金型部品へのTD処理で寸法を変化させずに製作する方法はあるか
- 金型部品へのTD(またはTiC)処理を行うと0.01~0.03変寸しますが、寸法を変化させずに製作する方法はあるのか。
- 部品製作メーカーにTD処理後の寸法で製作依頼を出したら、処理によって寸法が変わり規格内に入らないと言われた。TD処理屋さんも変寸対策は難しいと言っている。
- SKD-11で異形状の精度を要求されるTD処理部品はどう対応しているのか、教えてほしい。
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金型部品へのTD処理
お世話になっております。 いつも質問ばかりで申し訳ございません。 金型部品(絞り物)にTD(またはTiC)処理を行うと0.01~0.03変寸しますが、出来るだけ寸法を変化させない方法はあるのでしょうか。 部品製作メーカーにTD処理後の寸法で製作依頼を出したら、処理を行うと寸法が変わるので規格内に入りませんと言われました。また、TD処理屋さんも変寸対策は難しいと言っていました。 精度を要求されるTD処理部品は皆様どうなさっているんでしょうか。 ご教示お願いいたします。 ※材質はSKD-11で異形状です。
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表面処理を取り扱っております。 TDやTiC(CVD)の場合、焼入れ・焼戻し工程をもう一度するような形になるので、寸法変化はどうしてもついてまわります。したがって、TD・TiCを施工したくてもできない物は、PVD処理が使われるようです。 PVD処理の場合は処理温度が500℃近辺になりますので、SKD11の場合、高温焼戻し(520℃以上の焼戻し)を行う必要があります。 難点としては、皮膜厚が1.5μm~2.5μmほどで、皮膜を越えると通常の母材硬さになってしまう為、硬さの差から来る密着合成が低いということになります(皮膜剥離につながる 40ニュートンの密着力といわれます)。また、薄い皮膜(豆腐の上に銀紙が乗っている情況を思い浮かべて頂ければわかりやすいでしょうか)なので、絞り・曲げの圧力に対して弱いという問題があります。 改善する方法としては、白層の無い窒化処理を下地に処理を施工した後、PVD処理を行う方法です。皮膜硬さと母材硬さの差を小さくする硬化層を得られるため、硬さ合成が上がり密着力・圧に対する耐性が付きます。(密着力90ニュートンほど 白層ができる通常の窒化処理の場合、白層が邪魔をしてPVD処理ができません) 詳しくは弊社HPをどうぞ。(カナックPVDというのがそれです もしくは営業萩原までお問合せ下さい) また、PVD処理は(照射角から)影のできる部位は皮膜の付き・密着力が低くなる傾向にあります。形状を選ぶ問題もあるのでご注意を。 その場合、皮膜処理は難しくなってくるので、窒化処理か、材質の変更+窒化処理の方法しかないと思われます。
- 参考URL:
- http://www.kanuc.co.jp
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ひずみの問題は結果として改善されないと思います。 ただ、ひずみにくさから言えばTDよりTicのほうが処理温度が低いためひずみが少ないみたいです。(確かTD1000度、Tic500度だったと思います。その分TDのほうがはがれにくいと聞きます。) 今回のワークは絞りダイということなのでTDをおすすめします。 ウチではTDをするワークに関しては基準とするところを必ず処理前に決めておいて処理後調整を行います。基準をしっかりしておけば調整はそんなに難しいものではないと思います。 ちなみにTD処理をしてもらう前に、焼入れ(焼きいれ、高温戻し)は当然行っていますよね。もし、熱処理をしないでTDをした場合、熱処理をする場合と比べてかなりひずみが出ます。 ウチでは熱処理をしてから調整をしてTD後も再度調整を行います。
お礼
回答ありがとうございます。 焼入れは熱処理専門の業者さんでおこなったものをTDに出しております。 焼き入れがきちんと行われていれば変寸しないものかと思いましたが、やはり歪みが出ます。(可能なものは後から調整しております。) TDとTiCの使い分けも有効そうですね。
表面処理を取り扱っております。 TDやTiC(CVD)の場合、焼入れ・焼戻し工程をもう一度するような形になるので、寸法変化はどうしてもついてまわります。したがって、TD・TiCを施工したくてもできない物は、PVD処理が使われるようです。 PVD処理の場合は処理温度が500℃近辺になりますので、SKD11の場合、高温焼戻し(520℃以上の焼戻し)を行う必要があります。 難点としては、皮膜厚が1.5μm~2.5μmほどで、皮膜を越えると通常の母材硬さになってしまう為、硬さの差から来る密着合成が低いということになります(皮膜剥離につながる 40ニュートンの密着力といわれます)。また、薄い皮膜(豆腐の上に銀紙が乗っている情況を思い浮かべて頂ければわかりやすいでしょうか)なので、絞り・曲げの圧力に対して弱いという問題があります。 改善する方法としては、白層の無い窒化処理を下地に処理を施工した後、PVD処理を行う方法です。皮膜硬さと母材硬さの差を小さくする硬化層を得られるため、硬さ合成が上がり密着力・圧に対する耐性が付きます。(密着力90ニュートンほど 白層ができる通常の窒化処理の場合、白層が邪魔をしてPVD処理ができません) 詳しくは弊社HPをどうぞ。(カナックPVDというのがそれです もしくは営業萩原までお問合せ下さい) また、PVD処理は(照射角から)影のできる部位は皮膜の付き・密着力が低くなる傾向にあります。形状を選ぶ問題もあるのでご注意を。 その場合、皮膜処理は難しくなってくるので、窒化処理か、材質の変更+窒化処理の方法しかないと思われます。
- 参考URL:
- http://www.kanuc.co.jp
TDやTiCに代わるものとして、PVDコーティングがあります。 低温で処理するので熱歪みが殆ど無いようです。 日本コーティングセンターさんのHP http://www.jcc-coating.co.jp/PVD.html などご参考下さい。 TDやTiCに比べると密着強度が劣る様ですが、熱歪みが許容されないものに良く使われている、と営業の方がおっしゃっていました。 ちなみに弊社では、鋼鈑工業(株)さんのプラズマハードシリーズを採用しています。耐久性については、TD処理よりも良い、との工場の評価です。 http://kohankogyo.com/ 但し、TD処理に比べると、Kgあたり単価は高くなるようです。 (2-5倍程度と聞いています。)
お礼
大変参考になります。 ありがとうございます。
普通に考えると変寸を予測して、変寸分だけ形状を調整しておいてから処理するということでしょうけど、再現性を考えると保証が出来ないのでしょう。 材料や処理上のばらつきの上に、異形状ということなので、3次元的な複雑な変形されてしまうとなると、もうお手上げなのかもしれません。 TD処理をやったことがないので本当のところは分かりませんが、継続的に何型か続ければ、徐々に予測精度が上がっていくということはあるかと思うので テスト用の金型費用の提供を提案してみてはどうでしょうか? そんなに贅沢なことが許される案件であればの話ですが。 熱処理変形に関する数値解析の試みについての文献をみる機会が多くは無いので、かなり難易度が高いのだと思います。 実際には技術力、資金力のあるところが一部でやっているのみで、一般には経験とカンに頼らざるを得ないのでしょう。多変量数値解析に必要な全ての物性値、特性値、熱処理条件の正確なデータを揃えることが可能なところはかなり限られるので無いでしょうか。
お礼
回答ありがとうございます。 変寸に関しては予測がつきにくいため、苦慮しています。 (半分妥協しています。) 経験とカンの世界なのでしょうかね。
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