ハイパワーHブリッジの制御について
- 150Wのモーターを使ったロボットのHブリッジ回路での制御に問題が発生しています。
- 高速で正転・逆転を繰り返すとハイサイドのFETが燃えてしまいます。
- 回路の変更や保護対策を行っていますが、犯人はまだ特定できていません。
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ハイパワーHブリッジの制御について
にっちもさっちも行かなくなったので質問させていただきます. 今,150Wのモーターを使ったロボットを製作しております. モーターの制御用にHブリッジ回路を作ったのですが,高速で正転・逆転を繰り返すと ハイサイドのFETが燃えてしまい,うまく動きません. 使用している回路は以下の通りです http://www.geocities.jp/mimiin/tips/fet/fet.html この回路(ローサイドPWM)を基本として, ・ローサイドのFETをP75N75に ・ハイサイドのFETを2SJ334に ・電源電圧を24Vに ・FETには放熱板とシリコングリスを塗り,熱対策を施してある などの変更を加えています. また,マイコン保護用に信号線には小信号用 スイッチングダイオード(順方向降下電圧0.8V)を入れてあります. これのおかげか,FETが燃えてもマイコンに問題はないようです. マイコンの電圧は5V(SH7125),PWM周波数は20kHzです. また,PWMの各パルスにはそれぞれ2us程のオフ時間を入れてあります. いまのところ ・環流用のダイオードが,素子に封入されているものでは足りない. ・どこかに回生抵抗を挟む必要がある 等が犯人ではないかと思っていますが,今一つはっきりしません. 似たような経験のある方,関連しそうな書籍・サイトなどをご存知の方がいましたら 教えていただけると幸いです.
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2SJ334のゲート電圧の絶対最大定格は±20Vです。 24Vを加えてはいけません。推奨する電圧は-10Vです。 >スイッチングダイオード(順方向降下電圧0.8V)を入れてあります. これは全く良くありません。 ダイオードがオフした時はFET(2SK)のチャージは5.1kΩを通して放電するので短時間ではオフになりません。 これにより、ハイサイドのFETはすぐにはオフにならず、ローサイドのFETはすぐにオンになります。 その為ハイサイドとローサイドのFETが直列になり、よりストレスのかかるハイサイドが壊れるのです。 FETのドライブ回路は変更の必要が有ります。 MOSFETのゲートドライブ回路の能力が不足しています。 電力用MOSFETのゲートは大容量のコンデンサです。 2SJ334のゲート容量は3300pFも有ります。 2SJ334のデータシートは下記からダウンロードできます。 http://www.semicon.toshiba.co.jp/eng/product_detail/transistor/mosfet/1252453_13587.html この容量を短時間で充放電する必要があるのでドライブ回路の出力インピーダンスは十分に低い必要が有ります。 どれだけのドライブ能力が必要かはゲートをオンオフするのに必要はチャージ量で決まります。 上記データシートの2頁のTotal gate chargeには110nc(ナノクーロン)と有ります。 このチャージを1usの間に供給しようとすると必要な電流値を Q=i*dt で求めるとdt=1usとして110mAとなります。(一定電流が流れるとして) 通常は専用のICを使用します。 例えば、ここから選べます。 http://www.micrel.jp/analog/pwic/mosfet-gatedriver/ http://www.indexpro.co.jp/search/search-ctg.asp?dcode=100574 あるいは下記のようにPNPとNPNのトランジスタ回路を使用します。 http://www.geocities.co.jp/Technopolis/5348/00-10gd6n.html FETがオフになった時にはモーターの逆起電力による電流が発生しFETに流れます。 図の回路の場合、この電流はFETの寄生ダイオードに流れますが、このダイオードの周波数特性はよくありません。 別途、高速ダイオードによるフリーホイールダイオードの追加をお勧めします。 このような回路の検討を行うのでしたら、デジタルオシロスコープが有った方が良いです。
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- sailor
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駆動回路系というよりもメカの問題でどちらか片方の慣性が大きくなり、逆方向に駆動する際の駆動電流がモーターの逆起電力+駆動電流というような状態になっていませんか。回転を逆転させる際に一定時間ストップ状態に制御する時間を設ける必要があるかと思います。 正転→逆転→正転・・・ではなく。正転→ストップ→逆転→ストップ正転・・・とする必要があるかと思います。
お礼
ありがとうございました. 捕捉に書いたようにデッドタイムは短くしたいので どこまでストップ時間を詰められるかやってみたいと思います.
補足
ありがとうございます. 確かに,方向は同じで速度だけ変えたときは 燃えるようなことはなかったと記憶しております. ただ,倒立振子の姿勢制御に使っているので 正転⇔逆転の切り替えが(特に倒立姿勢付近において)頻繁に発生し, かつその間のデッドタイムは可能な限り短くしたいのが現状です. また,3回ほど燃やしてしまったのですが, 燃えているのがいずれもハイサイドというのが気になります. ハイサイドのオン抵抗が大きいせいなのか,それともVgsが最大定格20Vにたいして 24V-4.2V(0.8Vはダイオードの降下分)≒19.8Vとギリギリなのが問題なのか 素子そのものを変え,耐圧・最大ドレイン電流共に大幅に引き上げると言うのは 現実的な解決策でしょうか?
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お礼
ありがとうございました. 回答を頂いてから色々探し,とりあえずIR2302を使ってみようということに落ち着きました. (市販の教育目的用ロボットに,IR2302を使ったフルNchHブリッジ回路があったため) 色々設計を変更しないといけなさそうですが, もしまた詰まったときにはここに質問させてもらいたいと思います.
補足
詳しく説明していただき,ありがとうございます. 指摘頂いたところを確認しましたが,適当さにちょっとへこんでいます. これはもう燃えるべくして燃えるものだったようですね. 信号線に入れたダイオードは,以前燃やした時にマイコンはおろか センサまで壊してしまったことへの恐れで取り付けたものです. さて,設計の変更点としては ・FETを全てNchに統一する ・FETドライバICを用いる(MIC4102,IR2183あたりが入手性がよさそうに見えます.) ・フリーホイールダイオードの外付け ・信号線のダイオードを撤去する ・ゲートドライブ用に12V程度の電源を別途用意 あたりで十分でしょうか? 考慮しなければならない点としては ・ゲートドライバの出力電流 (P75N75であればゲート容量が3000pFでも83nCでONになるようですし, ゲートドライバのIoはTypで2A前後ほどだそうなので 単純に計算すれば40ns程度でONになると考えています.) ・フリーホイールダイオードの選定 (逆起電圧も含め50V・30A前後に耐え,20kHz以上でも 電流を通さないものといったところでしょうか) あたりを考えています. デジタルオシロは持っていますので,確認しながらやってみたいと思います.