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第三者に対して暴行を強要させた者の処罰

ある人間Aが、Bに脅迫を行い「お前がCを暴行しろ」と脅迫し、BがCに対し暴行を行った場合、A,Bに対する罪状はどのようなものが課せらせるのでしょうか。 状況が漠然とし過ぎてて答え辛いかも知れませんが回答頂けましたら幸いです。

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回答No.3

質問から判る事実のみを前提に可能性のあるものを考えるとすれば、 (1)Aに強要罪、Bに暴行罪。 (2)AとBに暴行罪の共同正犯。 (3)Aに暴行罪の教唆犯、Bに暴行罪。 (4)Aに暴行罪の間接正犯、Bには犯罪不成立。 (5)Aに強要未遂罪、Bに暴行罪。 という辺りである。可能性を細かく考えれば他にも考えられなくはないかも知れないが、この程度で十分であろう。 Cが怪我をしたかどうかは書いていないので怪我はしていないものとして考える。一般論として法律論では、書いていない事実は存在しないものとして扱うのが基本である。そうしないと話が幾らでも広がるからである。怪我をした可能性を考慮するならば死んだ可能性も考慮すべきであるし、AはCを殺す気がないがBは殺意をもってCを暴行した場合なども考えられる。他にもAに責任能力がなかった可能性など、とにかく話が結構広げられるのである。よって、書いていない事情はないものとして考えるのが基本である。 なお、刑罰については「課す」ではなくて「科す」が正しい。 簡単に解説すると、 (1)AがB本人またはBの親族の生命、身体、自由、名誉または財産に害を加える旨を告知して脅迫した場合、Bがその脅迫により意思決定の自由を完全に奪われたのでないならば、Bは自らの意思で犯罪を実行したと言えるので暴行罪が成立する。そこで、Aは上記の内容の脅迫によってBに義務のないことを行わせたのだから、強要罪が成立する。暴行罪の教唆については強要罪に吸収されると考え、成立しないと思うが、別途暴行罪の教唆罪が成立して観念的競合という可能性もある。 (2)Aの脅迫が強要罪に該当せず、また、脅迫の程度が弱く、Bがいやいやながら従ったとは言っても、例えばAも一緒にやればいいのに俺だけにやらせるなんて、程度に自由に意思決定ができたと考えられる事例であれば、(共謀)共同正犯の可能性は否定できない。この場合には、A、B両方に暴行罪が成立する。 (3)Aの脅迫が強要罪に該当せず、また、脅迫の程度もBが完全に自由な意思決定を阻害されていない程度であった場合には、Aに暴行罪の教唆犯、Bに暴行罪が成立することも考えられる。 (4)Aの脅迫が強烈なもので、Bに意思決定の自由がまったくないような状況であったならば、Bの行為は刑法上の行為とは言えないので構成要件に該当せず、犯罪は不成立となる。Aは間接正犯となる。これは期待可能性の問題ではない。なお、AとBの関係によっては、意思を抑圧されているわけではないが、BがAに「立場上」逆らえないという状況もあり得る。この場合には、期待可能性を欠き、責任を阻却するのでBには犯罪不成立、Aに暴行罪の間接正犯ないし強要罪ということも考えられる。期待可能性を欠いて行為者に犯罪が成立しない場合に強要した者にいかなる犯罪が成立するかを明確に記述した文献は寡聞にして知らないので断定はしかねるが、個人的には、一般論として、通常の責任無能力者を利用した場合に準じて間接正犯とするのが良いと思う。 もっとも、実際の事例でこれはほとんどないと思う。そもそも期待可能性を否定すること自体が極めて稀であり、恐らくは、多くの事例では、自由な意思決定ができない場合として構成要件該当性を否定することになるだろう。 (5)Aの脅迫とBの暴行に関係がない場合、つまり、Aは強要罪の脅迫に当たる行為を行ったが、Bが暴行を決意したのは当該脅迫に屈したからではなかったという場合、Aの脅迫とBの暴行とは因果関係を欠き、Aには強要未遂罪が成立する。ただし、その脅迫の一部である唆しによってBが暴行を決意したものである限りは、暴行罪の教唆犯も成立する可能性はある。(1)の場合同様に、強要未遂罪に暴行罪の教唆犯は吸収されるかもしれないし、されないかもしれない。Bは特に何の問題もなく、暴行罪となる。 というところである。 さて、解説中には、「質問文に書いていない事情」が結構出てきている。書いていない事情は存在しないものとして扱うということと矛盾していると思うかもしれない。しかし、ここを履き違えてはいけない。書いていない事情は存在しない、というのは確かに基本であるが、それはあくまでも、「それでも答えを出すことができる」場合である。怪我をしたかしないかなど書いてなくても、暴行罪という結論は出せるのだから怪我をしたかどうかはどうでもいいのである。 一方、ある事実について存否不明では答えが出せないという場合には、「場合を分ける」というのが法律学のお約束である。論文式試験でも、「場合分けをする必要があるかないか」ということは、結論を出すのに必要な事実、つまり、要件事実が書いていない場合には場合分けは必須であるが、そうでなければ、よほど他に書くことがないか、よほど典型的な例で書くのが当然と言える場合でない限りは、ないものとして扱うのが基本である。旧司法試験の過去問で、特定物か不特定物かを分けて論じる問題があったが、これなどは、特定物か不特定物か不明では答えが出せないからである。出題意図として、まさしく両者の比較をさせたいのが明らかな問題なのである。 もっともこの区別も相対的なもので、結局は問題を読んで趣旨を汲み取るしかないので、絶対ではないが。ことに、試験問題でもない単なる質問となると、これはどこまで書くのかは、結局は、書く方の趣味になってしまうとは思う。 なお、(5)に関しては、書いている自分としても「ここまで考えるのは余計」と思っていることを付言する。因果関係は刑法では基本的な概念なので、これの有無は重要ではあるのであるが、この質問では、「当然あるものとして扱っても恐らく問題ない」とは思う。念のために一応書いてみただけである。

  • hekiyu
  • ベストアンサー率32% (7193/21843)
回答No.2

1,Bは、Cを暴行していますから、暴行罪が成立します。 2,AはBを脅迫していますから、脅迫罪が成立します。   そして、Bをして、Cに暴行を加えていますから   暴行罪の教唆になります。   二つの犯罪は、おそらく観念的競合になるでしょう。 3,問題は、Bは脅迫されてやったのですから、  (1)Aに暴行罪の間接正犯が成立するか。  (2)Bに期待可能性があったか。 の二点が問題になりますが、脅迫の程度によっては、Aは 暴行罪の間接正犯になり、Bは無罪になる場合もあります。 このように漠然とした事例での答案では、ここまで書く必要はないと 思います。

回答No.1

A:暴行罪・傷害罪(教唆犯。Bを脅迫しているなら「間接正犯」が認められる) B:暴行罪・傷害罪(Aの「間接正犯」が認められれば、情状酌量の余地がある)

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