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鳥の翼と昆虫のはねは同じ遺伝子ですか?
初めて利用させていただきます、お願いします。 ホメオティック遺伝子の話で、たとえばハエの目とヒトの目では、構造は異なるけれど、ものを見る、という機能をもつためには生物間で共通の遺伝子が使われる、と聞きました。そこでふと思い浮かんだのですが、鳥の翼と昆虫のはねは、飛ぶ、という機能のために同じ遺伝子が使われているのでしょうか?鳥の翼は前足の代わりで、また体温を維持するのにも役立つと習ったように思うので、そもそも昆虫のはねとは機能が違うのでしょうか? 長くてすみません、どなたか教えてください。
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こんにちは。 目の遺伝子は多くの動物で共通ですが、飛ぶという機能に関わる遺伝子は、昆虫類と鳥類では全くの別物です。 ヒトと昆虫類が共通の遺伝子と持っているということは、それが共通の祖先から受け継がれたものであるということです。 遺伝子に書き込まれている目の機能の基本的なプログラムは「抹消神経の終末が光に反応し、それを神経信号に変える」という構造です。またそこに、レンズのように光と集めるといった、神経以外の組織の変異もくっついています。 哺乳類を始め、鳥類、昆虫類、魚類など、目という組織を持つ全ての動物は、この遺伝子を共通の祖先から受け継ぎました。ですから、「光を感じる遺伝子」というのは、様々な種に枝分かれしてゆく前に、大元の祖先が変異によって獲得したものということになり、この起源は、少なくとも5億年以上前、カンブリア紀以前にまで遡ると思います。 これに対しまして、昆虫が羽を持つという変異は、昆虫の祖先が陸上に進出したあとで独自に獲得されたものです。これが、それ以降の昆虫類に共通の遺伝子として受け継がれました。ですが、昆虫類と鳥類は、この時点で既に祖先が枝分かれしてしまっていますので、昆虫の祖先が独自に獲得した遺伝子が鳥類に受け継がれるということはありません。 鳥類の祖先は昆虫類の祖先よりもあとから上陸した魚類であり、我々哺乳類と同じです。共に爬虫類の時代を経てそれぞれに分岐しました。鳥類が「羽毛」という変異を獲得したのはこのときです。爬虫類をベースに体表に羽毛を持つという遺伝子は、鳥類がその進化の過程で独自に獲得した変異です。やがて、これが空を飛ぶという行動を実現することになります。 このように、空を飛ぶ機能に関わる遺伝子といいますのは、昆虫類と鳥類が祖先を分けたそのあとで、それぞれが独自に獲得したものです。ですから、それらは全くの別物です。 では、昆虫類も鳥類も、遥か昔の祖先から受け継いだ「羽を持つ」という共通の遺伝子を使い、ある日突然、別々にその機能を開花させたのではないかという考え方もあります。ですが、昆虫の羽根というのは背中から生えていますが、鳥類の羽というのは体中に生えており、翼というのは羽ではなく前肢です。構造的に、これだけでもぜんぜん違いますよね。このような異なる形質が同じ遺伝子を元に発現したとはまず考えられません。 また、空を飛ぶという行動は、ひとつの遺伝子によってプログラムされたものではありません。羽毛を持ち、翼という形態を執り、両翼を効率良く羽ばたかせる。骨を空洞にして体重を軽くし、そこに激しい運動によって消費される酸素を蓄える。空を飛ぶという行動は、無数の機能や形態に関わる遺伝子が淘汰・統一されて実現したものです。そして、空を飛ぶことができるならば生存に有利であることは同じなのですから、昆虫類も鳥類も、それぞれに異なる独自の遺伝子による全く違った手段を用いながら、空を飛ぶという、同じ結果にたどり着いたということになると思います。 >鳥の翼は前足の代わりで、また体温を維持するのにも役立つと習ったように思うので、そもそも昆虫のはねとは機能が違うのでしょうか? 詳しくは知らないのですが、鳥類の羽毛というのは体表の組織が変化したものだと思います。身体の必要な部分にはそれを生やすための組織が広く分布しています。元々は保温という機能が有難かったため、種に進化・繁栄をもたらしたのではないでしょうか。 これに対しまして、昆虫類というのは外骨格ですので、羽を持つためにはさなぎから「羽化」というプロセスを辿らなければなりません。鳥類のようにあちらこちらに生えるようになっているわけではありませんし、その枚数もきちんと決まっています。また、それが最初から飛ぶためのものだったのかは分かりませんが、保温という機能はあまりなさそうな気がします。 陸上に上がった昆虫類の祖先が、紫外線や外的から身を守るために役立ったのでしょうか、それとも逆に、体温を逃がすために便利だったのでしょうか。ミツバチなんかはいっせいに羽をばたばたさせて巣の冷却に使っていますよね。
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質問文の前半は多分、「ハエとヒトの測光センサーの仕組みは一緒」という意味だと思いますが、本当にこの意味でいいのか、こちらには推し量る手段がないため分かりません。 風というのは(実際に飛ぶ/飛ばないに関わらず)薄っぺらいものを上下に動かせば起こすことができます。 その意味では、鳥と昆虫の羽においては同じ遺伝子を持つ意味がありません。 でも、鳥にしても昆虫にしても、「飛ぶためにやってること」は同じであるため、その意味では遺伝子(の要件)は同じであるといえます。 ですが、それを「同じ遺伝子が使われている」と言ってしまっていいものか、こちらには何ともいえません。
お礼
回答下さってありがとうございます! 好奇心の割りにきちんとした知識がないので申し訳ないです。よく分からないのですが、同じ遺伝子というのは、DNAの塩基配列が同じ(ホメオボックス?)ということです。 でも鳥と昆虫では確かに同じ遺伝子を持つ意味はないですよね・・・。 ありがとうございました!
お礼
丁寧な回答ありがとうございます!とても分かりやすくて、大変勉強になりました!! 全く別のプロセスから、飛ぶ、という選択にたどり着いたなんて、生物って本当すごいですね。もっと沢山勉強したくなりました。 本当ありがとうございます、またよろしくお願いします!