アミド結合の平面構造における窒素原子の電子軌道
ペプチド結合を含むアミド結合が周囲の結合からの外的束縛を受けない限りにおいて平面構造を取るということはよく知られていると思います。今回、この一般的なアミド結合における窒素原子の電子軌道をどう理解すればよいかという質問をさせてください。話を分かりやすくするため、尿素分子を例に挙げたいと思います。中央の炭素原子はsp2混成軌道を取り、隣の酸素原子と二重結合を形成するということはすぐに理解できます。私の質問はC-N結合における窒素原子の電子軌道をどう理解すればよいかということです。その前にまず尿素分子が分子全体として平面構造を取るという事実が間違いないという前提のもとでの質問となることをお伝えします。その前提に立つと、窒素原子もsp2混成軌道を取り、よって、両端の水素原子二つ、窒素原子、炭素原子は全て平面上に位置するようになるため、分子全体として全て平面上に位置すると理解したくなります。しかし、その場合、窒素原子の非共有電子対は一体どうなっているのでしょうか?sp2混成に用いられた三つの電子以外の残りの二つの電子が非共有電子対として存在するのなら、電子軌道はむしろsp3に近いテトラポッド型であって、平面型ではないような気がします。しかし、それは事実(今回の質問の前提)と異なります。あるいは、窒素原子の電子軌道にはsp2以外の軌道としてp軌道が存在し、しかもそれは窒素原子を中心に炭素原子と二つの水素原子が作る三角形平面を垂直に貫く形で存在し、そのp軌道には二つの電子が配置されている。しかし、この理解ではp軌道には一方向のスピンをもつ電子がひとつずつ順番に入っていくという考え方と矛盾するように思えます。
もうひとつの解釈の仕方は、窒素原子は実はsp3混成軌道を取っており、非共有電子対も存在するというものです。しかし、この場合、この非共有電子対と二つのN-Hシグマ結合は高速で上下に表裏をひっくり返すように位置変換しているという理解をしなければいけない気がします。これはアンモニア分子の非共有電子対と三つのN-Hシグマ結合の位置関係がちょうど雨傘をひっくり返したり戻したりするように上下に動いているのと似ていると理解すればよいと考えました。しかし、それでも高速で上下する窒素原子の非共有電子対と中央の炭素原子との関係がよく理解できません。窒素の非共有電子対が上下に裏表運動を繰り繰り返すのと同時に電気陰性度の高い酸素原子から炭素原子、そして最終的に窒素原子に至り、その非共有電子対が引っ張られることで、結局はC-N結合が回転できないようなパイ結合のようなものとして形成されているのでしょうか?
一見単純だと思っていたのですが、考えれば考えるほど何が起こっているのか分からなくなりました。どなたかよい解釈方法をご教示いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。