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安倍公房の「魔法のチョーク」
ちょっと読んで、よくわからないのです。最後、アルゴン君は死よりも強いなにものかに招かれて、壁に吸い込まれていった。壁の中から「世界をつくるのはチョ-クではない」という呟きが聞こえた。壁の上に一滴の涙は絵になったアルゴン君の目のあたりから出ていた。 いったい、どういう意味ですか。その死より強いなにものはなんですか。教えてくださいm(__)m。
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まだどなたも回答を寄せられてないようですし、このままでは締め切るにも締め切れないですよね。 そこで、「枯れ木も山の賑わい」ということで、参考になるかどうかは分かりませんが、この本を読んだ感想を書いてみます。 安部公房の文章は独特の暗喩的な表現があって、すんなり読めるのですが、読後何を表現しているのだろうと考え込む本が多いですね。この短編「魔法のチョーク」などもそんな話ですね。 わたしがこの短編を読んでまず最初に感じた事は、後に執筆された「砂の女」などと共通するテーマがあるのではないだろうかという事でした。もし質問者さんがもうすでに「砂の女」を読まれていれば、ご存知だと思いますが、砂の井戸みたいなところに閉じ込められた主人公が、そこから逃げ出したいために、もがき苦しむわけですが、最後でようやくその希望が現実のものとして叶ったとき、その砂の井戸みたいなところから逃げ出すどころか、そこで生活していくのも悪くはないと思い始める、そんなストーリーだったと思います。 この「魔法のチョーク」のチョークが、「砂の女」の砂の井戸みたいなものなのではないのでしょうか。平たく言えば「自由」かも知れませんね。わたしたちは皆自由を欲しますが、いざ自由を手に入れると、「自由」というものには、いかに責任と義務が付随しているかに驚いてしまうのだと思います。そして「不自由」と思われている現実の世界で、模索しながら生きていくことこそが、本来の人間の姿なのではないだろうか。 わたしには安部公房がこんな風に語っているように思いました。
お礼
大変助かりました。どうも、ありがとうございます。