• ベストアンサー

「下衆もの」ってありますか?

はじめまして。質問の正確なカテがイマイチわかりませんが、文学か「読書」(或いは「歴史」)ではないかと思い、先ずこちらに投稿しました。 所謂「下衆」についてですが、 これは身分の卑しいもののことで、特定の職業や階級をさす言葉ではないようですね。 時代小説などでは「下級身分」を主人公にした物語が多くありますが、 所謂「下衆」を主人公にした小説のようなものはあるのでしょうか? 文学では「下衆」というのはどのような扱いを受けるのでしょうね? 下衆の下衆たるところはその心根の卑しさということらしいので、 それが主人公ということになると、所謂「官能小説」の領域に入るのでしょうか? 高貴な下衆というのはそもそもありえない概念ですし・・・ いえ、例えば団鬼六のような、アングラ的なものでも構いません。 主に文学(そんな高尚じゃなくていいのです)作品に関してと 下衆への興味を満たしてくれるような作品がありましたら ジャンルを一切問わず(論文などは別として)教えていただければ幸いです。 広い範囲でのお答えをお待ちしています。

noname#79626
noname#79626

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • balkis
  • ベストアンサー率48% (28/58)
回答No.7

長くなってしまいました。御免なさいよ。 ノアールと下衆は重なるのかどうか。 これは餅と正月は重なるのかとか,炬燵と地球温暖化は重なるのかみたいな 難しい問題です。 ノアールは(正確な定義は知らないのですが) ヤクザやマフィアや闇金融や麻薬やギャンブルや犯罪者の世界を描いたものだと思います。 下衆はもともと士農工商の工商に当たるような世界だと思います。 だから,重なると言えば重なります。 ただし,小説の表現方法が問題になると思います。 ノアールは往々にして,アウトローを美化します。 反社会的な主人公の義理やメンツや美学を格好良く描きます。 愚かな主人公が銃弾に散ってもその姿には華があります。 異端者でありながら実は祭りの主役といった感があります。 ただ,そのように美化してしまうと下衆とは言えなくなってしまうと思います。 (#1さんの仰った通りです。) 下衆は良くも悪くも雑草や虫のようにひとつひとつは弱くても 全体として,しぶとく根強く,はびこるものだと思います。 ハードボイルドはまた別で, 主人公は周囲がどんなにお祭り騒ぎをしていても まるで批評家のように醒めて浮いています。 だからハードボイルドは別に周囲がヤクザでもマフィアでも構わないし, 庶民でも学園でも構いません。 (幼稚園児が主人公のハードボイルド小説もあります。 (タイトルは失念,二階堂黎人さんの作品,講談社文庫。) つまり,ノアールは舞台設定で,ハードボイルドは性格設定です。 餅は食い物で正月は暦です。 以上,支離滅裂な大論文で失敬! よいお年を!

noname#79626
質問者

お礼

3部作の論文(?)興味深く読ませていただきました。 バルザック、ゾラ、ドストエフスキーからノアールの分析まで。 balkisさんは随分守備範囲が広いのですね。 いろいろと撒き餌をしていただきましたので、 後は自分で渉猟します。 今年もよい読書をお楽しみください。

その他の回答 (6)

  • balkis
  • ベストアンサー率48% (28/58)
回答No.6

ご質問への回答になかなか達せず,大論文を続けてしまいますが,ご容赦。 「小説」という言葉も元々は, 科挙の試験に落第した小人の説という意味の支那の言葉で差別用語です。 また,小説を意味する英語のノベルの元はフランス語のヌーヴェルで その意味は英語のニューズと同じく「新しい」ということで, 三面記事や週刊誌のゴシップというほどの意味です。 要するに小説はもともと下衆の世界を描いたものだったのです。 バルザックやゾラやドストエフスキーといった 世界文学の文豪はまさに下衆の世界を描いて,描ききっています。 非常におもしろいので推薦です。 ほんとうはまっさきにこちらを紹介するべきだったのかもしれません。 しかし,現代日本とは違う世界なので念頭に浮かびませんでした。 その他のリアリズムの小説もほとんど下衆の世界ですが, 貧困と革命といった,もはやアナクロとしか言いようのない現実と理想に覆われているので, バルザックやゾラに対する以上の覚悟がないと読む気になれません。

