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裁判制度に疑問

今日(11/1)の新聞に、「1999年に広島市で起きた二幼児虐待死事件で、広島地裁が○○被告に”未必の殺意”を認め無期判決を下した」との記事が載っていましたが、この経過について理解できないことがありますので、教えてください。 この裁判は、「2004年4月、一審(地裁)で殺人罪の適用を認めなかったため、検察側が控訴、高裁は未必の殺意を認め一審を”破棄”、被告は上告、最高裁はこれを”棄却”、そしてこの度、地裁が”未必の殺意”を認めた」という複雑な経過を辿っています。 [疑問点] 1.高裁の”破棄”と最高裁の”棄却”は、どう違うのでしょうか? どちらも、裁判を下級審に差し戻す、という意味では同じだと思うのですが、どうして用語が違うのですか? 最高裁の”棄却”は、高裁を通り抜けて、一気に地裁にまで差し戻しされるのですか? なぜ高裁で審理しないのですか? 2.高裁、最高裁は、なぜ自分のところで審理しないで、下級審に戻すのですか? 自分のところで、裁決することもあると思います。 その違いはどういうところにあるのですか? 3.今回の地裁判決に対し、被告は更に控訴することができるのですか? これを繰り返しやっていれば、永遠に解決しないと思うのですが、いかがですか? 4.”未必の殺意”という用語ですが、”偶意の過失”に対して、”未必の故意”というのではないですか? これはどう違うのですか? ○○被告のところに、実名を入れれば、どの事件か明確になるのですが、人権に触れることを指摘する方もおられるので、敢えて記載いたしません。 また、同記事を読まれた方の方が、内容がよくわかると思いますので、なるべくなら、記事を読まれた方からのご回答をお願いいたします。

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回答No.1

長いですね。がんばってみます。 1の前半について 高裁が破棄したのは一審判決で、最高裁が棄却したのは被告人(被告ではありません)の上告です。高裁は検察官の控訴を理由あり(正当)と認めて一審判決を破棄したわけで、つまり控訴任用なので一審判決破棄ということです。したがって検察官の控訴に理由なしと判断すれば控訴棄却です。 これに対し最高裁が被告人の上告を理由ありと認めれば二審判決破棄となります。 1の後半について 前半について書いたところから分かるように、一審判決破棄を不当とする上告が棄却されたということは高裁判決である「一審判決を破棄し、一審に差戻す」という判断が維持されているわけです。これに対し上告に理由ありとして二審判決を破棄した場合は高裁に差戻すか最高裁自らが判断することになります。 2について 高裁・最高裁とも自ら判断することは可能です。しかし地裁は支部も合わせて200近く(正確に記憶していません、もっと少ないかも)あるのに対し高裁は15箇所、最高裁は全国に1箇所しかないので全ての判断をしていると大渋滞が起こって司法制度が作用しません。そのため上訴の争点だけを判断して差戻す場合が多くなっています。 なお、一審・控訴審は事実認定を中心とする事実審であるのに対し上告審は法律判断を中心とする法律審ですから、事実認定の誤り(これはそもそも上告理由ではありませんが)を認めれば差戻すことになります。 3について もちろん控訴は可能です。しかし永遠に解決しないということはありません。被告人の控訴が棄却され、被告人がさらに上告して上告も棄却されれば終わりです。 4について 偶意の過失という用語は普通使いませんが(というか用語ではありませんが)、未必の故意とは全く関係ありません。人を殺そうとか殺したいとか思っている場合が積極的な故意であるのに対し、未必の故意とはこれで人が死んでも構わないとか、殺してしまう可能性はあるだろうとか考えている場合が未必の故意です。

soramist
質問者

お礼

ご返事が遅くなってすみませんでした。 本屋、図書館へ行って「偶意の過失」がないか、調べていたのです。 どこにもありませんでした。 わたしは、何十年もの間、「未必の故意」の対語が「偶意の過失」だと覚えていました。 いつの間にか、世の中から見捨てられていたのですね。 いろんなことがわかりました。 この場を借りて、皆様のご回答に感謝します。

soramist
質問者

補足

素晴らしいご回答です。 破棄と棄却、控訴と上告、被告人と検察官・・・これら用語の使い分けがよく分かりました。 3.について では、この次、被告人が上告し、高裁が棄却すれば、それで終わりになるのでしょうか? (最高裁はすでに棄却をしているから・・・) 4.>人を殺そうとか殺したいとか思っている場合が積極的な故意であるのに対し、未必の故意とはこれで人が死んでも構わないとか、殺してしまう可能性はあるだろうとか考えている場合が未必の故意です。 前半と後半はどう違うでしょうか? (わたしには、全く同じことのように思えます・・・実際上、区別することができない) その行為の結果として、人が死ねば、結果的には両方とも「殺人」ではないですか? 罪の軽重がなぜ異なりますか? 「偶意の過失」と「未必の故意」は、わたしはセットにして憶えていました。 人を殺した場合でも、罪の軽重があるのだと・・・ こういう用語は本当に無いですか?

