場経済を支持するものとなっています。
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