  • balkis
  • ベストアンサー率48% (28/58)
回答No.5

今がまさに暇で正月にかこつけて酒飲んで夜明かししているところです。 最初に『溝鼠』のことを書いたときには, はっきりしたイメージがなかったんですが, いろいろ探しているうちに考えがまとまってきました。 といっても,根拠があるわけではなくて妄想なんですが。 まず,「下衆」というのは,「下種」とも書きますが, 明らかな階級差別,身分差別の言葉です。 日本の江戸時代を例にとると士農工商の 士はサムライで支配階級,農は百姓で生産階級, 年貢と俸禄で日本の政治と経済を担っていたのは士農のみで, 工商は食料を自分で作りもせず無税で国に寄生しているまさに「下衆」, 工はまだしも労働して対価を稼いでいるのだから許してやってもいいが, 商に至っては仕入れ値に利鞘を上乗せして暴利をむさぼる詐欺師なので最下級。 サムライの価値観ではそうでした。 つまり前近代では,支配=軍事=サムライ,生産=経済=農民,であり, その他は手間賃を稼いで人様の御恩にすがって食わせてもらっているか(工), 物を高値で売りつけて人様をだまして生きているか(商)の「下衆」でした。 以上からすると,「下衆」とは天下国家の経営に与らず, 自分の食い扶持すら生産せず,無為徒食にして狂言綺語を弄する有象無象, つまり,自分だけ良ければいいと思っている輩,ということになります。 近代国家になると,軍事=国民皆兵,経済=資本主義,とがらりと様相が変わるので, 階級は徐々に撤廃されていきますが, 実質的に格差は生じるのでメンタリティとしては上から下まで残存します。 むしろ実質的な階級が消滅してから「貴族主義」やら「武士道」やら 「庶民気質」やら「任侠道」やらが際立ってきます。 現代日本には貴族階級も武士階級も庶民階級も任侠階級もなくて, すべて平等な日本国民なはずですが, こうした「主義」や「道」や「気質」が残っています。 (すべて平等な日本国民がすべて平等な考えを持っていたらファシズムです。) これらは社会に現実的な対応物(制度的な階級)がないにもかかわらず存在するもの, すなわち良く言えば「文学」,悪く言えば「絵空事」,あるいは「思いこみ」, いずれにしても「虚構」ですが,現実的な微細な格差には対応しています。 だから,その辺りを描くことで現代小説は存在意義を持ちます。 いかん,妄想的な大論文になってしまいそうなので,ここでいったん切ります。

  • balkis
  • ベストアンサー率48% (28/58)
回答No.4

ほかにもないかと探してみました。 新藤冬樹さんの他の作品もかなり下衆ですが……。 違うタイプとして奥田英朗さんの『ララピポ』(幻冬舎)。 ダメ人間たちが行き交う爆笑小説。 お下劣ぶりが情けなくも心地よいです。 西澤保彦さんの『両性具有迷宮』(双葉文庫)。 宇宙人のミスで女性の股間に男性器が!という じつにくっだらない発想を見事に昇華させたSFの傑作です。 そうそう,新藤冬樹さんのはジャンルとしては ノアール(暗黒小説)です。 どうもいろんなジャンルから 単発的に拾うしかないみたいです。

noname#79626
質問者

お礼

重ねてありがとうございます。 もうひとつだけお聞きしていいですか? #1さんのお答えの中にもありますが、 「ノアール」(暗黒小説)と所謂「ゲス的」とは被るのでしょうか? わたしは「フィルム・ノアール」の印象がこれまた強くて、 まあハード・ボイルドの異種のような・・・キーワードとしては、 レイモンド・チャンドラーとか、「スカー・フェイス」とか・・・ そういうイメージを持っています。 お暇な折にアドバイスいただければ幸いです。 重ねてありがとうございます。

  • balkis
  • ベストアンサー率48% (28/58)
回答No.3

いえいえ,「必殺仕事人」のような悲壮な仇討とは月とスッポンです。 ふられた腹いせに猥褻ないたずら電話をかけ続けるとか, クビになった飲食店にゴキブリをばらまくとか, そういったレベルの下衆としか言いようのない復讐の代行屋です。

noname#79626
質問者

お礼

はっはっは!またまた噴き出しました。 そういうことですか(笑) 復讐代行というとどうしても「ムコ殿」を思い出します。 これは「下衆もの」といえますね。 たいへん参考になりました。 へぇ~って感じです。 重ねての補足、ありがとうございます。

noname#79626
質問者

補足

たいへん参考になりました。 他にもあるでしょうか?こういう感じの小説。 お薦めがありますか? 強いてジャンル分けすれば・・・というか書店ではどういうコーナーに置かれてるのでしょうね(苦笑) >思わず耽読・・・には笑いました。

  • balkis
  • ベストアンサー率48% (28/58)
回答No.2

一般に「下衆もの」なるジャンルがあるのかどうかは知りませんが, 新堂冬樹さんの小説, 就中,復讐代行屋を主人公とした『溝鼠』(徳間文庫)は, もう呆れるほど, ほんとうに下衆で下劣で最低な変態のカスどもが 底辺で死闘を繰り広げる凄まじい小説です。 ついつい耽読してしまいました。

noname#79626
質問者

お礼

お答えを読んで思わず噴き出してしまいました。 >復讐代行屋を主人公 というと安直ですが「必殺仕事人」シリーズを思い浮かべるのですが、 ああいう感じではないのでしょうね。 早速当たってみます、 ご回答どうもありがとうございました。

