導体球の半径rを、aからすこしずつ小さくしていく操作をイメージしましょう。
r=aのとき、全空間(導体内の空間も含めて)の全静電エネルギーは
U=q^2/8πεa
ここで、注目しておきたいのは、導体の内部の空間です。ここには電場がありませんから、静電エネルギーは有りません。
ということは、全空間とは言いますが、実質的には導体球の外側の空間のことなのですね。
では、rをすこしずつ小さくしていきましょう。
r=b(a>b>0)になったとき
ガウスの法則から、球の中心からの距離がaより遠い空間S0の電場は、今の"操作"によって何も影響を受けませんから、S0の静電エネルギーは
U=q^2/8πεa
のままです。
しかし、導体球の半径がbになっていますから、球の中心からの距離がbよりは遠くてaよりは近い"球殻"の空間には電場ができていて、球殻の空間には静電エネルギーがあることになります。このため、全空間での静電エネルギーは
U=q^2/8πεa
よりも大きくなっているわけです。
増分ΔUは
ΔU=(q^2/8πε)・(1/b-1/a)
この部分の電場は強いため、静電エネルギーの増加に対する寄与は巨大なものになってしまい、r→0の極限ではU→∞となってしまいます。
静電エネルギーを、「電界のエネルギー密度」の合計と考えることは、電場を作っているもの(原因)が何であるかには言及していませんから、電場ができている空間のエネルギーと考えるのが妥当です。
この考えを徹底させれば、無限小の電荷がたった1個だけある電場にも静電エネルギーがあると考えるべきだと思います。
発散の問題は別のレベルの問題です。
導体球の半径を小さくするという操作が、導体球の表面に有る電荷同士を近づける操作(仕事をする操作)に当たるから、静電エネルギーがどんどん大きくなっていく、と解釈することもできます。これは他の回答者さん達が述べていることですね。