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単為生殖
こんにちは。 オオミジンコや、爬虫類には単為生殖が存在するそうですが、両性具有とはまた違ったものなのですか。
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生物科学用語での「単為生殖」というのは「メスだけで子孫を増やし続ける」というモノです。一方の「両性具有」とは「一つの個体にオスとメスの身体的特徴が同時に発現している状態の事」を言います。つまり「単為生殖」というのはある生物種の繁殖方法を指し示していますが、「両性具有」というのは一つの生物個体の身体的特徴を表す言葉です。似ている様ですが、この2つは全く違う異なった概念を表現しています。通常、生物科学用語で「両性具有」と言った場合は奇形(染色体異常)の事を指します。 質問者が「両性具有」と仰っているのは恐らく、「雌雄同体」の事ではないかと思います。これはカタツムリ等に見られる一部の生物種の特質で、1つの個体がオスでもありメスでもあるという生物種の事です。動物だと珍しい特殊な生態の様に思えますが、一般的な地球上で繁栄している種子植物の多くはこの雌雄同体です。1本の草木にオスの性質である「花粉=精子」を作り、それと同時に同じ草木の花の中に「めしべ=卵子」を作り、それが受粉(受精)を行って子孫である種を作ります。 しかしながら裸子植物であるイチョウの木は雌雄異株であり、それぞれに性別があります。雄株のイチョウの木であれば雄花が咲き、花粉を飛ばしますがギンナンの実は成りません。逆に雌株のイチョウの木であれば雌花が咲き、そこに雄株からの花粉が風に吹かれて届けば受粉が行われ、そこにギンナンの実が成ります。 通常、単為生殖は「有性生殖」の一種であると考え、大腸菌の様な元から性別が存在せずに細胞分裂などで増える生物の場合は「無性生殖」と呼びます。あくまでも雌雄の区別があり、その中で1つの性別しか存在しない場合であっても、子孫を残せる場合に単為生殖という言葉を使います。その多くはメスのみで子孫を増やすパターンが多いですが、中には単純なオスメスで区分出来ない "第三の性" を持つ生物種もいます(緑藻ボルボックスなど)。 また一言に「雌雄同体」と言っても、その形態は生物種によって様々です。カタツムリやウミウシなどは1つの個体が同時にオスでもありメスでもありますが、2匹が出会うと「ペニスフェンシング」と呼ばれる、互いにオスとしての生殖器を相手に突き刺そうとして戦い、その戦いに負けた方が生殖器を突き刺されて精子を送り込まれます。するとこれがトリガーとなって突き刺された方が受精して体内で卵を抱卵する様になり、メスとなってやがて産卵します。この場合、確かに「一つの個体にオスとメスの身体的特徴が同時に発現している状態の事」ではありますが、前述の通り両性具有とは言わずに雌雄同体と呼ぶ方が一般的です。 ミジンコの場合は生息環境の変化によって個体の性別が変化します。卵から産まれたミジンコは基本的には全てメスとして産まれ、そのまま成長したらオス無しでの単為生殖で産卵を繰り返します。この時、産まれてくる子供は全てメスであり、遺伝的には母親のクローンです。やがてミジンコの個体数が飽和状態になる、或いは水質が悪化するなどの生育繁殖に適さない環境になると、今までメスしか産まれて来なかった卵の中からオスが産まれて来る様になります。このオスとクローン体のメスが交尾して産む卵は今までの卵とは異なり、厚くて硬い殻に包まれた「耐久卵」と呼ばれる乾燥にも強い丈夫な卵で、この耐久卵は一種の冬眠状態に入って再び次の雨季などの環境が良くなる時まで長い眠りに付きます。
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