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隕鉄工具の展示場所

今(2016/11-12)京都文化博物館にカフラー王の閃緑岩像が展示公開中。モース硬度7近い硬さの閃緑岩をこれほどまでに彫り上げた古代エジプト人に脱帽です。BC2500頃の作らしいのでヒッタイトの製鉄開始(BC1500頃)より1000年も前。彫刻道具は何か・・・現代ならダイヤモンド工具等でしょうが、当時なら隕鉄工具を使った・・・とネット上にありました。私も同感です。 隕鉄工具説が正しいとして、隕鉄工具はどこかで見られるでしょうか。数回訪問のカイロ博物館では見た記憶がありません。見落としたかもしれません。隕鉄工具の展示場所をご存知の方、教えてください。よろしくお願いいたします。

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  • kagakusuki
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回答No.1

 隕鉄工具説などという説がどこから来たものなのかは判りませんが、兎に角その様な説は間違っていると考えられます。  まず、鉄というものは花崗岩や閃緑岩などといった石材と比べてかなり軟らかい素材であり、そのモース硬度は4.5に過ぎません。  石材用のノミなどは石を割ったり、溝を掘ったりする事が出来ますが、ノミなどの工具に使用されている材料は鉄そのものではなく、鋼なのです。  鋼とは鉄に適度な割合で炭素を混ぜ込む事によって作られた"鉄の合金"なのです。  炭素の含有率が高い硬鋼であれば炭素の含有率と熱処理のやりかたによってはモース硬度を6.5程度にまで高める事も一応は可能です。 【参考URL】  東京都鍍金工業組合 > 高等職業訓練校 > めっき関連データ集 > 各種物質のモース硬度   http://www.tmk.or.jp/data/data15.html  しかし、その様に特に硬くなる様に作られた硬鋼は、硬い代わりにもろくなっており、衝撃を受けると折れたり欠けたりしやすいため、ノミなどには使えるものではありませんので、単純な炭素と鉄の合金でノミなどを作る場合には、モース硬度は6もあれば良い方ではないかと思います。  それに、そもそも隕鉄以外には鉄を手に入れる手段が存在しない様な文明において、鉄を高温で融かしてから炭素を加えて鋼を作り出す技術など存在している訳がありませんから、隕鉄しか使えないような時代には鋼というものは存在しておりませんでした。  そのため、石材を加工するための道具の材料としては隕鉄は不適当な材料でしかありませんでした。  因みに多くの隕鉄は殆ど炭素を含んでおらず、隕鉄を使って作られた流星刀という刀が日本国内に実在するのですが、隕鉄だけでは軟らか過ぎて刀として作る事が出来なかったため、人工的に作った鋼(炭素と鉄の合金)を4割も混ぜなければならなかったそうです。 【参考URL】  流星刀 - Wikipedia > 1.3 製作   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%81%E6%98%9F%E5%88%80#.E8.A3.BD.E4.BD.9C  混沌の狭間 > 混沌の理 > 混沌の中枢 > 資料 > 隕鉄   http://www13.plala.or.jp/Ragnarok2/file/meteoriciron.htm  ギベオン隕石 - Wikipedia   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%99%E3%82%AA%E3%83%B3%E9%9A%95%E7%9F%B3  石よりも軟らかいという事は、石材加工の道具として用いた場合、摩耗が激しくなり頻繁に交換しなければならないという事を意味します。  しかし隕鉄の道具は偶然空から落ちて来たものを利用しただけなのですから、損耗したからと言って新しいものなどないのですから、交換など出来る筈もありません。  従って、硬い岩石を加工するための道具として隕鉄が使われていたなどという事はあり得ない話に過ぎません。  石材の加工用の道具の材料としては、硬い岩石や、青銅などといった損耗しても新たな材料が供給可能なものが使用されていた事は間違いないと思われます。(それ以外に選択肢はありません)  石や青銅では岩石としては硬い部類に入る閃緑岩を加工出来ないと思われるかも知れませんが、同じ閃緑岩や、閃緑岩よりも硬い石英を主成分としたチャート(火打石)の類であれば、閃緑岩を少しずつ削る様にして加工して行く事は十分可能な事です。  ダイヤモンドをカットする際にダイヤモンドの粉末が使われている事からも明らかな様に、同じ硬さのものを使えば加工する事は可能なのです。  それに、そもそも「カフラー王の坐像」は閃緑岩で出来ている訳ではありません。  閃緑岩製だと考えられていたのは昔の話で、現在では片麻岩で作られている事が判明しています。 【参考URL】  Reading Egyptian Texts_古代エジプト史料館 > 古代エジプト研究 > 古代エジプトの美術と石材   http://www.geocities.jp/kmt_yoko/EA_Stones.html  ですから、花崗岩等の硬い岩石を使えば十分加工す事が可能だったと考えられます。

areisama
質問者

お礼

大変見識の深い答をいただき大いに感謝しています。すごく勉強になりました、そして自分の無知を恥じました。カフラー像が片麻岩だったのが少なくとも2003年以前にわかっていたとのURLを読んで赤面しました。ロゼッタ・ストーンが花崗閃緑岩 だとか、流星剣の苦労話も興味津々です。新たな知識を得る事が出来て質問してよかったと思っています。ありがとうございました。

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