• ベストアンサー
※ ChatGPTを利用し、要約された質問です(原文:江戸時代の書状。「殿」と「様」の使い分け。)

江戸時代の書状。「殿」と「様」の使い分けについて

dayoneの回答

  • dayone
  • ベストアンサー率79% (360/452)
回答No.6

既回答者の皆様方と重複部分する箇所も多々ありますが、御容赦下さいm(_"_)m <雑誌『国語学』全文データベース -簡易検索-> http://db3.ninjal.ac.jp/SJL/search.html ・「「おまへ」「あなた」の発生は待遇表現体系にどんな影響を与えたか/山崎久之」 『国語学 第四十五集/1961年(昭和三十六年六月三十日)』(1-14頁) http://db3.ninjal.ac.jp/SJL/getpdf.php?number=0450010140 <3/14> (A)室町時代末期(男性語)/代名詞(接尾語)/ 第一段階(大敬語)こなた様/第二段階(普通敬語)そなた(殿)/… <9/14> …接尾辞は、室町末も前期も不変であって、(一)様、(二)殿、(三)(四)呼捨であった。 当期の一般庶民語でさえ、大綱としては不変で、わずかに「殿」が「どん」に、 「様」が「さん」になり、「どの」は庶民語二人称ではすたれていったに過ぎない。… ・「ジョアン・ロドリゲス『日本大文典』の待遇表現/松岡洸司」 『上智大学国文学論集 36/2003-01-11』(1-20頁) http://ci.nii.ac.jp/naid/110000187107 第一章 待遇表現 <4/20> …第二巻の「会話に於ける尊敬及び丁寧の助辞について」には、 尊敬の助辞は名詞に接続するものである。 御<ぎょ>・御<ご>は「こゑ(※中国語由来)」、 「御<おん>・御<お>・御<み>」は「よみ(※日本固有)」、 さらに「様<さま>・上<うえ>・殿<どの>・殿<との>」はよみ、… …「様」は、「屋形様・殿様・伴天連様」など。「上」は「上様・母上・御上」など。 「殿<どの>は「有馬殿・筑後殿・左兵衛殿・貴殿」、 「殿<との>」は「二人の殿・両殿」があげられている。… 「<9/20>第二章 書き言葉の待遇表現の「型」」では、 「様」「殿」の位置付けが明確ではありませんが、 手持ちの『大野晋の日本語相談/大野晋/朝日文庫/1995.11.1』の中の 「「殿」と「様」にはどんな違いが?」(57~60頁)によりますと、 …『日本大文典』(ロドリゲス著、1604~08年、長崎学林刊、邦訳土井忠生)には 手紙の言葉づかいについて、八十頁にもわたって詳しい記述があります。 室町時代の末頃の様子がそれでかなりよく分かります。… …まず手紙の書き方について、しっかりした楷書で書いたものは行書よりも敬意が高く、 草書で書いたものは敬意が劣るとあります。… …「手紙の上書<うわがき>とか、中身の末尾に、手紙の送り先を書きときは、 まず相手の名字(みょうじ)と、その人の官職名を書く。 その後に必ず『殿<どの>』と書く。もっとも今では『様<さま>』と書くようになった」 とありますから、「様」は新しい使い方だったことがわかります。 以上から、室町時代には、「話し言葉」では「様・殿」ともに使われ、 「様」の方が「殿」よりも敬意が大きいとされる一方で、 「書き言葉」では必ず「殿」が使われていたところ、 室町末期・江戸初期には「様」が新しい使い方として登場した状況が伺えます。 なお、過去には下記のような考え方も存在したようです。 『続史籍集覧.第2冊/近藤瓶城編/近藤出版部/1930.2』 「式目抄(貞永式目諺解)」 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1920236/19 <19/318>(31頁) …右大将家ハ頼朝ノ御事也家ハ公卿ノ美稱也惣[シテ]ハ家ト云モ殿ト云モ 同心也御殿ト云時ハ家ノ心也ナニ寺ナニ院ナニ房トカクモ殿トカクト 同シ去程ニナニ院殿ナニ寺殿トハカヽサル也 武家ノ書状ニナニ殿トカイテ御宿所トカクハイヤカキナレトモシ習ハシタル事 ナレハ是非ニ及ハス當時ナラハ右大臣殿様ナトカクヘキ歟 舊ハ物ヲ分別[シテ]カケリ此巻ノ内ニ様ト云字ハ一處モナシ 様ト云ハ賤キ者ノ口ヨリ云習ハセリ人ヲ敬テ様ト云事ナシ モシ敬字ナラハ天子ニ付ヘキカ天子ニ様ト云事ナシ 私様トモ云ヘシ尊敬ノ字ニハアラザル(ヘシ)… 上記を踏まえ、武家の「書札礼」を少し調べてみますと、 鎌倉・室町時代の書名などは多く散見されますが、 肝心の江戸時代の情報は上手く探し出せません(><) そこで先ずは室町時代でもやや後で成立した書札礼『宗五大艸紙』に当たってみますと、 ・『群書類従:新校. 第十八巻/内外書籍株式会社編/内外書籍/1932.7(昭和7年)』 解題 宗五大艸紙 一卷 伊勢貞賴 ※大永八(1528)年成立※ http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1879799/14 「新校羣書類従 卷四百十三 武家部十四 宗五大艸紙」<67~100/427>(77~142頁) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1879799/89 <89/427>(120頁上段) 一 殿文字(に)其品あり。[※1]賞翫。[※2]同。[※3]等輩。[※4]「下様へ是を書なり」(下輩)。   [※5]此殿を書きたるハ、かなにどのと書たるよりハ、少賞翫。   又かなにてどのと書たるハ、かかざるほどの事也と云々。 「殿」文字の書体に対する優劣は大永八(1528)年頃には既に存在したようです。 なお『宗五大艸紙』では、事細かい書札礼が記述されているものの、 「様」には触れられていませんので、『日本大文典/ロドリゲス』の記述とも合致します。 『古事類苑』を覗いてみますと、 ・『古事類苑.文学部3/神宮司庁古事類苑出版事務所編/神宮司庁/明29-大3』 「文學部六 書簡文」の中で目につくのは、 <56/70>(463頁)〔近小牘禮 一〕様之事 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/897780/56 『近小牘禮』は遅くとも天和二(1682)年には成立していたようですから、 室町時代末頃から天和二(1682)年頃までの間には、 「書き言葉」としての「殿」「様」の混用が進んだのは確かなようです。 ただ、『古事類苑』「文學部六 書簡文」でも、事細かい書簡の決まり事や 「書き言葉」としての「様」文字の初期例などの情報はあるものの、 一部に個人間の私信に「様」の使われた用例はありますが、 肝心の「殿」「様」の使い分けについては言及されていません。 前置きが長くなりましたが、そんな中、下記論文に出会しました。 〇「明治維新における公文書書体の転換とそのメカニズム ─視覚メディアとしての公文書書体─/青山由起子/2005-12」 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_D1003624 下記論文と重複する箇所もあり、全ては読んでいませんが、<19~24/199>などから、 徳川幕府は室町幕府の書札礼を踏襲していたのは間違いないようです。 あと、下記では老中側ではありますが「殿」「様」の使い分けについて言及されています。 〇「江戸時代における「御家流」と「唐様」─書体というメディアの情報伝達/青山由起子」 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_81002817 <6/12> 2.江戸時代の社会における「御家流」と「唐様」の役割 …江戸幕府における公文書には、老中奉書がある。… …高木昭作は『江戸幕府の制度と伝達文書』において、 老中奉書が書状をベースにして成立したこと、 老中制度の成立が奉書のあり方にも影響を与えたことを指摘し、 同時期の奉書と書状における様式と文体について、その類似と差異を検証している。 例えば、老中が制度として成立した時期の、差出人・宛所(あてどころ)・日付・趣旨が 同一でありながら、一方は奉書、もう一方は書状という二通の文書を比較し、 当時の人々がどのように老中奉書と書状を書き分け、また区別していたかを明らかにする。 その二通とは対馬の大名宗氏の当主義成(1604~1656)に対して 幕府の指示を伝達したものである。 この二通には、文末の書止(かきとめ)が「恐々謹厳」か「恐惶謹厳」か、 宛名が殿付きか様付きか、さらに脇付の有無、本文冒頭の前置きの挨拶の有無、 「尚々書(なおなおがき)」の有無などの相違があり、 また将軍の意向を伝達する表現においても微妙に敬語を変化させていることから、 老中が一方は奉書、他方は書状の形式に区別して書き分けられていると述べている。… 以下 諸事情によりまして分割投稿御容赦下さいm(_"_)m