  • tamausagi
  • ベストアンサー率65% (201/308)
回答No.1

「下衆もの」というとちょっと違うような気もしますが、歌舞伎の白浪物はどうですかね? 竹川黙阿弥が実際の事件をヒントに書いた盗賊・悪人たちの物語の総称です。「白浪五人男」とか「三人吉三」とか。 小林恭二さんが『悪への招待状-幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ』という幕末の風俗と歌舞伎の紹介本を集英社新書で出しています。 盗人や悪党が主人公の物は悪漢小説(ピカレスク)と呼ばれていますよね。 鹿島茂さんが『悪党が行く-ピカレスク文学を読む』という紹介本を角川書店から出しているようです。 しかし白浪物にしてもピカレスクにしても義賊や美学をもつ怪盗がいたりしてこれは心根は卑しくないわけだからやっぱりちょっと違うかな? 裏社会やアウトローの世界を描いたものとして最近言われる暗黒小説(ノワール)のほうが近いでしょうか? 日本だと大藪春彦とか馳星周とかの作品があげられることが多いです。 いずれにしても私の読書傾向からは外れていて的を外した回答かもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。

noname#79626
質問者

お礼

>いずれにしても私の読書傾向からは外れていて的を外した回答かもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。 いえいえ。逆にこういうのを主に読んでる方って少ないでしょうから。 仰るように「ピカレスク」とは違うんでしょうね。 クリント・イーストウッドの昔のマカロニウエスタンの原題が 「英雄・悪漢・卑劣漢」というのがありましたが。前2者は小説の主人公になりますが卑劣漢(まあ下衆に近いかなと)は「主人公」にならないですかね・・・ >裏社会やアウトローの世界を描いたものとして最近言われる暗黒小説(ノワール)のほうが近いでしょうか? う~ん。この辺も詳しい方の意見をお聞きしたいですね。 やっぱりルポルタージュのようになってしまうのかな・・・ ご回答どうもありがとうございました。

関連するQ&A

  • 明治の文豪が活躍していたころの官能小説

    夏目漱石や森鴎外が作品を世に出していたころにそもそも官能小説はあったのでしょうか。あれば表現力の点でおすすめの作品を教えてほしいのです。 注意ですが純文学で内容的に塗れ場がある作品とかではなくれっきとした大衆文学としての官能小説を求めています。 というのも、あるエロいものの魅力が語れたらとは思うもののどうやって表現すればよいのか行き詰っていたんです。 つまり「乳輪がてかっているおっぱい」というのが私の語彙では限界である対象の、身も蓋もなくちゃんと伝わってるのかどうかも自分的に不安なこの表現をもっと的確で色欲をそそるものにできないかと悩んでいました。 そして双璧と呼ばれるほどの小説家が生きた時代の官能小説がとても表現の参考になるのではと思ったのです。一方、フランス書院周辺のレーベルが起こったころから現代に至るまでの官能小説に対して明治の官能小説とはどんなものだったのか想像もつかないので知りたくなった、という単純な動機も兼ねています。 そうわけで明治の官能小説を教えていただければ幸いです。 注意なのですが、官能小説ならなんでもいいわけではなく、戦後でいうならカストリ雑誌に掲載されていた漫画ぐらいの「なんの権威もなかった」作品に興味があるのです。そのころで純文学に括られるようなものはそれこそ漱石などと似たり寄ったりだと思うからです。

  • 文学とは?

    夏目漱石 太宰治、三島由紀夫、いろいろ作家いますよね。ですが、彼らの作品を読んでもなにも面白いと思えないです。 私は主に、評論文やミステリーの小説を読みます。なぜこれらが好きかというと、「答え」があるからです。 一方で文学というものには解釈がたくさんあり、難解で高尚なイメージがあります。そもそも高尚って言葉もあまり好きじゃないですし、あまり理解できません。文学作品を読んでも、だからなに?ってなります。しかし、みなさんはこの一言を発します。 「深いなぁ」 深い。深いってなに?っていっつも思います。 ずばり、文学とはどういうものなのですか? 

