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「事寄せる」が自動詞である理由は?

OKATの回答

  • OKAT
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回答No.3

 これはまた難しい質問ですね。わたしの手元にある書物(少数ですが)を読んでみましたが、様々な説があり、まとめることは大変難しそうです。英語の場合は、S+V+O という形があるとして、その目的語(O)を主語に置き換えて「受身」の形が出来た場合、その動詞(V)は「他動詞であるという、考えが成り立つようです。しかし、日本語の場合は、「~を」という形が必ずしも目的語とは言えないため、それを真似るのは無理があるようです。例えば        道を歩く。 の場合、「道を」は目的語とは言えない。したがって「歩く」も他動詞とは考えにくい。 このように英語と違って、別の判断方法が考えられているようです。    その一例 存在態を表すとき、「ている」が付くのが自動詞、「てある」が付くのが他動詞という考え方。 「開く(あく)」→「開いている」だから自動詞 「開ける(あける)」→「開けてある」だから他動詞 というのですが、はたしてすべての動詞に適用できるかどうかが問題です。  意外にも、「橋本文法」「時枝文法」などは、この自動詞・他動詞の問題を深く論じていません。「山田文法」に至っては区別の必要を認めていないようです。しかし、実際には辞書ではっきり書いてあるものも存在するのですから、少しは論じてみる必要は感じます。  前にも、このサイトの回答に書いたことがあるのですが、西洋語を通じてこの「自他」の問題が入ってから、学者が論じるようにようになったのですが、上記のようにはっきりさせていない学者が多いのに、西洋語の影響を受ける前にわが国の国学者が、本居宣長を中心として取り上げています。特に本居春庭は「詞の通路」で、現在の「受身」「使役」の助動詞の加わったものを含めて、「おのずから然る・みずから然る」や「他に然する」など、六つの分類を行っています。「自動詞・他動詞」という名称はこのあたりから採られたと思われます。春庭の考えは、佐久間鼎に受け継がれましたが、最近金谷武洋がその著「日本語に主語はいらない」という著で、三上章の「主語不要論」を再主張したのですが、その中に日本語の動詞には形の上から自他の区別が存在すると主張しています。その例を挙げておきましょう。    受身形←  自動詞   他動詞  →使役形   (生まれる) 生まれる  生む   (生ませる)   のようなもので、すでに知られていたように、「日本語の動詞の中には、語幹や、語の一部が共通し、自他の対立を示すものがある」点が、英語とは違うので(英語の辞書を引くと「run」に自動詞と他動詞が存在する。自動詞であるのは自明のことだが、他動詞の「run」は、コンピュータの上でプログラムを動かす意味も持っている)、すでに形の上で区別されます。例を挙げれば  進む←→進める 続く←→続ける 焼ける←→焼く 起こる←→起こす 等々   相当数存在します。しかし、前に挙げた「ている」「てある」を当てはめると、うまくいくのも多いが、行かないのもあります。自動詞側に「ている」は付くが、他動詞側には「ている」も「てある」もつくものがあります。  更に前に挙げた「開く(あく)・開ける(あける)」も「開く(ひらく)」と読むと同形で自動詞にも他動詞にもなると言えます。(傘が開く・傘を開く)    以上、前置きが大半になってしまいましたが、ご質問の「事寄せる」は複合動詞とすると、「寄せる」をどう見るかということですね。上に述べた本居春庭からの線で考えると         寄る(自) 寄せる(他) となるが、「寄せてある」が当てはまるけれど、「寄せている」もあり、「波が寄せたり、返したり」という語句もあるのでまったく迷いますね。わたしが愛用している「大辞林」は自他についてまったく触れていません。「岩波古語辞典」は(ご存じのとおり項目の立て方が特殊ですが)部分的に「自動詞形」「他動詞形」と付け加えてあります。しかし「事寄せる」が自か他かのヒントは見つかりません。はたして、「寄せる」だけ取り出して考えることは是かも含めて、頼りない回答になりました。わたしも「他動詞」派なので「事寄せる」が「自動詞」だという例文も示せませんでした。<m(__)m>    

sono-higurashi
質問者

お礼

傾向に過ぎないとはいえ、自・他動詞の形式的な見分け方があることや江戸時代には自・他動詞の研究が緒に就いていたことなどを知ったのは有益で参考になりました。 具体的な用例が決まる前に自・他を述べることは不可能という立場もあるらしく、自・他を記さない辞典も珍しくないのは当然なのだと思えてきました。 全く特異な動詞を見つけてしまって困りました。判りやすい例文の二つ三つ示し「どうじゃ、自動詞であろうが」と言って下さる方はいないのでしょうかねぇ。 毎度のご回答で、大変有り難く思っています。

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