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状態変化で,融点や沸点で温度が一定に保たれるしくみ
水の状態変化で,氷をゆっくり加熱していったときに, 融点や沸点で,状態変化が終わるまで,温度が一定に保たれます。 教科書では,加えた熱が,すべて状態変化に使われるからとだけ書いてありますが, そうなるしくみがわかりません。 なぜ温度が上がらずに一定になるのでしょうか。 教えてください。 よろしくお願いします。
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>水の状態変化で,氷をゆっくり加熱していったときに, 融点や沸点で,状態変化が終わるまで,温度が一定に保たれます。 固体から液体への変化、液体から気体への変化の両方でこのようなことがなりたっているということですね。でも本当でしょうか。 液体から気体への変化の場合について考えてみます。 ・・・もしかしたらおかしいところがあるかもしれません。 液体の水をゆっくり加熱していったとします。 「温度が高くなり、蒸発が盛んになり、ある温度で沸騰が始まる、・・・」 という流れが想定されていますね。 でもこの想定が成り立つためにはいくつかの条件が必要なのです。 (1)「ゆっくり加熱する」 これはどういう意味でしょう。「ゆっくり加熱する」と「ゆっくり温度が上がるように加熱する」とは違いますね。加える熱量がある値以上でなければ温度は上昇しません。蒸発は常に起こっています。気化熱が必要ですから周りからの熱の供給が少なければ温度は低くなります。水1gの温度を1度上昇させるのに必要な熱量が1calですが1gの水が気体になるためには600cal近い熱量が必要になります。蒸発が起これば温度は下がります。「ゆっくりとした変化」は熱力学的な現象を扱う場合にはいつも出てくるのですが機械的にそれを使うと意味を失ってしまう場合があります。この場合は「ゆっくりと温度が上がっていくように加熱する」です。沸騰まで持っていくにはある程度強い加熱が必要であるというのは普段、経験していることだと思います。でもまあ、そういう意味だとして「ゆっくりと加熱する」という言葉が使われているとします。 (2)「ゆっくり」という言葉が出てきている背景には普通の熱力学で扱っている現象の説明、関係式が平衡状態を前提としたものであるという事情があります。物質の状態を考えているときはその物体の全体がいたるところで同じ温度になっているということも条件になっています。ところが熱力学的な現象であると思われている「沸騰」は平衡状態での現象ではありません。平衡状態が成り立つ条件に近い状態を作ろうともしていません。逆に平衡が成り立たない条件が設定されているからこそ起こる現象です。この辺は多くの人が誤解していることだと思います。 (3)熱力学的に平衡が成り立つ条件に近い状態を実現しながら液体から気体への状態変化を起こさせようとする場合はどういう条件のものになるでしょうか。 (イ)水の状態変化を考えているのであれば密閉容器の中に気体の水と液体の水だけが存在する場合を考える必要があります。密閉容器の内部では気体と液体との間での平衡が実現します。この時の蒸気圧は飽和蒸気圧です。温度ごとに飽和蒸気圧が決まります。温度をある値に固定して圧力を測定します。また別の値に変えて測定します。それぞれの温度では平衡状態が実現しているようにしてから測定します。教科書に載っている表やグラフが「蒸気圧」という名前になっているのはこのような閉じた系での平衡蒸気圧が前提になっているからです。ビーカーで水を沸騰させるというような場合は開放空間でやっています。平衡状態の実現は初めから念頭にありません。 (ロ)その容器を加熱してゆっくりと温度を上げていきます。 (i)容器の体積が変化しないとします。温度が上がると気体の量が増えます。圧力も高くなります。でも沸騰は起こりません。ただ温度が高くなっていくだけです。ある温度まで行くと気体と液体の区別がなくなってしまいます。各温度で平衡が成り立っているように時間をかけて測定することが可能です。(沸騰は起こりませんが沸点は決まります。蒸気圧の温度変化が測定で得られるのであれば沸点は決まります。液面にかかる圧力(=蒸気圧)を1気圧とした時の温度が標準沸点です。) (ii)容器にピストンがついていて体積を変化させることができるとします。この場合はピストンを通じて一定の圧力Poが外部からかかっているという設定になります。この圧力に飽和蒸気圧が等しくなる温度をToとします。また容器内の温度をT、この温度での飽和蒸気圧をPとします。 T<ToであればP<Poですから容器内には液体しか存在していません。 ゆっくり温度を上げていってT=Toになったとします。この時P=Poになります。これで初めて容器内に気体が出現します。でもはじめ存在しなかったのですからちょうどToのままであればやはり気体は存在しません。わずかにToよりも高くなったところ(To+δT)で気体が出現します。この時の蒸気圧はPo+δPです。つり合いが破れますのでピストンが動きます。気体の供給が続くのであればピストンは動きつづけます。