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標準電極電位に関する疑問
- バーロー物理化学・第5版・上巻、p.363の表10.1に載っている標準電極電位について疑問があります。
- Ag+ + e- → Agの標準電極電位が0.7989 Vであり、AgCl + e- → Ag + Cl-の標準電極電位が0.2223 Vであることがわかります。
- しかし、後者の反応は酸化還元反応ではなく、二つの反応は本質的に同じではないと思われます。なぜこのような差が生じるのか疑問です。
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25℃に於ける溶解度積:Ksp=[Ag^+][Cl^-]=1.77・10^(-10) ‥(1) とすると、 Ag^+ + e^- ⇔ Ag ;E゜=0.7989V ネルンストの式より、 E=E゜‐(RT/F)・ln(1/[Ag^+]) ‥(2) 両辺に Cl^- を加えると、Ag^+ + Cl^- + e^- ⇔ Ag + Cl^- より(2)は、 E=E゜‐(RT/F)・ln([Cl^-]/[Ag^+][Cl^-]) このとき難溶塩の AgCl が生じて溶解度積(1)が成り立つとすれば、 AgCl(固) + e^- ⇔ Ag + Cl^- ‥(3) E=E゜‐(RT/F)・ln([Cl^-]/Ksp) =E゜+(RT/F)・ln(Ksp)‐(RT/F)・ln([Cl^-]) =0.7989+(8.314・298/96500)・ln(Ksp)‐(RT/F)・ln([Cl^-]) =0.2224‐(RT/F)・ln([Cl^-]) つまり(3)の酸化還元系の標準電位:E゜=0.2224V と計算されます。
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- c80s3xxx
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niousさんの回答が正解です.
お礼
ありがとうございました。
- htms42
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こんなのどうですか。 (1)2H^++2e^- ⇒ H2 0V (2)2H2O+2e^- ⇒ H2+2OH^- -0.83V (1)の両辺に2OH^-を加えれば(2)になります。 反応が異なれば電位は異なります。
お礼
ご回答ありがとうございました。No.5様までご回答頂いたのちにお礼を申し上げております。 他の例を示して頂きましたが、私のお伺いしたかった、この問題の本質(ネルンストの式と、化学反応式の書き方)には迫っておられないようでした。 >反応が異なれば電位は異なります。 なぜそうなるのか、そのメカニズムについてのご教授を伺いたかったところでした。お忙しい中を、ありがとうございました。
- tengenseki
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→が反対方向は酸化反応でしょう。 つまり(2)の反対方向は塩素イオンの酸化反応。 従って(2)の反応はAgCl内塩素の還元反応。
お礼
ご回答ありがとうございました。No.5様までご回答頂いたのちにお礼を申し上げております。 >つまり(2)の反対方向は塩素イオンの酸化反応。 >従って(2)の反応はAgCl内塩素の還元反応。 塩素に関しては、酸化状態は変化していないので、間違ったご指摘だと思います。お忙しい中を、ありがとうございました。
- Saturn5
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>Ag+ + Cl- → AgCl >という反応は、酸化還元反応ではありませんし、酸化還元電位に関係するとは思えません それが関係するのです。(^_^) 標準電極電位とはつきつめればエネルギーです。 反応でエネルギーが発生するのか、必要なのか。 また、それが大きいのか小さいのかです。 発生する電気量は決まっているため、エネルギーは電圧で変化させるしかないのです。 AgClの場合はAg+とCl-を引き離すためにエネルギーが必要です。 ですから、酸化電位が小さくなっているのでしょう。
お礼
ご回答ありがとうございました。No.5様までご回答頂いたのちにお礼を申し上げております。 せっかくご丁寧にご回答頂いたところを恐縮ですが、私のお伺いしたかった、この酸化還元反応と標準電極電位の関係の本質からは、的外れなご回答になっているように思います。 No.4様のところで申し上げますが、この問題で標準電極電位の値が異なったことの本質は、ネルンストの式に当てはめるときの化学反応式の書き方が異なったことによるものだと分かりました。お忙しい中を、ありがとうございました。
お礼
ご回答ありがとうございました。No.5様までご回答頂いたのちにお礼を申し上げております。 よく分かりました。私も実際に数値を入れて計算してみて、確認してみました。式をじっくりと眺めてみてみましたが、この問題の本質は、ネルンストの式に当てはめるときの、化学反応式の書き方が異なり、対数項の中身が変わることによって、それ以外の部分が標準電極電位の値に反映されたことのようですね。 この疑問を抱いたのは、大学受験の問題集(「理系標準問題集・化学〈改訂版〉(駿台文庫、1999))の問題の解答・解説に、ダニエル電池の問題で、 「負極になる金属ほどイオン化傾向が大きく、両極のイオン化傾向の差が大きいほど起電力が大きい」とあり、イオン化傾向について調べてみると、「化学大辞典」(東京化学同人、1989)の「イオン化傾向」(ionization tendency)の項に、 「定量的には、その液体中における金属(M)/金属陽イオン(M^z+)系の標準電極電位E0(M^z+/M)の大きさでその序列が決まる」 とあり、標準電極電位について調べているうちに、銀-塩化銀電極のような電極(半電池)を用いた電池の場合はどうなるのだろう、という疑問が起こったことによります。 この場合、「金属/金属陽イオン系」でないので(「金属/難溶性塩/金属陽イオン系」)、ネルンストの式の形が変わった、というところに原因があると結論しました。 おかげさまで、ネルンストの式に対する理解が深まりました。ありがとうございました。