kouki-koureisya
質問者

お礼

丁寧なご回答ありがとうございます。 要点をピックアップしてみます。 (1)『大野晋の日本語相談/大野晋/朝日文庫/1995.11.1』の中の 「「殿」と「様」にはどんな違いが?」(57~60頁)によると 室町時代には、「話し言葉」では「様・殿」ともに使われ、 「様」の方が「殿」よりも敬意が大きいとされる一方で、 「書き言葉」では必ず「殿」が使われていたところ、 室町末期・江戸初期には「様」が新しい使い方として登場した状況が伺えます。 (2)『近小牘禮』は遅くとも天和二(1682)年には成立していたようですから、 室町時代末頃から天和二(1682)年頃までの間には、 「書き言葉」としての「殿」「様」の混用が進んだのは確かなようです。 ただ、『古事類苑』「文學部六 書簡文」でも、事細かい書簡の決まり事や 「書き言葉」としての「様」文字の初期例などの情報はあるものの、 一部に個人間の私信に「様」の使われた用例はありますが、 肝心の「殿」「様」の使い分けについては言及されていません。 (3)「江戸時代における「御家流」と「唐様」─書体というメディアの情報伝達」 この論文は、質問する前に読んでいたのですが、深読みしませんでした。 「老中が一方は奉書、他方は書状の形式に区別して」いたのですね。 続きは今から読ませていただきます。

