• ベストアンサー

バナッハ空間における証明問題

Xをバナッハ空間とする。M⊂Xをその有界集合とする。β(M)を以下のように定義する。  β(M)=inf{ε>0 ΙMは有限ε網をもつ} このとき、β(B+C)≦β(B)+β(C) が成り立つことを示せ。 (注) MをXの部分集合として、正数εが与えられたとき  Mがε網であるとは、任意のx∈Xに対してあるz∈Mが存在して∥x-z∥<εとできることであり、  有限ε網とは要素数が有限のε網のことである。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • oodaiko
  • ベストアンサー率67% (126/186)
回答No.1

まず念のため伺っておきたいのですが B+CというのはもちろんB∪Cの意味ではなく、{b+c |b∈B,c∈C}の意味ですね。 (もっともB∪Cならば命題はほとんど自明ですが) さて β(B+C)≦β(B)+β(C)    ……(1) を証明するためには β(B)+β(C)<rとなるような任意の実数rに対してβ(B+C)≦rとなる。  ……(2) ということを示せばOKです。 なぜ(2)を示すと(1)を示したことになるのかわかりにくいかも知れませんのでそのことを先に解説しておきます。 もう少し一般的に、ある実数AとBに対し (∀r∈R,(B<r → A≦r)) ⇒ (A≦B) つまりB<rとなる実数rが必ずA≦rを満たすならば(つまり(2)の条件を満たすならば)A≦Bである(つまり(1)の条件を満たす)ことを示します。 これは対偶命題 A>B ⇒ (∃r∈R,(B<r かつA>r)) を示せばOKです。 今、A>Bとすると実数の性質よりA>r>Bとなるような実数rが存在します。すなわち ∃r∈R,(B<r かつA>r)は満たされています。          ■ さて、そこで(2)を示します。 (A) β(B)<r_1,β(C)<r_2となる任意の実数r_1,r_2を固定します。 すると定義より,Bの有限r_1網M_1と、Cの有限r_2網M_2が存在します。 このときM_1 + M_2 = {m_1 + m_2 |m_1∈M_1,m_2∈M_2}がB+Cの有限r_1+r_2網であることを証明します。 証明:任意のx∈B+Cに対し、あるb∈Bとc∈Cが存在してx=b+cと書けます。 またM_1はBの有限r_1網,M_2はCの有限r_2網なので、あるm_1∈M_1,m_2∈M_2が存在して∥b - m_1∥<r_1,および,∥c - m_2∥<r_2,となります。 このときm_1 + m_2∈ M_1 + M_2 であり、 ∥x - (m_1 + m_2)∥=∥b + c - m_1 - m_2∥=∥b - m_1 + c - m_2∥                 ≦∥b - m_1∥ + ∥c - m_2∥<r_1 + r_2 となるのでM_1 + M_2はB+Cのr_1+r_2網になります。 M_1 + M_2が有限集合であることは明らかですね。従ってM_1 + M_2はB+Cの有限r_1+r_2網になります。 (B) (A)より,β(B)+β(C)<rとなるような任意の実数rに対してB+Cの有限r網が存在することがわかります。 (p=r - β(B)+β(C), r_1=β(B)+ (p/2),r_2=r - r_1 とすればr_1+r_2=rであり(A)に帰着する) 従って定義よりβ(B+C)≦rです。   すなわち(2)が示せたので当初の目標である(1)が示せたことになります。            ■ * roro02さんへ宿題 バナッハ空間に関するこの種の問題を考える時には、Xが本当にバナッハ空間である必要があるのどうかということも考えてみて下さい。 この問題を記述するだけならばXが線形空間かつノルム空間であることだけが必要であって、バナッハ空間であることは必要としていません(バナッハ空間は単なる線形ノルム空間であるだけでなく、ノルムに対する完備性も要求されます) さらに、御覧のように証明の中でもXのノルムに対する完備性は利用していません。(実数の完備性は利用しています。ノルムを用いることの大きな利点は、元の空間が完備性を持っていなくてもノルムを通じて実数の完備性を利用できることです) すなわちこの命題はXがバナッハ空間でない一般の線形ノルム(位相)空間でも成り立ちます。 いずれもっと勉強を進めていけば「どうしても」バナッハ空間でないとうまくいかないような(有用な)定理がたくさん登場してくる筈です。そのあたりを考えて"なぜ”(単なる線形ノルム空間ではなく)バナッハ空間という概念が有用なのか?ということにも思いを馳せてみて下さい。

