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デザインコンペで入賞・公表されたデザインについて

特許や意匠登録をしていないデザインが、あるコンペで入賞し、公表されたとします。 コンペの規約で「デザインの権利はすべてデザイナーに帰属する」としていた場合、デザイナーはどれくらいデザインの権利をもつのでしょうか。 どこかの企業が勝手に商品化することが認められるのか。 デザインの入賞が公表された後に、他者が特許や意匠登録を申請できるのか。 教えてください。

質問者が選んだベストアンサー

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回答No.1

>> 特許や意匠登録をしていないデザイン // なので、デザイナーは特に法律上の独占権を有しません(なお、デザインそれ自体は特許の対象ではないので、問題の埒外です。以下同じ)。コンペに応募しようが、しまいが、要するに公開されたデザインだからです。すなわち、意匠出願することなしに、デザイナー自身がその意匠を実施した場合と変わりません。 >> どこかの企業が勝手に商品化することが認められるのか。 // 不正競争防止法により不正競争行為とされる「商品形態の模倣」等に当たらなければ、構いません(当たる場合は、デザイナーに差止請求権が発生します)。 もっとも、一般不法行為として損害賠償請求の対象になる可能性は、否定されません。 >> デザインの入賞が公表された後に、他者が特許や意匠登録を申請できるのか。 // 「入賞が公表された」だけなら登録され得ます(冒認出願になる)。しかし、「デザインが公表された」場合には、何人も登録を受けることはきません。新規性を喪失しているからです(意匠法3条1項)。もっとも、デザイナー自身が出願する場合には、例外的に登録を受けられる場合があります(同法4条2項・3項)。 なお、冒認出願にせよ、新規性を喪失した出願にせよ、「出願すること」自体は可能であり、ただ拒絶査定がなされるだけです(違法建築と知りつつ建築確認を申請することは可能だが、建築許可が下りないのと同じ)。 その場合、特許庁の見落としによって新規性を喪失した意匠が登録される可能性はありますが、何人も、登録無効審判によって意匠登録自体の無効を請求することができます(同法48条)。

youyami
質問者

補足

詳しい回答ありがとうございます! 少し整理してみたいのですが、 意匠登録をするというのは、「自分がこのデザインを初めに考えたんだ」という証明を手に入れる、ということでいいのでしょうか。 コンペで「誰々さんがこういうデザインを考えました」というのが公表されれば、すなわち意匠登録と同等の意味を持つ、ということでしょうか。

その他の回答 (3)

回答No.4

>> ・・・ということですよね。 // 「公的な保証」というと、若干語弊がありますが、一般的な理解としては概ねそういうことになります。 かえって混乱するかもしれないので、読んで分からなければ深く考えなくてけっこうですが、なぜ語弊があるかといえば... 特許や意匠、商標は、「特許庁の行政処分」によって発生する「私権」だからです。つまり、権利の成立過程は「公的な手続」によりますが、いったん成立した「権利それ自体」は私的なものなのです。ゆえに、意匠権侵害があった場合には、意匠権者が、侵害者に対して、自ら訴えを提起して権利を実現する必要があり、特許庁はこれに何ら関与しません。 その意味で、「お上が保護を約束してくれる」訳ではありません。あくまで、「自分の権利」は自分の手で実現しなければなりません(その実現するための制度が、裁判です)。 いいかえれば、意匠登録を受けるということは、無登録の(=意匠権のない)デザインに比べて、「権利として強化できる」ことを意味します。意匠権がなくても、不正競争防止法で保護を受けられるとか、損害賠償請求ができるとかいうのは、一定の法的地位にあるからです(法的地位があるから、法律に基づいて請求できる。法的地位がなければ、法律上の請求はできないので、単に事実上の文句をつけることしかできない)。しかし、意匠権を取得できれば、その法的地位がより強力なものになって、保護を受けやすくなる訳です。

