- ベストアンサー
乱心を装うハムレットのセリフの意味は
- 乱心を装ったハムレットがオフェーリアに向かって投げつける言葉。
- 前後の関係から、このセリフは明らかにオフェーリアのことを指している。
- 「売女」はオフェーリアがハムレットによって利用されていることを意味している可能性がある。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
以下のとおりお答えします。(面白いテーマですね。) >「美しさはまともな女の本性を売女にかえる力を持っている」とはシェイクスピアのセリフです。乱心を装ったハムレットがオフェーリアに向かって投げつける言葉。前後の関係からこの「まともな女」とは明らかにオフェーリアのことを言ってると思うんですがその意味はなんなんでしょぅ。当方の解釈ではこの前の場面でオフェーリアが父親(ポローニアス)にハムレット様とは身分違いだから諦めろ、と言われてほんとに諦めてしまい、それどころか知らず知らずにハムレットの真意を探るスパイの役割を演じさせられてしまう。「売女」とはそういう意味かと思うんですがどうでしょうか。 ⇒なるほど、文脈から推して、大いにあり得そうな解釈ですね。 ところどころ独白とも見えるハムレットのセリフは、実にいろいろなことを暗示していますよね。例えば、オフィーリアに言う「尼寺へ行け」は、「売女宿へ行け」という意味にも取れるそうですし、その直前に言う「たって結婚したいならばかを亭主にしろ。賢い男なら、お前と一緒になったが最後、どんな化け物にされるかよく知っている」などは、まさに自分はそういう犠牲になりたくないとでも言わんばかりのセリフに聞こえますよね。 また、「お父さんはどこにおいでだ?」―オフィーリア:「(いつわって)家におります」というオフィーリアとの対話や、「(自分は)傲慢で、復讐心が強くて、野心深くて…」というモノローグめいたセリフは、オフィーリアのみならず隠れているらしい(と彼が勘ぐっている)者にも聞かそうとしているようにも見えます。さらに、何度も元の場所(謁見室に続く大廊下)に戻って来るのも、隠れているに違いないと当りをつけた叔父やボローニアスの気配を探る様子をそれとなく暗示しているようでもあります。 ところで、この場面の少し前に出てくるセリフ、To be, or not to be, that is the question.を明治時代の初訳では「あるかあらぬか、あれは何ですか」だったと聞いたことがありますが、この「あれ」は、他者の存在をそれとなく訳に載せようとしたのかも知れませんね。なお、我々は長い間これを「生か死か、そいつが問題だ」という訳で親しんできましたが、小田島雄司氏はこれを「このままでいいのか、よくないのか」というように変えたそうです(ある大学での口演で聞きました)。それほどに、この単純そうに見える表現が、いろいろに解釈される可能性を含む、ということを示していると思います。ともあれ、『ハムレット』の特徴の一つと言える「伏線や余韻が多いほど観客の想像力を掻き立てる」ことは事実ですね。 ということで、私の結論:オフィーリアが「知らず知らずにハムレットの真意を探るスパイの役割を演じさせられてしまう」というお説は、大いにあり得ると思います。少なくとも、この戯曲を読む読者や演劇を見る観客に対して、「そういう可能性がある」と考えさせる可能性は十分にあると言えるでしょう。
その他の回答 (1)
- SPS700
- ベストアンサー率46% (15297/33016)
バリオラムの『ハムレット』版は1877年以来色々ありますが、その時までの解釈の集大成で、読者の数だけ解釈数もあります。
お礼
ご回答の内容が専門的で当方にはよく理解できませんが、読者の数だけ解釈数があるというのは少しは理解できます。ハムレットに限らずシェイクスピアの作品は全体的に印象はおおらかで緊迫感が乏しいです。悲劇なのに滑稽感があるんです。ハムレットの最後の部分、墓堀人夫が登場する場面なんかがそうです。やはり元々広い意味で娯楽作品として作られたからでしょうか。今のテレビドラマと同じなんだと思います。シェイクスピアはその作品の主題とかは考えなかった。なにより観客の興味を引きたかったんだと思います。自分の書いたセリフが後の世でどう解釈されるかなんて気にもしなかったんでしょうね。ご回答ありがとうございました。
お礼
当方の解釈がまったくの見当違いでないと分かって安心しました。シェイクスピアの作品は本当に奥が深いです。ハムレットは既に復讐を決意しているわけですからその心の中は普通ではないわけです。周りの人間がなにを考えているかもわかるんでしょう。小林秀雄さんは「ハムレット」について「作者(シェイクスピア)は復讐者の心理をよく理解していた」と書いてますがその通りなんだと思います。ご回答ありがとうございました。