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X線の屈折率が1より小さいのはなぜ?
微小角入射小角X線散乱(GISAXS)という装置で高分子の膜の構造を評価しています。膜面に対して0.2°などの微小角でX線を膜に入射するのですが、その時にX線が屈折します。電磁波の一種なので屈折するのはいいのですが、なぜ屈折率が1より小さいのでしょうか?私の屈折率に関する理解が足りないのかも知れませんが、どなたかご存じの方がいらっしゃいましたら、教えて頂ければ幸いです。よろしくお願いします。
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光速/屈折率=物質中の光速といわれているので、屈折率が1より小さいと光速より速くなってしまう(あり得ない)のではないかという疑問ではないかと思います。光速はいかなる時も光速で、物質中の光速というのは位相速度といわれるものです。位相速度が光速より早くても、決して信号を光速より速く伝えることはできません。位相速度の山の行先は光速を越えることなく、先のほうで消えてしまいます。 位相速度がどうして生じるかというと、誘電体をすりぬけた電磁波と、誘電体が再輻射した電磁波の和の波の山の早さが位相速度となるためです。電磁波の和(位相速度)は、物質中の電気伝導度、電子の密度、入射する電磁波の振動数によって決まり、例えばアルミの中のX線の屈折率は1より小さくなります。高分子の膜も計算すると屈折率が1より小さくなくと思われます。電気伝導度のある密な物質中を電磁波が進むというのは、珍しい現象なので、珍しい屈折率の結果になるのだと思います。
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- 91091
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No5です。 1以上になるか1以下になるかは、計算結果によるもので定性的な説明は難しそうです。(物体の振動で、固有振動数を少し超えたあたりで、応答倍率が1より小さくなるのに似ている?)物質中の束縛電子の固有振動数を、入射する固有振動数が少し超えたあたりで、屈折率が1以下になります。特に特別な現象が起きているわけではないようです。式をみれば納得できるかと思います。
- gamma
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金属は多くの(高密度の)自由電子を持っているので、高密度プラズマと見なすことができます。 プラズマの屈折率は1より小さくなります。金属のX線に対する屈折率は1よりほんのわずか小さいだけですが、1以下です。 したがって、X線を金属面にほとんど面に平行(1-2度)に入射すると全反射条件を満たしX線の鏡として使う事が出来ます(X線の波長が短いほと:光子エネルギーが大きいほど;浅くする必要がありますが)。このような入射を「斜入射」といいます。 この事を応用して「X線顕微鏡」や「X線望遠鏡」が作られています。 プラズマ中の電磁波に関しては(下記の第11回) http://www.pp.teen.setsunan.ac.jp/lecture/ 誘電率・屈折率に関しては http://www.tagen.tohoku.ac.jp/labo/arima/lecture/spectroscopy/Drude.html X線顕微鏡については、 http://www-aokilab.bk.tsukuba.ac.jp/r-what.htm X線望遠鏡は、 http://www.astro.isas.jaxa.jp/~mitsuda/labo/keiryou_kougaku.html などを参考にして下さい。
お礼
ご回答有り難うございます。プラズマと見なすのですか。すごいですね。その場合自由電子があることが必要なのでしょうか?石英やシリコンでも0.2°くらいに全反射臨界角があるというのを見つけました。自由電子の方がプラズマと見なしやすいという、程度の問題ですかね。紹介頂いたサイトのしきいは少し高いですが、どうにか勉強してみようと思います。
- shun0914
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まず屈折率nが物質の誘電率εによって決まっていることは良いでしょうか? n=√(ε/ε0)=√εr (ε0は真空の誘電率、εrは比誘電率) そして誘電率ε(比誘電率εr)は電磁波の振動数および物質に依存しています。結局、X線を多くの誘電体に照射した場合、比誘電率が1より小さくなるので屈折率が1より小さくなります。 屈折率に関する理解のためには以前、私が答えたものがありますので参照して下さい。↓のNo.3です。 http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3205956.html では、なぜX線により比誘電率εrが1より小さくなるか、です。あるいはなぜ電気感受率χが負になるか(εr=1+χ、P=χE)です。 εr=1(χ=0)ということは分極Pが起こらないことを意味しますが、これは電場Eの振動が速すぎて誘電体の電子がついて行かない場合を表しています。 εr<1(χ<0)は分極Pが電場Eと逆方向に生じることを表しています。これは物質の閉殻による分極から説明されます(だそうです^^;)。 ところで1より小さい屈折率だけでなく、負の屈折率(比誘電率が虚数!)のケースがいろいろ見つかっています。「負の屈折率」で検索するといっぱいヒットします。
お礼
ご回答有り難うございます。屈折率と誘電率の関係はどこかで習ったのを憶えています。閉殻による分極ですか。調べてみようと思います。何か構造を上手くつくると負の屈折率が実現されると誰かが言っていたのを思い出しました。
- ojisan7
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高周波が誘電体に入射するとき、入射波の周波数が特性周波数を超えたあたりで、異常分散が起きるのは一般的な現象です。 下記URLのNo8、No9は虹の分散現象について述べていますが、そこで述べていることは、X線の屈折率についても、本質的に同じです。
お礼
ご回答どうも有り難うございます。参考URLを読ませて頂きました。特性周波数(電子遷移による電磁波吸収周波数?赤外の振動吸収も含まれるのでしょうか?)付近で屈折率変化が大きく、特にそれより高周波側で異常分散という現象が起こるのですね。X線くらいの高周波数になると、特性周波数を持つ物質は殆どないため、殆どの物質で異常分散が起こるということでしょうか。異常分散の起源が分かれば、屈折率が1以下になる理由がわかりそうですね。できれば異常分散の起源を教えて頂ければ非常に嬉しいのですが、自分でも調べてみようと思います。
- sanori
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X線の場合は、1より小さくなるみたいです。 私も今初めて知って驚きました。 http://library.naist.jp/cgi-bin/limedio//limedlimagep?style=inline&bookid=89856#xml=http://library.naist.jp/cgi-bin/limedio/limedlpdfhi?id=R004069.1& (15ページの下から4行目をご参照)
お礼
ご回答有り難うございます。確かに屈折率が1より小さいと速度が速くなってしまうという疑問もありましたが、知りたいことは屈折率が1より小さくなる起源です。位相速度とか群速度とかいう話は大学の授業で習った気がしますが、うろ覚えです。元の電磁波と誘電体からの電磁波(誘電体への吸収輻射もしくは散乱?)との重ね合わせ(干渉?)によって、誘電体中の電磁波の経路や振動数が決まると言うことでしょうか?誘電体からの電磁波の周波数が元の電磁波のものより高いか低いかが、屈折率が1より大きいか小さいかに対応するのでしょうか?(No.2の方が書かれていた特性周波数にも関連するのでしょうか?) かなり混同してしまっていますが、ちゃんと数式を追ったり、計算したりしないと、出せない数字もしくは理解出来ない現象なんですかね。