roro02
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 とても納得がいく美しい回答だと思います。 宿題の部分は、ありがたいアドバイスとして受け止めます。助言までしていただいてありがとうございました。

roro02
質問者

補足

>B+CというのはもちろんB∪Cの意味ではなく、{b+c |b∈B,c∈C}の意味ですね。 ご指摘の通りです。注につけ忘れてしまいました。

全文を見る
すると、全ての回答が全文表示されます。

関連するQ&A

  • バナッハ空間

    AからBへの写像全体の集合F(A,B)と表記する。 今Sを集合、Xをバナッハ空間とし、 Fb(S,X)={u∈F(S,X)|sup(t∈S)||u(t)||_X < ∞}と定義する。 ||u||=sup(t∈S)||u(t)||_X このときFb(S,X)はバナッハ空間であることを示せ。 バナッハ空間の定義は完備なノルム空間であることで、 ノルム空間であることは示せたのですが、 完備であることがわからなくて…。 どのように考えればいいのでしょう? なおノルム空間であることの証明は以下のようにしました。 (i)||u||の定義より正値性は明らか。 (ii)|α|sup||u(t)||=sup||αu(t)||は上限の定義より成立。 (iii)三角不等式は||(u+v)(t)||_X≦||u(t)||_X+||v(t)||_X ≦||u||+||v|| よって||u+v||≦||u||+||v||

  • バナッハ空間ではない事の証明

    書き方がわからないので見にくい部分もあるかと思われますが、 宜しくお願い致します。 C:区間[0,1]上で定めた全ての連続関数の作る集合 ∥x∥=∫|x(t)|dt (積分範囲は0~1) このノルム空間はバナッハ空間ではないことを証明せよ。 解き方として、基本列が収束する先がCに含まれていないと考えればよいと思っているのですが、どのようにやって良いのかわかりません。

  • 4次元ユークリッド空間のコンパクトの証明

    A={(a.b.c.d)∈R^4 | a^2+b^2=c^2+d^2=1 ac+bc=0}は4次元ユークリッド空間のコンパクト集合である。 この問題の解法を考えているのですが、 ユークリッド空間であることに着目すれば、Aが有界閉集合であることを示せば十分なはずです。 ところが、有界であることは簡単に示せても、閉集合であることを示すのがなかなかできません。 4次元なので具体的なイメージもわかないのですが、どなたか助言をいただけないでしょうか。

  • 大学のプリント問題なのですが、下記が分かりません。

    大学のプリント問題なのですが、下記が分かりません。 お答えいただける方、お願いします。 問.実数の空でない、有界な部分集合A、Bに対して、次を証明せよ。 (1)A⊂B ⇒ infB ≦ infA ≦ supA ≦ supB (2)Aは正数の集合とし、1/A={1/x:x∈A}とする。 このとき、 sup(1/A)=1/infA、inf(1/A)=1/supA

  • 共役空間が稠密であることの証明(関数解析)

    A⊂Bをそれぞれバナッハ空間として、AはBにdenseに埋め込まれているものとします。かつ埋め込みは連続であるとします。すなわちすべてのx∈Aに対して、||x||_A≦K||x||_Bが成り立つようなK>0が存在するとします。 このときAの共役空間(A上の有界線型汎関数の全体)A*とBの共役空間B*に対して、A*⊃B*は明らかですが、B*はA*の中でdenseになるのでしょうか?A*の元をB*の元で近似できればよいのですが、うまく証明できずにいます。あるいは反例があるのでしょうか? 実際に考えている問題は、Bがヒルベルト空間の場合なので、B=B*とみなせます。この場合に限っての証明でもよいので、ご助言いただければと思います。