気体の供給はTo+δTという温度が維持されていれば途絶えることはありません。液体が全部なくなるまでピストンは動き続けるでしょう。・・・・「状態変化が完了するまで温度一定が維持される」に当てはまるのはこの場合です。これを沸騰についてもあてはまるとすると変なことになります。 この温度を維持するためにはかなりの熱量が必要です。ピストンを動かすために必要な仕事と気化熱です(熱力学の教科書で「蒸発のエンタルピー」と呼ばれている量はこの2つのエネルギーを合わせたものです)。T<Toで加熱していた時の熱量に比べてドンと大きくなります。 ここで考えたことは平衡状態からのずれが小さいという仮定の下でも実現しうることです。 表面で起こる気化と内部で起こる気化とを比べると内部でおこる気化のほうが少し大きなエネルギーが必要ですので平衡状態からのずれが小さい場合を考えているのであれば内部からの気化は考えなくてもいいはずです。 (4)開放空間で加熱していったときにはどうなるでしょう。空気の存在下での加熱です。 蒸発は任意の温度で起こります。蒸気はすぐに液面から離れて拡散していきますからいつまでたっても平衡状態は実現しません。液面にかかる圧力は空気の圧力と蒸気の圧力の和です。蒸気は拡散していますのでどれくらいの圧力を示すのかは不確定です。その温度での飽和蒸気圧に比べてかなり小さい値しか示さないはずです。蒸発は液体の表面から起こります。しかしある温度で内部からの気化もおこるようになります。泡が発生します。これが沸騰です。沸騰は外部条件によって起こるか起こらないが決まる現象です((3)で考えたような密閉容器の中の気体をゆっくり加熱していった場合には沸騰は起こりません)。沸騰によって生じた気体は拡散で広がって行きますから飽和は実現しません。表面近くで泡が生じる場合と液体内部の下の方から泡が生じる場合とでは必要な蒸気圧が異なります。泡の内部の蒸気圧が異なるということは温度が異なるということです。したがって沸騰が起こっている時の温度は一定であるとは言えません。表面近くでぽつぽつと泡が出ているときと、全体からぼこぼこ泡が出ている時では温度は異なっています。液体内部での温度勾配もかなりあります(対流が起こっているというのは目で見てもわかります。伝導でなくて対流が起こるためには温度勾配がある値を超えている必要があります)。でも泡が発生しているという状況ではあまり大きな温度の違いはないでしょう。10度の20度も変わるということは起こらないのです。気化熱が大きいということが決め手になります。(泡の内部では気体と液体が平衡状態に近い状態にあります。気体が閉じ込められているからです。この部分について上の(3)(ロ)(ii)で考えたのと似た内容の変化が起こることになります。でも泡は上に移動して液面で消えてしまいます。ピストンのついているシリンダーの長さが短い場合に似た状況にあることになります。) 密閉容器を定圧条件でゆっくり加熱していったときには状態変化が終わるまで温度一定が維持されています。そういう風にゆっくりと加熱するということが可能です。沸騰が起こらないような加熱が可能です。でも沸騰が起こるような加熱であればかなり大雑把に「ほぼ一定」としか言えません。 融解では生じた液体が気体のように拡散しやすい状態ではありません。ゆっくりした加熱が可能です。融解熱も必要ですが気化熱に比べて小さい(約1/6)です。でも氷の内部まで均一に加熱するというのはむつかしいです。 外側からゆっくり溶けていきます。融けるときに融解熱を周囲の水からもらいますから水の温度は下がります。熱源に近い部分と氷と接触している部分との間に温度差がありますが加熱がゆっくりであれば温度差を小さい状態に抑えることができるでしょう。加熱がきつければ温度勾配も大きくなります。 融解においても「状態変化が完了するまで温度は一定である」というのは「ほぼ一定に抑えることができる」という意味でしかありません。長い時間のかかる「ゆっくり」です。 わかりにくい長い文章になってしまいました。 書きながら考えたということでこういうことになりました。 書き直す元気がありませんのでこのままにします。
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- jamf0421
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原理は相律(phase rule)です。考えている系の独立成分数(化学成分の数から相互の間に起こる反応数を引いたもの)をr、相数をν、としたとき自由度(実験者が選べる変数の数)fは f=r+2-ν になるからです。系に液体の水しかない、あるいは固体の水(氷)しかないならば、r(化学成分数)=1(H2Oのみ)、相数=1(液相、あるいは固相のみ)ですから f=r+2-ν=1+2-1=2 で、温度も圧力も実験者が好きなように選べます。しかし系に水と氷と二つの相があったなら f=1+2-2=1 で自由度は1です。実験である圧を決めたら、たとえば1 atmとしたならば、もう温度には自由度がなくて液相と、固相の共存温度は273.15 Kと決まります。