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アベラールとエロイーズについて
大学一回生のものです。西洋史概論の読書レポート課題で、課題図書を「アベラールとエロイーズ」にしてしまいました。古本屋でリストにあったこの本を見つけて、深く考えずに買ってしまいましたが、西洋史という観点からこの本についてレポートを書くとするととても難しく思えてきました。この本についての参考図書もなかなか見つからず困っています。何かこの本について、レポートを書くヒントやアドバイスをお願いします。特に、この本についての参考となる図書や論文について知っている方がいらっしゃいましたら、ご教授ください。ちなみに、どのようなレポートにするかの見通しがたつまで、読み進めないつもりなので、本書の内容について、熟知しているわけではないです。
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日本語で全部読んだわけではないのですが、12世紀の哲学を多少勉強しているものです。 まず、アベラール(アベラルドゥス)ですが、当時のエリート、学者にして聖職者ですから、それほどの将来も約束された人物。エロイーズは当時女性にはほとんど学問の道がひらかれていなかった時代に非常に聡明でお勉強のできるお嬢様。二人が恋に堕ちるという筋書きです。しかし、エロイーズのおじさん(たしか父ではない)がその関係に気づいてアベラールを追い詰め、性器を切除するとかそういう仕打ちをする。アベラールは聖職者となり、修道院にこもり、エロイーズも修道女になり、二人の往復書簡が残されているというわけです。 ドラマや小説仕立てになってもおかしくない話ですよね。それで、12世紀当時の世相や思想史が興味深く読めるという点では、わたしが研究しているシャルトル学派などよりは数倍魅力的です。 「エロイーズとアベラール」という邦題になった、論文 エロイーズとアベラール―三つの愛の物語 [原書名:ADIEU, MON UNIQUE〈Audouard, Antoine〉 ] ISBN:4048972057 オドゥアール,アントワーヌ【著】〈Audouard,Antoine〉・長島 良三【訳】 「エロイーズとアベラール―ものではなく言葉を」 ウニベルシタス叢書 マリアテレーザ フマガッリ=ベオニオ=ブロッキエーリ (著), Mariateresa Fumagalli Beonio Brocchieri (原著), 白崎 容子 (翻訳), 伊藤 博明 (翻訳), 石岡 ひろみ (翻訳) 「アベラールとエロイーズ」 エチエンヌ ジルソン (著), 中村 弓子 (翻訳) などがあります。 西洋史の課題として、文化について見るのか、制度としての聖職者や修道院の関係を見るのか、あるいは、女性史という視点で見るのか、興味深いところです。 デイヴィッド・ラスカム、『十二世紀ルネサンス:修道士、学者、そしてヨーロッパ精神の形成』、鶴島博和・平田耀子・将基面貴巳・吉武憲司・赤江雄一訳、慶應義塾大学出版会、 ジョルジュ・デュビィ、『ヨーロッパの中世:芸術と社会』、池田健二・杉崎泰一郎訳、ISBN: 4-89434-012-7、1995/04、6100円 アベラールの専門家といえば、ヴォカーリスさん(永嶋先生)。哲学方面に詳しい方ですが、以下のサイトも参考になるでしょう。
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- ismael
- ベストアンサー率33% (228/687)
卒業論文や修士論文ならともかくレポートの為に皆さんの挙げた資料に当たるのはキツいと思いますので切り口を決めた方が良いのではないでしょうか? ロマネスク時代の典型的な恋愛をとるか神学/哲学をとるか? http://www.greengrape.net/kazuhiro/romanesque/misc/abelard.html http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AB
お礼
回答、有難うございます。切り口としては、修道院制度に焦点を当てる方向で行きたいと思います。
- leoundmax
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おかげさまで、わたしも久しぶりにアベラールとエロイーズ関係を手にとってしまいました。 >>西洋史概論の読書レポート課題 西洋史概論という授業がどのように進められているのかわからないのですが、12世紀は、西洋史の中ではほんとうに「穴場」なので、おもしろいといえばおもしろいですが、BCからはじまって21世紀までつづく歴史のなかで「先生受け」するかどうかは疑問です。 それでも、美術史、思想史、社会史などでは取り上げられている部分もあるので、どういう論文になさるのか楽しみですね。アベラールとエロイーズに焦点を当てるなら、やはり当時の修道院制度などと世俗権力(ローマ皇帝)と聖職者権力(ローマ法王)の力関係なども面白いところですね。これは、カノッサの屈辱などで有名な歴史のテーマとなりますから。 修道院についてなら今野國男の「修道院」というのがいいのですが、ほぼ絶版。 今野國男『西洋中世世界の発展』(岩波書店) というのがあるようですので、これもいいかな(読んでません) あと、12世紀関係で必読は古くてすみませんが、、 堀米庸三篇『西欧精神の探求《革新の十二世紀》』(日本放送出版協会) ドイツが得意な方ですが、 阿部謹也『ヨーロッパ中世の宇宙観』〔講談社学術文庫〕他、 http://www.bk1.co.jp/author.asp?authorid=110000030610000 イタリアに強い方で 樺山紘一 ゴシック世界の思想像 (岩波書店)/発行年月:1976/ 十二世紀ルネッサンス関連では 「十二世紀ルネサンス―修道士、学者、そしてヨーロッパ精神の形成」 デイヴィッド ラスカム (著), David Edward Luscombe (原著), 鶴島 博和 (翻訳), 平田 耀子 (翻訳), 将基面 貴巳 (翻訳), 吉武 憲司 (翻訳), 赤江 雄一 (翻訳) 「中世の知識人」 ジャック・ルゴフ著 岩波書店 岩波新書 アベラールにしぼると クランチー著/永嶋哲也訳, アベラール ある中世人の生涯. G.デュビー著/中軽米明子訳, がよさそうですね。 検索かけたら、こんなサイトもありました。 堀越先生も<現役で>がんばっているみたいなので、いいテーマをお選びになったようですね。
お礼
再度の回答、有難うございます。また、いろいろ参考図書を紹介してくださり、感謝の念でいっぱいです。ご紹介くださった本は、どれもすぐに手に入るわけではないので、まだどれも読んでいないのですが、なるべく早く読んで、構想を練りたいと思います。切り口としては、修道院制度もしくは神学に焦点をあてる方向にしたいと思います。
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佐藤賢一「王妃の離婚」という小説があります。西洋史に造詣深い作者がエロイーズ書簡を踏まえて面白い小説に仕上げていますからまずそれを読んでみたらいかがでしょうか。
お礼
早速の回答有難うございます。参考にしてみたいとは思うのですが、レポートの締め切りが、冬休み明けすぐで、時間があまり無いこともあり、小説よりは、即戦力となる論文、解説書系の参考図書の方がありがたいです。でも、なにか糸口がつかめるかもしれないので、一通り目を通してみたいと思います。
お礼
大変詳しい回答、本当に有難うございます。ご紹介くださった本は、どれも参考になりそうなものばかりでした。レポートを、どういう観点で書いていくのかについてのヒントも得られました。ご回答を参考にして、少しでも良いレポートが書けたらと思います。