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トランジスタ:エピタキシアル成長とは?
トランジスタにおけるエピタキシアル成長とはどういったものでしょうか?宜しくお願い致します。
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結晶成長の分野で用いられる用語ですね。カタカナですと「エピタキシャル成長」と表記するのが通常です。エピタキシャル成長(epitaxial growth)はラテン語の"epi-taxis"からきた言葉で、epiは「~の上に」taxisは「配列する」の意味です。 ある下地材料(基板)の上に、下地の結晶構造に倣って次々に原子や分子が積み上がって結晶が成長していく様式のことを「エピタキシャル成長」と呼びます。下地材料と成長部分が同じ物質であれば「ホモエピタキシー」、異なる物質であれば「ヘテロエピタキシー」と呼びます。逆に、ある基板の上に結晶が生成したとしても、下地の結晶構造と生成部分の結晶構造が無関係であればエピタキシャル成長とは呼びません。 また、融液相からの結晶成長も確かに種結晶の上に規則的に原子が配列していく成長ですが、通常は溶液相や気相などの稀薄系からの結晶成長に対してこの用語が使われます。一般に溶液相や気相からの結晶成長の場合、熱平衡に近い状況でゆっくりと成長が進むため、成長部分の結晶性は良好なものとなります。 半導体の実験や製造に使われるエピタキシャル成長には、溶液を用いるLiquid Phase Epitaxy(LPE)、真空で分子ビームを用いるMolecular Beam Epitaxy(MBE)、ガスを反応させて基板上に析出させるVapor Phase Epitaxy(VPE)などがあります。ガスからの成長はChemical Vapor Deposition(CVD)と呼ばれることもありますが、CVDの方が概念としてはやや広くなります。 通常の半導体トランジスタは、シリコンウェハに不純物(ドーパント)を表面から拡散させて作ります。シリコンウェハの上に新たに、エピタキシャル成長でP型やN型の層を積み重ねて作るわけではありません。原理的にはエピタキシャル成長でトランジスタを作ることは可能ですが、汎用のトランジスタをこの方法で作ってはコスト的にとても見合わないからです。 エピタキシャル成長で作られる素子としては高電子移動度トランジスタ(HEMT)やレーザーダイオードなどの特殊な素子が挙げられます[1]。これらの素子は、微妙に材質の違ういくつかの半導体の層を精密に積み重ねて作られるもので、エピタキシャル成長でないと実現できません。 他に青色発光ダイオードもエピタキシャル成長を応用して作られています。高価で機械的強度に劣る発光層の半導体(窒化ガリウムなど)を、安価で丈夫な基材(サファイアなど)の上にエピタキシャル成長させて素子の素材としています。 なおNo. 1の回答が誤っていることは自明です。引用してあるページの記述自体は正しいですが、エピタキシャル成長とは結晶構造そのものを指す用語ではありません。 [1] エピタキシャル成長技術実用データ集 http://www.science-forum.co.jp/books/0102.htm 書籍の紹介です。目次だけですが、どのような分野に応用されているかは分かると思います。
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- sanori
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実用的には、シリコン基板の直上あるいは、その上に新たにシリコンを足す技術の一つと認識しています。 私の知っている限りでは、半導体工程で実際に使われているのは、 1.エピ成長 2.ポリシリコン(多結晶シリコン)のCVD 3.アモルファスシリコン(非晶質シリコン)のCVD 4.シリコンのスパッタ の4種類の方法です。 この中で、最も単結晶に近いシリコンを足せる技術がエピ成長です。 エピ成長は、ほかの3つの技術と比べて、使用される頻度が少ない技術ですが、結晶性を重んじる場合に使われるのです。 もしかしたら、シリコン以外のエピ成長が半導体工程に実用化されているかもしれませんが、それについては知りません。
- hana-hana3
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半導体結晶を作成する上での、重要な結晶構造のこと。