難聴のお子さんへの知能や認知処理特性の検査の実施について
私はろう学校の通級指導教室を担当しております。質問ですが,難聴のあるお子さんの知能水準や認知処理特性の把握でよい方法はないでしょうか。一般的にはWISC-IIIやK-ABC,ITPAなどの心理検査が考えられます。しかし,難聴のあるお子さんにはその聞こえの不自由のため,言語性の検査は困難さがあります。これまでに何人かのお子さんに実施してきましたが,軽度の難聴者や聴覚をよく活用してきているお子さんにはかなり信頼性,妥当性があるかと思いますが,重度や高度の難聴のお子さんには参考程度です。
検査の一部しか十分には実施できないようです(動作性の検査のみ)。方法以外で,例えば,WISC-IIIやK-ABC,ITPAを実施して,難聴のお子さんという視点からの適切な解釈仕方等はないでしょうか。特殊教育から特別支援教育への転換が図られている現在,LDやADHD,高機能自閉症等の軽度発達障害のお子さんへの支援が喫緊の課題になっております。ろう学校にも軽度発達障害を併せ有すると判断できる可能性のあるお子さんは多くおります。私はそれまでに知的障害教育に長く携わってきたので余計にそう感じます。ところが,ろう学校ではあまりそのような視点を持つ教員はごく少数です。ただでさえ見えにくい軽度発達障害に対して,難聴を併せ持っていることで,余計に見えにくいものです。「ただ,難聴があって日本語の獲得が遅れているだけ」とおっしゃる方が少なくありません。識者の方々からの情報,ご意見をお待ちしております。