  • 位相数学の証明問題です。

    (1)R空間の部分集合で連結かつコンパクトなものは有界な閉区間に限ることを示してください。 (3)[a,b]上で定義された実数値連続関数f(x)に対して、正の実数δで次の※性質をもつものが存在することを示してください。 ※|x-y|<δを満たすすべてのx,y∈[a,b]に対して、|f(x)-f(y)|<0.1 の証明を、どなたか分かる方、よろしくお願いします

  • この場合,Cauchy列が有界となる理由は?

    宜しくお願い致します。 最下の命題の証明でCauchy列が有界となる理由がわかりません。 [定義-3]順序集合(A,≦')の部分集合Bに於いて、{b∈B ;∀x∈B,b≦'x}≠φの時、 {b∈B;∀x∈B,b≦'x}:単集合となる{b∈B ;∀x∈B,b≦'x}のただ一つの元bをminBと表記し、(A,≦')に於けるBの最小元と言う。 [定義-2]順序集合(A,≦')の部分集合Bに於いて、{a∈A ;∀x∈B,x≦'a}≠φの時、 {a∈A ;x∈B⇒x≦'a}の元を(A,≦')に於けるBの上界と言う。 [定義-1] 順序集合(A,≦')に於いて、Aの部分集合Bに於ける上界が存在する時、Bは(A,≦')の中で上に有界であると言う。 [定義0] 順序集合(A,≦')に於いて、Aの部分集合Bに於ける上界が存在する時、その上界の集合の最小限をBの上限といい,supBと書く。 [定義1] 数列{a_n}のある部分列がaに収束する時,このaを数列{a_n}の集積値という。 [定義2] 順序集合(A,≦')が完備 ⇔ (i) (A⊃)Bが上に有界ならば∃supB∈A (ii) (A⊃)Bが下に有界ならば∃infB∈A [命題1](Weierstrassの定理) 有界な数列には少なくとも1つの集積値が存在する。 [命題2] 数列{a_n}が収束する ⇔ (i) {a_n}が有界 (ii) {a_n}の集積値は唯一つ [命題3] 順序集合(A,≦')を距離空間(その距離をdとする)とする。Aが完備ならばAの任意のCauchy列{c_n}はlim[n→∞]c_n∈A. を示しています。 [証] Cauchy列の定義から0<∀ε∈R,∃M∈N;M<m,n∈N⇒d(c_m,c_n)<ε {c_n}は有界(∵?)。 従って,sup{c_n}∈A,inf{c_n}∈A(∵定義2) これから{c_n}は有界と言えるから,{c_n}は収束する (∵唯1つの集積値が存在する (∵{c_n}には少なくとも1つの集積値が存在するから(命題1), {c_n}の集積値が2つあったと仮定し,その集積値をa,bとする。 {c_n}の部分列{a_n}がaに収束,部分列{b_n}がbに収束。 収束の定義から夫々 0<ε'∈R,∃M'∈N;M'<k⇒|a_k-a|<ε' 0<ε'∈R,∃M"∈N;M"<h⇒|b_h-b|<ε' ところが |a-b|=|(a-a_k)-(b-b_h)+(a_k-b_h)| ≦|a-a_k|+|b-b_h|+|a_k-b_h|<2ε'+|a_k-b_h| ∴ |a_k-b_h|>|a-b|-2ε' これはmax{M',M"}<∀k,h∈Nに対しても|a_k-b_h|>|a-b|-2ε'となってしまう事を意味しているので ここでε':=|a-b|/4と採ってしまうと, ∃M∈N;M<k,h∈N⇒|a_k-b_h|>|a-b|/2 となり,Cauchy列の定義に反する) よって命題2) そして,{c_n}の収束値をcとするとc∈A (∵c∈A^cだと仮定してみると今,lim[n→∞]c_n=cなので 0<∀ε∈R,∃M∈N;M<m∈N⇒d(c_m,c)<εと書ける筈だが書けない(∵dはAでしか定義されてない)) 、、、と示せると思うのですが2行目「{c_n}が有界」の理由がわかりません。 d(c_m,c_n)<εからどうすれば{c_n}が有界である事が言えますでしょうか?

