とりあえず、ひとつのアプローチを検討してみました。
[1] 準備
-[-iα] α∈(0,1],i=1,2,…,n
[x]はガウスの記号ですね。xを越えない最大の整数。別名floor(x)。
つまり-[-x]とは、xより小さくない最小の整数。別名ceiling(x)です。この記号を使うと
S(α,n)=Σ<i=1~n>(-[-iα])
=Σ<i=1~n>ceiling(iα)
と書けます。以後、ガウスの記号はまぎらわしいので使わないことにしましょう。
αに関する条件から、
・ceiling(iα)はiについて、弱い単調増加。すなわち ceiling((i+1)α)≧ceiling(iα)である。
・任意のj∈{1,2,....,ceiling(nα)}について、ceiling(iα)=jを満たすiが少なくとも一つ存在する。
が分かります。
[2] 問題の分割
K[j] = {i| i∈N-{0}∧ceiling(iα)=j}
つまり与えられた正の自然数jについてceiling(iα)=jを満たす正の自然数iの集合K[j]を考えます。その要素の数を|K[j]|と表します。
たとえばα=0.3とすると
K[α,1]={1,2,3}, K[α,2]={4,5,6},K[α,3]={7,8,9,10},K[α,4]={11,12,13},.....
という具合。ついでにK[α,0]={0}と定義しておきましょう。
当然ながら
・K[α,j] = {i| j-1<iα≦j}
・K[α,j]≠φ (0<α≦1だから)
です。min Xを集合Xの中の最小の要素、max Xを集合Xの中の最大の要素のことと定義すると
・max K[α,j]+1=min K[α,j+1]
・|K[α,j]| = min K[α,j+1]-min K[α,j] = max K[α,j]-max K[α,j-1]
も自明でしょう。
そうするとi∈{1,2,....}の内でceiling(iα)=jである様なiの集合がK[α,j]である。
そのようなiだけについて、ceiling(iα)の部分和を作ると
Σ<i∈K[α,j] > ceiling(iα) = |K[α,j]| j
です。だからこの部分和をj=1,2,....,ceiling(nα)-1について足し合わせると
Σ<j=1~ceiling(nα)-1>(|K[α,j]| j)
となります。あと残っているのは ceiling(iα)=ceiling(nα) となるiだけで、このようなiは
min K[α,ceiling(nα) ]~nまで、つまりn-min K[α,ceiling(nα)]+1 個ある。
従って、
T(α,k)=Σ<j=1~k>(|K[α,j]| j)
とおくと
S(α,n) =(ceiling(nα))(n-min K[α,ceiling(nα)]+1) + T(α,ceiling(nα)-1)
となります。
[3] min K[α,ceiling(nα)]
min K[α,ceiling(nα)]=max K[α,ceiling(nα)-1]+1
とも書けます。
α>0より
max K[α,ceiling(nα)-1]-1=max{i| ceiling(nα)-2<iα≦ceiling(nα)-1}+1
=max{i| (ceiling(nα)-2)/α<i≦(ceiling(nα)-1)/α}+1
=floor((ceiling(nα)-1)/α)+1
です。だから
S(α,n) =(ceiling(nα))(n-floor((ceiling(nα)-1)/α)) + T(α,ceiling(nα)-1)
[4] T(α,k)を求める。
|K[α,j]| = max K[α,j]-max K[α,j-1]
ですから、max K[α,j]を求めることが出来れば、|K[α,j]| が分かります。そしてα>0より、
K[α,j] ={i| j-1<iα≦j} = {i| (j-1)/α<i≦j/α}
ですから、
max K[α,j] = floor(j/α)
であることが分かります。(j=0の場合にもfloor(0)=0=maxK[0]は成り立っています。)よって、
|K[α,j]| = floor(j/α)-floor((j-1)/α)
です。これを使うと、
T(α,k)=Σ<j=1~k>(|K[j]| j)
=Σ<j=1~k>j floor(j/α)-Σ<j=1~k>j floor((j-1)/α)
=Σ<j=1~k>j floor(j/α)-Σ<j=0~k-1>(j+1) floor(j/α)
= floor(0)+k floor(k/α)+Σ<j=1~k-1>(j floor(j/α)-(j+1) floor(j/α))
= k floor(k/α)-Σ<j=1~k-1> floor(j/α)
だから
S(1/α,k-1)=Σ<j=1~k-1> floor(j/α)
を求める問題に帰着してしまいました。一見元の木阿弥のようですが、S(α,n)を直接計算するのに比べると手間がα倍程度に減っています。
さて、
a[0]=α, a[1]=1/a[0]-floor(1/a[0])
N[0]=n, N[1]=ceiling(N[0]a[0])-1
としますと、0≦a[1]≦1
floor(j/a[0])=floor(j(floor(1/a[0])+a[1])) = j floor(1/a[0])+floor(ja[1])
だから
S(1/a[0],k-1)=(floor(1/a[0]))Σ<j=1~k-1> j +Σ<j=1~k-1>floor(ja[1])
=(floor(1/a[0]))k(k-1)/2 +Σ<j=1~k-1>floor(ja[1])
=(floor(1/a[0]))k(k-1)/2 +S(a[1],k-1)
です。a[1]=0だったらS(a[1],k-1)=0になって、これで出来上がりですから、0<a[1]≦1の場合だけ考えることにしましょう。
[5] 漸化式
求めたかったのは
S(α,n) =(ceiling(nα))(n-min K[α,ceiling(nα)]+1) + T(α,ceiling(nα)-1)
でしたから
S(α,n)
=S(a[0],N[0])
= (ceiling(N[0]a[0]))(N[0]-floor((ceiling(N[0]a[0])-1)/a[0])) + T(a[0],N[1])
= (ceiling(N[0]a[0]))(N[0]-floor((ceiling(N[0]a[0])-1)/a[0])) + N[1] floor(N[1]/a[0]) - (floor(1/a[0]))N[1](N[1]-1)/2 - S(a[1],N[1]-1)
かくて、
a[0]=α, N[0]=n,
a[m]=1/a[m-1]-floor(1/a[m-1]), N[m]=ceiling(N[m]a[m])-1 (m=1,2,...)
とすれば
S(a[m],N[m])
= (ceiling(N[m]a[m]))(N[m]-floor((ceiling(N[m]a[m])-1)/a[m])) + N[1] floor(N[m+1]/a[m]) - (floor(1/a[m]))N[m+1](N[m+1]-1)/2 - S(a[m+1],N[m+1]-1)
というとんでもねえ漸化式が得られます。
a[m] (m=0,1,....)はいずれも1以下なので、N[m]-1は単調減少します。そしていずれ S(a[m+1],N[m+1]-1)が(a[m+1]=0もしくはN[m+1]-1≦0となって)0になるまでこの計算を反復すればよく、計算量がかなり減っていることがわかります。
[6] 漸化式の一般項
で、この漸化式の一般項が求められれば最終解決というわけですが....こいつは手に負えません。
*この回答は随分中途半端とは思いますけど、No.1の回答もどうかな? k進展開の小数点以下1桁目を求めて総和を取る、というのは結局[kα]を全てのk=1,2,...,nについて計算することに他ならない訳で、手間は変わらないように思えるんですが。
お礼
お返事がおそくなりました. stomachmanさまの回答,解読させていただきました. 収束のはやさまで考えていただいて有難うございました. 本当にありがとうございました.