  • 名作とエロ作品の違い

    名作文学とエロ小説は、一体どう違うのでしょうかね? カーマ=ストラ・金瓶梅・紅楼夢・源氏物語・永井荷風や団和夫や谷崎潤一郎とかの作品は、きわどいすごいセックス描写がありますが、「名作文学作品」といわれ、学校の国語や歴史の教科書まで出てきます。 しかし、団鬼六先生をはじめ、スポーツ新聞やエロ雑誌の小説は、「エロ小説」で、学校で教えたら社会問題化することでしょう。 団鬼ロク先生の作品も、もしかしたら数百年後には、名作になるのでしょうか? 瀬戸内晴海(寂聴)の作品は、評価を受け、叙勲までされているのに、団先生は、「エロ作家」で、その作品は18禁のエロ変態作品です。 この違いは何でしょうか?

  • 実は高貴な身分という内容の小説

    こんにちは。 主人公が実は高貴な身分であったが、本人はいままでそれを知らずにいたっていうような小説を探しています。 オススメがあれば教えてください!

  • プロレタリア文学とは何なのでしょうか?

    プロレタリア文学とは 主人公が労働者で経営者との 階級対立や労働争議が書かれていないと その小説はプロレタリア文学ではないんでしょうか? 例えば、故西村賢太さんの「苦役列車」は 主人公の労働や労働者としての生活が書かれてますが、 経営者との階級対立や労働争議は書かれてはいないので この小説はプロレタリア文学ではないんでしょうか?

  • ストレートな表現は官能小説では五流?

    先日、文字なんかでヌケるのか?なぜ官能小説を読むのか?という質問をしたところ、官能小説は文壇の領域であり、下世話ではあるが芸術と学問の応用ということを教えていただきました。 となると、官能小説の世界では一見してそれと分かるストレートな表現をしているものは五流、駄作というレッテルを貼られてしまうのでしょうか? 発刊されている官能小説はすべて言葉を置き換えるなどしてストレートな表現をしているものは無い? 例えば「乳房を揉んだ」とか「ペニスを出し入れした」とか。 正直、小説でエロ系を読んだことがないのでストレートな表現と言いつつ、こんな形であってるのか分かりませんが、要するに文学とは言えないただのエロ本というような作品は官能小説にはない? そもそもそういう本なら素直にエロ小説と呼べば良いだけであって、わざわざ「官能」小説と呼んでいると言うことは、エロ本のようなことを求めるようなものではないのでしょうか?

  • 純文学のよさがよくわかりません。

    純文学というものがあると思うのですが、例えば宮本輝氏の「蛍川」などを読みました。 途中いろいろあって、ラストの場面などは美しく有名だそうで、芥川賞受賞作品だそうですが、正直この作品がどういいのかよくわからないのです。特に良かったとは感じられません。 この作品はさほどの長編ではないとはいえ、純文学全般に言えますが、長々と活字を最後まで読んできて、読むだけの価値があった、感動したという作品はあまりないのですが。 純文学というは「次どうなるんだろう」という、「話のおもしろさ」というより、心情・情感や人生の真実が描写されているというところに価値があるということでしょか。読む人に感性がないとダメなのでしょうか。 純文学と大衆(エンターテイメント)小説の違いを知りたいです。 百田尚樹氏の小説などは、娯楽小説の部類なのでしょうか。 また、純文学というのは日本の文学作品に固有の言い方なのでしょうか。 トルストイや、ドストエフスキーなどの海外の世界文学では、あまりこうした言い方はなされていないように思えますが、「戦争と平和」や「罪と罰」なども純文学なのでしょうか。 それから、「文学」という言い方と、「小説」という言い方はどうは違うのか教えて頂きたいです。 前者のほうが、後者に比べると高尚というか、そういうことなのでしょうか。

  • 描写力が凄い官能小説を教えてください。

    描写力が凄い官能小説を教えてください。 趣味で官能小説を書いているのですが、 シチュエーションに拘りすぎて言葉がありきたりで説明的になったり 逆に言葉に拘りすぎて陳腐な文学作品のようになったり、上手くいかないです。 そこで、参考になる官能小説を教えていただけたらと思います。 希望としては、とにかく表現が豊富で、中年のセックスのような エロいよりもいやらしい、ねっとりした表現の作家さんを知りたいです。 あと、日本語での表現方法が知りたいので、登場人物が 日本人のものの方がいいです。 よろしくお願いします。

  • 近親相姦(兄妹)モノの小説を探しています

    近親相姦(兄妹)モノの小説を探しています。 ・漫画ではなく小説 ・関係は兄妹 ・ライトノベル以外 で、お願いします。 ライトノベル以外でしたら純文学でも官能小説でもかまいません。 「こんな作品を聞いたことがある」「以前読んだこれがそうだった」などございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 正体を隠しているような小説

    主人公でもその相手役でもいいのですが、 (高貴な)身分を隠しつつ、進んでいくラブストーリーのような小説を探しています。 お勧めがありましたら、教えていただけないでしょうか?ライトノベルでもなんでもいいです。 そういう感じのものでいままで読んで面白かったのは。 『カーリー』 高殿円 です。