関連するQ&A

  • 「様」「殿」「さん」等の使い分けについて

    よろしくお願いします。 仕事でのメールのやり取りについての質問です。 http://www.nttcom.co.jp/comzine/no015/mail/ を見ますと、あまり必ずそうしなければならない 決まりごとというものは無さそうですが、 実際のところどうなのでしょうか。 皆さんは、どのように使い分けていますか?  ・私は誰に対しては「様/殿/さん」を使っている・・  ・文中ではこう使っている・・  ・社外の人へのメール中で社内の人間の名前を   出すときはこうだ・・ など、思い当たる使用例を教えて頂けますか。 また、こういったトピックを扱っている サイトや本がありましたら教えて頂けると 助かります。 どうぞ宜しくお願い致します。

  • 『殿』と『様』の使い分け

    メールやFAXなどで、あて先の個人名につける ○○様 ○○殿でいつも悩んでいます。例えば、送る人によって替えるべきなのでしょうか? また、○○部長様や○○課長殿などのように、役職のあとに『様』や『殿』をつけるのはおかしいのでしょうか? 目上の人あてですと、『○○部長』でとめてしますと失礼な気がしてしょうがないのですが・・・・。

  • 様と殿の使い分けを教えてください

    私が調べたマナー本のすべてで「部長鈴木一郎様」「鈴木部長殿」と表記するとありましたが、実際は「殿」は同格、目下用と考えて人が多く、「鈴木部長様」と封筒に書いているようです。混乱しています。正しくはもしくは正確にはどちらなのでしょうか。

  • 「様」、「殿」、「氏」の使い分け

    仕事で普段何気なく使っていた「○○様」の「様」ですが、「様」の他に「殿」や「氏」があり、どのような場合に何を使えばいいかよくわかりません。明確な使い分けを教えてください。宜しくお願いします。

  • 「藩」とは?「家中」とは?

    幕末期の武士階級の日記や書簡をみると「藩」という字が溢れています。 「本藩」「弊藩」「一藩」「他藩」「尊藩」「諸藩」「列藩」のように自領にも他領にも使用されています。 藩の呼称は,江戸幕府の大名領に対する公称ではないとされていますが、あたかも公称のごとく多用されていると思います。 当時は、藩ではなく「家中」と呼んでいたと聞いたこともありますが、「家中」は、自領内向けの用語で、例えば「御家中の面々へ」というように、使う場合が多いと思います。 質問です。 幕末期、武士階級では「藩」という概念が広く行き渡っていたと思っているのですが、このような認識でよいでしょうか。 「書状」や「日記」をキーワードにちょっとググッタだけの感触ですから自信ありません。 そこで、他の大名領を「藩」以外の用語、例えば「家中」などと呼んだ例があれば教えてください。 なお、幕末とは、嘉永六 (1853)年ペリー来航後くらいとします。 よろしくお願いします。

  • メールの「様」「殿」の使い分け

    今の会社に転職で入社しました。 以前の会社でも電子メールは使用してましたが、「様」を使用してました。 今の会社は「殿」なので、戸惑ってます。 サイトで調べたら目上の人には「様」、自分と同等若しくは年下には「殿」と見たような・・・。 上司(A)からのメールは殿で来ます。 別の上司(B)にメールした返信では、私宛は「様」、CCの上司A(上司Bより年下)は「殿」。 私より年下の男性からのメールも同様でした。 我が社は、自分より年上の人には「殿」、年下には「様」なのでしょうか? 一般的にはどのような使い分けをするのが常識なのか、教えて頂けたら幸いです。 宜しくお願いします。

  • 『殿』『様』の使い方

    宛名書きする際、名前の下には敬称を付けますよね。 『殿』『様』を付けるとは思うですが、この2つの使い分けというのは 原則的に使い方が決まっているのでしょうか?恥ずかしながらわからないので ご存知の方、宜しくお願いいたします。

  • 様か殿

    検索して調べたのですが見つからなかったので質問します 重複してましたらお許しください 相手の役職がわかっている場合 日本国株式会社 人事部長 小泉様 となることは知っています この人事が?の場合 日本国株式会社 小泉部長殿 でいいのでしょうか?

  • 殿?様?

    昔から思っていたのですが、例えば係長から支店長に社内文書を出すとき「○○支店長殿」という宛名はおかしいように思います。「殿」はもともと目上の人が下の人に対して使う言葉であると習ったからです。でも横行してますよね。正しくは「○○支店長」もしくは「支店長 ○○○○様」が正しいように思いますが、どうなんでしょう?「○○支店長様」は論外。

  • 様と殿の使い方について

    タイトル通りなのですが、様と殿の使い方は、どのように使い分ければ良いのでしょうか。お分かりになる方、よろしくお願い致します。