  • 関数解析

    1.X,Yはバナッハ空間、TはDを定義域とするXからYへの閉線形作用素、SはEを定義域とするXからYへの可閉線形作用素で、D⊂Eが成り立っているとする。 (1)ある定数a∈(0,1),b≧0が存在し、任意のx∈Dに対して ||Sx||≦a||Tx||+b||x|| が成り立つならば、Dを定義域とするT+Sは閉作用素となることを示せ。 (2)a=1において(1)が成り立たないような反例をあげよ。 2,各t>0に対しT(t)はバナッハ空間XからXへの有界線形作用素であり、任意のx∈Xに対し、Xの位相でlim[t→+0]T(t)x=xが成り立っているとする。 このときε>0を十分小さくとれば、T(t)の作用素ノルムは区間t∈(0,ε)上で有界であることを一様有界性定理を用いて示せ。 この2問がわかりません。。どなたか解答をよろしくお願いします・・・

  • 空間上の四面体の体積

    C言語で空間上の四面体の体積を求めるプログラムを作りたいんですが、どうすればいいのかわかりません。 構造体を使って空間上(三次元)の4点A,B,C,Dの座標を定義するのですが。 四面体の求め方もわかりません。ヘロンの公式じゃ求められませんよね(^^; 空間上の三角形の面積を求めるプログラムを作ってみました。 少しでも参考になれば幸いです。 よろしくお願いします。 #include <stdio.h> #include <math.h> int main(void) { double AB, BC, CA, s, m; struct zahyo { double x; double y; double z; }A, B, C; scanf("%lf %lf %lf",&A.x,&A.y,&A.z); scanf("%lf %lf %lf",&B.x,&B.y,&B.z); scanf("%lf %lf %lf",&C.x,&C.y,&C.z); AB=sqrt((A.x-B.x)*(A.x-B.x)+(A.y-B.y)*(A.y-B.y)+(A.z-B.z)*(A.z-B.z)); BC=sqrt((B.x-C.x)*(B.x-C.x)+(B.y-C.y)*(B.y-C.y)+(B.z-C.z)*(B.z-C.z)); CA=sqrt((C.x-A.x)*(C.x-A.x)+(C.y-A.y)*(C.y-A.y)+(C.z-A.z)*(C.z-A.z)); printf("AB=%lf\nBC=%lf\nCA=%lf\n",AB,BC,CA); s=(AB+BC+CA)/2; m=sqrt(s*(s-AB)*(s-BC)*(s-CA)); printf("m=%lf\n",m); return 0; }

  • 線形空間の証明

    次の問題がわからないのですが… 問題:(1)~(5)を満たす(x,y,z)∈R^3の集合はそれぞれ線形空間になるか答えよ。 線形空間でない場合は理由も述べよ。 (1)x=0 (2)x=y+z (3)x=2n,y=2n+1(nは自然数) (4)y=x+1 (5)z/x=x/y どなたか解いていただけませんか? よろしくお願いします。

このQ&Aのポイント
  • MFC-J860DNからMFC-J855DNに設置を替えた際に、無線LANの設定がうまくできず困っています。
  • PC上の画面印刷も前のプリンター名しか表示されず、印刷ができません。
  • Windows10の環境で無線LAN接続をしており、ひかり回線を使用しています。
回答を見る