その他の回答 (4)

  • buttonhole
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回答No.5

 訂正です。 どんな人が経験者になっていますが、一般人の誤りです。すみません。

  • buttonhole
  • ベストアンサー率71% (1601/2230)
回答No.4

 実際の判決文を読まないと事実関係が分かりませんので(新聞報道でも不正確なことがよくあります。)、推測ですが以下の事実関係だったのだと思います。  第一審の地方裁判所の判決に対して検察官が控訴しました。これに対して、控訴審の高等裁判所は、検察官の控訴を認め、第一審判決を破棄して地方裁判所に審理を差し戻す判決をしました。  この高等裁判所の判決に対して、被告人が上告したが、最高裁判所は被告人の上告を棄却しました。そうしますと、高等裁判所の判決が確定しますから、第一審に審理が差し戻されます。差し戻し審である地方裁判所は、被告人に対して無期懲役の判決をしました。  この差し戻し審判決に対して控訴できますし、さらに高等裁判所の判決に対しても上告することもできます。ですから、堂堂巡になって永遠に審理が終わらないのではないかという疑問を持つのも無理はありません。  しかし、上級審の確定した判断は下級審を拘束しますから、何回か繰り返す内に争点はだんだん少なくなります。本件で言えば、未必の故意は認定されているのですから、控訴するとすれば量刑不当(殺人罪の適用をしたとしても、本件の事例で無期懲役にするのは刑が重すぎる。)を理由にするぐらいしかないでしょう。  控訴、上告手続ができるということと、控訴や上告が認められると言うことは別の事柄です。

  • nep0707
  • ベストアンサー率39% (902/2308)
回答No.3

1~3についてはNo.1さんの回答がこれ以上ないくらい適切です。 4について 私も「偶意の過失」がよくわからないです。 刑法の議論では「認識ある過失」という概念を使いますが、 これと同じことですか? 以下、その前提で。 未必の故意と認識ある過失は対といえば対ですが、 故意と過失(正確には故意なき行為)の境界線付近の行為のうち、 境界線のどちらに倒れているかを示す言葉、という意味での対です。 だから、未必の故意を「故意じゃない意思との境界線に近い故意」と捉えた場合、 「故意との境界線に近い故意じゃない意思」という意味で認識ある過失とは対ですが、 一方で「境界線から遠い故意」である「確定的故意」とだって対語といえます。 だから「未必の故意」は必ずしも「『認識ある過失』と対」 という意味付けで使われるわけじゃないです。 以下余談ですが… >○○被告のところに、実名を入れれば、どの事件か明確になるのですが、 >人権に触れることを指摘する方もおられるので、敢えて記載いたしません。 人権云々というより、法解釈を学ぶ上では全く不要な情報ですよね。 だから私は質問の流れを酌む場合以外、たいてい書きません。 (気をつける云々というより、書いて何が楽しいの?という感じ)

soramist
質問者

補足

30年くらい前に、「偶意の過失」で憶えました。 今は、そう言わないのですね。 いつの間に変わったのやら・・・(-_-;)

  • trajaa
  • ベストアンサー率22% (2662/11921)
回答No.2

私も挑戦! 1.「破棄」:下級審の判決を無効にする。無効になったと言うことは再度下級審(この場合は地裁)で審理を行う。  「棄却」:最高裁は、一審の判決自体を判断したわけではなく、高裁が破棄したことへの被告側の異議を認めなかった。  つまり、被告の異議を認めない->高裁判断が有効->地裁で再度審理 と言った流れになるのでしょうか。 2.最高裁では憲法判断(あまり積極的では無いけど)を主眼としており、あまり事実関係を争うような事案は扱いません。(過去の判例を覆すとか、余程の案件でないと下級審に差し戻します) だって、限られた判事数(15人)で、最高裁に上げられた事案の事実関係をそれぞれ審理するのは、実際問題無理でしょう? また、高裁が差し戻すのは、地裁の判断に大きな誤りがあると認定した場合や充分な審理が尽くされていないと認定したからじゃ無いですか? この場合は、殺人罪を適用するか否かとう部分で重大な判断の変更が行われるわけですから、そう言う意味でももう一度良く審理してください。と言う意味で、地裁に戻したのでは? 高裁自身が審理するのは、地裁の判断を前提にその判断が妥当か?とか量刑としてどうか?と言った事が主体になると思います。 3.出来ます。  いや、まぁ論理上は可能ですが。。。。  地裁の今回の判決は、高裁での破棄判決によって判断の方向性が修正された結果(未必の故意による)殺人罪を適用した上での事ですから、余程変な内容でない限り、高裁が破棄するような事にはならないでしょう?普通より時間は掛かったのかもしれませんが、永遠にという事にはなりません。 4.偶意の過失?そんな用語あったんでしたっけ?  過失はあくまでも過失であって、まあ重過失とかはありますけど。  未必の故意は、明らかに「こーしてやる」とか「あーしてやる」という意識がなくても、「そーなったらなったでかまわん」という意味で消極的なレベルでの犯意についての考え方じゃないですか? 残念な事ですが、虐待事件は最近度々起きていますのでどういった事件かは、想起できません。

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