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ローラン展開
複素関数の展開はローラン展開であらわされます。ここで疑問に思ったのですが、どうして実数の関数の展開であるテイラー展開には負のべき乗がでてこないのに複素関数ではでてくるのでしょうか。両展開のつながりがよくわかりません。どなたか説明お願いします。
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それが複素関数論の根本です. 実数の場合「微分可能」は直線上でしかありません. 複素数の場合「正則」は平面上であって,直線ではありません. つまり,実数の場合は「点の左右」からの極限でよいのですが 複素数の場合「点の周囲」からの極限が要求されるので 微分の条件が実数の場合に比べて格段にきついのです. じゃあ,二変数実変数関数と一変数複素変数関数はどうなんだ, 極限のとり方は同じではないかということもあるかもしれませんが 両者の違いは「調和性」. いわゆる「コーシー・リーマンの方程式」があります. こういう事情やら次元の高さ(複素一次元は実二次元)が相まって, 複素の場合は積分が線積分(周回積分がほとんど)になります. そうすると,積分の経路を選べば,関数が定義されていない点を 迂回,もしくは周回して積分できます. 実数の場合はそうは簡単にいきません. y=1/x を -1<=x=<1 で積分することを考えてください. x=0でおかしいので,積分しようと思うと困ります. けど複素数だったら,w=1/zを例えば原点中心の円周で線積分できます. 円周上では関数はきちんと定義できます. それで,この複素の周回積分は極めて特徴的な性質, コーシーの積分定理が成り立ちます. このコーシーの積分定理からいわゆる「コーシーの積分公式」とか 「グルサーの公式」が出てきますが, これらの公式の顕著なところは, ある点における関数の値が, その周りの経路での関数の積分で表せることです. しかも,その形が分数 1/z-a を含んでいるが味噌で, これを等比級数の和だと思って,級数が出てきます. ここまでが複素関数のTaylor展開. ローラン展開の場合,孤立した特異点の周りを二つの円で囲んで ◎ ←こういう感じ.中心が特異点 内側と外側の円を直線で結んであげて, 内側の円→直線→外側の直線→外側の直線 というような経路で積分すると, この経路中の「直線」部分は向きだけが違うのでキャンセルされ 内側の円と外側の円しか積分には寄与しません. そして「外側の円」の積分からはTaylor展開に相当する正のべきの項が, 「内側の円」の積分からはローラン展開の 特異部,負のべきの項がでてきます. 「内側の円」の積分から負のべきがでてくるのは, 「外側の円」と「等比級数の部分」の分母と分子が逆になるのが 原因です.等比級数の収束条件は公比が1未満ということですが, 外側の円の公比がrだったら,内側では 1/r になるという感じです. 教科書とかの証明をじっくり読んでください. 厳密な議論はそれなりに結構複雑ですけども ぶっちゃけた話,複素関数論の級数の根本は 高校でもやる等比級数の和です. これにコーシーの積分公式を合体させるところが ポイントなのです.
お礼
丁寧な解答わざわざありがとうございます。 確かにコーシーの積分定理に最後で留数の計算がありますね。一次の留数は等比数列の極限だとは気づきませんでした。ローラン展開の二重円から正と負のべき乗がでるとは感動しました。 今日は気合を入れて朝の6時から複素関数の勉強をしていましたが、実は30分以上勉強すると猛烈に眠くなり何度も寝ました。僕は自称物理学者の卵です、物理なら同じ条件でも全然違うのですが。いままで複素関数論の計算も積分結果は所詮実数じゃないか!数学なんて計算できればいいじゃないか!と思っていました。 この説明を聞いて、複素関数論の定理のつながりが少し見えてきて数学はすごいなと思いました。