一気圧である限り二相存在できる温度は273.15 Kに決まり、系に熱をいれても動かせません。 氷と水と水蒸気と三つの相があったら f=1+2-3=0 です。ここで実験者は自由に決めるものが何もありません。273.16 K、611.73 Paという一点が決まります。 なぜ相律があるか、を端折ってかくと、系がν個の相、r個の独立成分からなる時に、状態は T(1), P(1), μ1(1), μ2(1),...μr(1) ・・・・・ T(ν), P(ν), μ1(ν), μ2(ν),...μr(ν) で書けます。( )の中は相の番号、μ1, μ2,...はそれぞれの成分の化学ポテンシャルです。平衡ならば T(1)=T(2)=...=T(ν) P(1)=P(2)=...=P(ν) μ1(1)=μ1(2)=...=μ1(ν) ・・・・・・ μr(1)=μr(2)=...=μr(ν) つまり温度Tも圧Pも、成分iの化学ポテンシャルμiもすべての相で等しい値になります。 各相にr+2個の示強変数があり、相数がνですが、どの相についても成分のモル分率が与えられれば状態は決まるので、r+2から1を引いた数(モル分率ならr個決めなくてもr-1個決めれば残りは決まる。)とνの積 (r+1)ν・・・(1) が決まれば系の状態は完全に決まります。 ところでもし(1)と同じ数の方程式があるならすべての変数は決まってしまいます。自由に決められるものはありません。しかし実際に存在する方程式の数は、温度、圧、各成分ごとにν-1個ですから (r+2)(ν-1)・・・(2) となります。よって自由度は以下のようになります。 f=(r+1)ν-(r+2)(ν-1)=rν+ν-rν+r-2ν+2=r+2-ν・・・(3) 二つの相の水なら T(ice), T(water), P(ice), P(water)が決まれば系の状態は完全に決まります。(それぞれの相におけるμは単一成分ですから温度、圧力が決まれば決まりです。)よって4変数です。 平衡条件はT(ice)=T(water), P(ice)=P(water), μ(ice)=μ(water)ですから、3式です。よって自由度は4-3=1です。
お礼
う~ん,ちょっと難しいです。頑張って理解してみます。
- teppou
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簡単に融解現象を。 氷の温度が上がると、分子の振動が激しくなります。 すると氷としての結合がほどけて水になるのですが、氷としての結合をほどくには例えば何かを引きちぎるような少し大きなエネルギーが必要ですので、全体が一斉に融けることはなく、たまたま大きなエネルギーをもった分子から順次解けて水になります。 氷から水に代わった瞬間の水分子は、少し大きめの運動エネルギーをもっていると思われますが、その運動エネルギーはすぐに他の分子に伝達され、また、たまたま大きなエネルギーをもった分子が氷から水になります。 この状態が、氷が融けてしまうまで続きます。この間過熱されたエネルギーは氷から水になることに使われ、温度の上昇はありません。 なお、中にはいきなり大きな運動エネルギーを得て蒸気として飛び出す分子もあったりします。 液体から気体になる時も同じようなことが起こりますが気体は拡散するため、少し違うようです。
お礼
わかりやすく,ありがとうございます。
- Nebusoku3
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>水の状態変化で,氷をゆっくり加熱していったときに,融点や沸点で,状態変化が終わるまで,温度が一定に保たれます。 ●氷の融点で温度が一定なのは、ゆっくり過熱→氷がとける→加熱された分に等しい熱が、氷がとけて水になったものに持っていかれる。 つまり、氷 (+ 加熱 - 溶けて水になる温度) → 氷が無くなるまで ( )の中の作用が続くのです。 ●沸点では 水を加熱 → 水が蒸発 → 加熱分に等しい熱が 「気化熱」 として持っていかれる。 加熱するから、水が気化する。 つまり、 水 (+ 加熱 - 蒸発して水蒸気になる温度) → 水が無くなるまで ( )の中の作用が続くのです。
お礼
ありがとうございます。
お礼
ありがとうございます。 そうですね,言葉が,ちょっとおかしかったと思います。 「ゆっくり加熱」とは,融解のときの実験のときだけと思います。ガスバーナで火力を小さくして,氷と水の入ったビーカーをあたためながら,また,内部をよくかきまぜながらと思います。沸とうの実験のときは,強熱と思います。 なかなか難しく,理解が十分でないかもしれませんが,一応理解しましたのは,閉じた系で,定圧の設定で,ゆっくり加熱し続けるとすれば,100+α°Cの一定の温度で,状態変化中でも保たれると。 また,大気のもとでやった場合は,火力が強ければ,大気圧の一定の圧力下で出来ますので,閉じた系の定圧変化とほぼ似たようなものになると。 融解のときは,ゆっくりした加熱であれば,状態変化で消費される融解熱と外部から加えた熱量の収支がほぼ同じにならざるえないので,ほぼ0℃を保つということですかね。