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敵対的買収に対する防衛策

MK1の回答

  • MK1
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回答No.2

まず言葉の定義として、「ポイズン・ピル」とは、将来決議権が発生する潜在的な権利を予め株主に与えて、買収者の買い占めが一定割合に達したときその効力を発揮し議決権比率を薄める仕組み。買収者に対する毒薬(ポイズン・ピル)的な効果を発揮する、ことです。 従って、この新株予約権を利用して一定条件でその権利行使ができるようにしたものが「ニレコ」の手法で、これもポイズン・ピルの一種といえるでしょう。また、同じ意味でニッポン放送―フジサンケイグループによる今回の新株予約権発行計画もポイズン・ピルの効果を狙っていると言えます。 さて、それが合法か否かという点では、これまで適当な前例がなかったのですが、3月11日の「新株予約権発行差止仮処分命令申立事件」東京地裁決定・仮処分命令にその答えが一定程度示されました。 ・会社に支配権争いの事実がある。 ・従来の株主の持株比率に重大な影響を及ぼすような数の新株予約権が発行される ・第三者に割り当てられ、支配権を争う特定の株主の持株比率を低下させる ・現経営陣の支配権を維持することを主要な目的としてされた 上記の場合、株主全体の利益の保護という観点から発行を正当化する特段の事情がない限り、新株予約権発行は不当な目的を達成する手段としての不正発行と認定。 つまり、現経営陣が防衛のため効果的なポイズン・ピルとして新株予約権発行を企てた場合、「株主全体の利益の保護」の意味で正当化される場合のみやってもよい、という判断です。買収に対する企業防衛はあくまで「株主全体」のためであって、経営陣の保身は認めない、ということです。 ですから買収者が現経営陣と同等か、優れた経営をするなら買収は正当化される。換言すれば、買収によって株主利益が毀損される場合にのみ、こうした企業防衛策は合法的に発動できる、としたわけです。 また16日、この仮処分命令に対するフジ側の異議申立に対して、地裁は「誰を経営者にするかは、株主総会での取締役選任を通じて株主が決定すべき問題」と指摘。「大株主が現れたからといって、事後的に新株予約権を発行し、買収者の持ち株比率を一方的に下げることは投資家の予測可能性の観点からも許されない」と判示しています。 要は、相当な事態でなければ、会社の経営は株主が決めることで、経営者は独断専行してはいけない、と釘を差しています。株主全体の利益を無視した攻防は違法という判断です。 その相当な事態とは、 1)買収側に会社経営に参加する意思がなく、株価をつり上げて高値で株を引き取らせようとする「グリーンメーラー」のケース 2) 買収側が支配権を握ると会社に回復し難い損害を与えるケース などに限定されると、具体例を挙げて示しました。 しかし、これは問題点も残しています。今回もそうですが、買収者が企業価値を下げないと宣言すると、現経営陣がそれを否定し、論証するのはかなり難しい、ということです。今後ほとんどの買収が肯定され、ポイズン・ピルなどの防衛策がとれない可能性もあるわけです。

kanpyou
質問者

補足

ありがとうございます。 明快な回答で、分かりやすかったです。 敵対的買収:防衛策に開示義務 株主利益を考慮--政府、政省令で検討 02/2/26毎日新聞 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/02/26/20050226ddm002010175000c.html によると、敵対的買収の防衛策導入案の策定は、取締役会や、株主総会に任せられるようです。 確かに、杓子定規の防衛策を制定してしまうと、事実上敵対的買収の禁止になるわけで、民間主導となるのでしょう。 そこで、取締役たちは、どの程度までの事態を想定しなければならなくなるのでしょう? 違法すれすれ、一見して明らかに『違法』なものを防衛策として承認しなければならなくなるのでしょうか? 「銃の携帯は『黙認』するが、弾の調達、保管、使用方法は各自に任せる」 そして、事後的に正当性を判定するのでしょうか?

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