youyami
質問者

お礼

よくわかりました。 専門的な知識を教授いただいて非常に参考になりました。 追加質問にも一つ一つ付き合っていただいて感謝します。 ありがとうございました。

回答No.3

>> 一旦公表してしまうと誰もそのデザインを独占できなくなるのですか? // そうです。デザインを独占したければ意匠登録を受ければ良いのであって、そういう制度があるのに利用しないことを選択した者にまで保護を与える必要はないからです。 もっとも、No.1の回答でも書いている通り、意匠登録を受ける権利を有する者(デザインの考案者)に限り、公表後でも登録を受けられる可能性があります。制度に不案内なためにうっかり先に公表してしまったり、産業スパイにデザインを盗まれたりした場合には、保護しなければならないからです。 >> どんな企業でもそのデザインを商品化することが法的に可能なのですか? // これもNo.1の回答に書いている通り、不正競争防止法によって禁止される「商品形態の模倣」などに当たる場合には、意匠登録がなくても保護を受けることができます。 また、これもNo.1の回答に書いている通り、意図的に営業を妨害するためにデザインを盗用するような者に対しては、意匠登録がなくても、また上記の商品形態の模倣に当たらなくても、不法行為(民法709条)や不当利得(民法703条)などを理由に損害賠償請求が可能です。 しかし、不正競争防止法による保護は、意匠法による保護よりも実現が困難です。不法行為や不当利得はさらに困難で、事実上、不可能に近いといえます。意匠登録を受けることは、権利救済の場面でも有利になるということです。 >> 商品化しようとしている(あるいは商品化した)企業にロイヤリティーの請求はできないのでしょうか。 // 請求しても構いませんし、相手方が任意に応じればそれで何の問題もありませんが、法律上の権利がないのですから、払わないからといって強制的に払わせる(払わないならやめさせる)ことはできません。

youyami
質問者

補足

一つ一つ丁寧に回答してくださりありがとうございました。 コンペなどでデザインが公表されれば、新規性を失い誰も意匠登録できなくなる。意匠登録なしでも保護を受けられる場合もあるが、意匠登録しておいたほうがより利益を守ることができる(公的な保証を得られる)。ということですよね。

回答No.2

>> 意匠登録をするというのは、「自分がこのデザインを初めに考えたんだ」という証明を手に入れる、ということでいいのでしょうか。 // 法理論的には若干異なりますが、誤解を恐れずにいえば、そういうことです。「自分がこのデザインを初めに考えたんだ」と主張できる、すなわち、そのデザインを他人が使うのを阻止できる法律上の地位を、意匠権という訳です。 >> コンペで「誰々さんがこういうデザインを考えました」というのが公表されれば、すなわち意匠登録と同等の意味を持つ、ということでしょうか。 // それは、まったく違います。特許登録や意匠登録というのは、権限ある行政庁(日本では特許庁)の行なう行政処分ですから、それ以外の誰がなんといおうと、同等の法的効果は発生しません。コンペティションやコンクールというのは、単に「お披露目の場」に過ぎません。 たとえば、結婚式を挙げたからといって「法律上の婚姻関係」が発生する訳ではありません。結婚式は「単なる儀式・お披露目」だからです。法律上、結婚したといい得るためには役所に婚姻届を提出する必要があり、かつ、それで足ります(式を挙げる必要はありません)。 これと同じように、特許庁に意匠出願し、登録の査定がなされれば、それだけで意匠権が発生し、どこに公表する必要もありません。むしろ、出願前に調子に乗って「お披露目」してしまうと、前述のように「すでに世間に知られたデザイン」ということになって、意匠登録を受けられなくなってしまいます。 もしお披露目したいなら、誰にも知らせずに出願し、出願書類が受理された後で、ということになります。

youyami
質問者

補足

では、一旦公表してしまうと誰もそのデザインを独占できなくなるのですか? 具体的に言えば・・・コンペであるデザインが入賞したとして、一般にデザインが公開されたとします。 どんな企業でもそのデザインを商品化することが法的に可能なのですか? また、商品化しようとしている(あるいは商品化した)企業にロイヤリティーの請求はできないのでしょうか。

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