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pn接合ダイオード
pn接合ダイオード pn接合素子に順方向電圧をかけると電子と正孔の再結合が起こると思いますが,それが非発光か発光かは半導体の欠陥などによって決まるのでしょうか?いま,発光ダイオードについて調べていたのですが,ふつうのダイオードも発光ダイオードの構造も変わらないような気がします.それならダイオードも発光してることになるのではと思いました. 発光ダイオードは光を取り出せるようにしてあるということでしょうか?また,調べていると発光はpn接合面で起こると書かれているのですが,実際はp型中でもn型中でもおこるように思います.どうでしょうか?(金属銅線中ではさすがにおこらない?)
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>非発光か発光かは半導体の欠陥などによって決まるのでしょうか 光らない普通のpn接合ダイオードでも再結合が起きますが、使われている材料(シリコン)がもともと光りにくい性質(間接遷移型)なので光ることはありません(欠陥が全くなくても光りません)。一方、発光ダイオード(LED)に使われている材料(AlGaAsやGaInN)はもともとよく光る性質(直接遷移型)なので、再結合が起きれば発光します(多少の欠陥があっても)。欠陥が多ければ非発光になる確率が増えて発光効率が落ちますが、再結合して光るかどうかは、pn接合を構成している材料が何かで決まります。 半導体工学で学習されたかと思いますが、光らない普通のpn接合ダイオードに順方向電圧をかけると、n型半導体側から電子が、p型半導体側から正孔が注入されます。電流が非常に小さい領域では、電子と正孔が再結合することで電流が流れます(途中で再結合するため、電子と正孔は反対側まで到達しない)。電流が大きくなっていくと、再結合による電流に加えて、電子がn型からp型に拡散し、正孔がp型からn型に拡散することで流れる拡散電流の割合が増えていきます。さらに電流を大きくすると、流れる電流のほとんどは拡散電流だけになります(再結合電流自身が減るのでなく、拡散電流の大きさに対して相対的に割合が減るということ)。 再結合電流が支配的な低電流領域では、電流 ∝ exp{ q*印加電圧/(2*k*T) } となります(q は素電荷、k はボルツマン定数、T は絶対温度)。一方、拡散電流が支配的なところでは、電流 ∝ exp{ q*電圧/(k*T) } となります(k*Tの前に2がついていない)。電流の対数を縦軸に、電圧を横軸として、電流-電圧特性のグラフを描くと、それぞれの領域で傾斜が異なる(再結合電流が支配的なところでは傾斜が緩い)ので、どちらの電流が支配的かが分かります。 LEDの場合も、構造が同じpn接合なら、同じ電流-電圧特性になりますが、LEDの場合は再結合でしか発光しないので、拡散電流が増えても、発光強度はそれに応じて増えません(電流を増やすと発光強度の増加率が鈍化する)。 >実際はp型中でもn型中でもおこるように思います 単純なpn接合のLEDなら、接合面以外のところでも再結合は起きます。 n型層に注入された電子は、接合界面を通り過ぎて、p型層にまで拡散します。p型層に注入された正孔も、接合界面を通り過ぎて、n型層にまで拡散するため、接合面以外のところにも電子と正孔が存在するため、接合面以外のところでも再結合は起こります。 ただし、最近の高輝度LED(赤・緑・青・白色)は、単純なpn接合ではありません。量子井戸構造といって、発光色に対応したバンドギャップを持つ発光層を、それより大きなバンドギャップを持つ層でサンドイッチした構造になっているので、n型層に注入された電子は、接合界面(量子井戸層)を通り過ぎることはできず、量子井戸に落ち込み、そこに閉じ込められます。p型層に注入された正孔も量子井戸に落ち込み、その先には進めないようになっているので、電子と正孔が同居しているのは量子井戸層だけになります。したがって、量子井戸構造のLEDでは、再結合は量子井戸層でしか起こりません(このため再結合効率が良くなって発光効率が向上します)。したがって、LEDの電流-電圧特性は、電流 ∝ exp{ q*電圧/(2*k*T) } となる領域がほとんどを占めます。
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- Hikaru99
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バンドギャップの大きさが光のエネルギーに相当するかどうかで決まりますね。Eg=hν=h・c/λです。 下記のサイトにあるLEDが光るしくみ(1)~(6)を読むとわかるのではないかと思います。特に(3)と(4)のところです。 http://lens.goryoukaku.com/column.html
お礼
どうもありがとうございます.
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詳しい解説ありがとうございます!