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新型インフルエンザの各国対策

noname#160718の回答

noname#160718
noname#160718
回答No.2

 獣医師でウイルスに専門知識を有しています。動物の方ですが、伝染病の防疫活動の従事経験も豊富です。  別に日本がそれほどおかしな事をしているとは思えませんけどね。入国検疫も学校閉鎖も、とりあえず「伝染病防疫の基本」です。空港での入国検疫を滑稽だと言って笑っている諸外国でも、もしこれが致死率が高いH5N1のインフルエンザで新型が発生していたのなら、目の色を変えて空港検疫や国境封鎖をしているのは間違いないですから。  要するに、検疫や学校封鎖そのものが「ムダ」というわけではないのです。今回の新型が想定していたような高い病原性ではないというところで、「疾病によって生じる被害」と「防疫活動によって生じる被害」のバランスをどこに置くかで見解の食い違いが生じているだけです。  末端で活動に従事している人や行政担当官は基本的に"素人"ですから、検疫や学校封鎖でウイルスを「封じ込める」という勘違いをしているかもしれません。ですが、全体の防疫対策をデザインしている専門家は、誰一人「検疫でウイルスの侵入を阻止できる」とか「学校封鎖や職場封鎖で感染拡大を阻止できる」とは考えていません。  そのあたりは何年も前に策定された「新型インフルエンザ行動計画」にも明記されています。  ではなぜ、入国検疫や学校閉鎖をするのか?というと、それは「感染拡大の速度を可能な限り抑えるため」です。  No.1の方が紹介されているブログですが、この執筆者もそのあたりを誤解(曲解)しているとしか思えません。  彼女も、 >対策は1人の患者を出さない!のではなくなるべく広がりと重症患者を少なくすることです。  と書いているのですが、少なくとも発熱外来や陰圧室の整備といった医療対策は、"広がりを少なくする"ことにはたいして寄与しないのはお判りでしょう。ウイルスはヒトの動きによって拡散しますから、ヒトの動きに何らかの制限を貸さないと、ウイルスの動きを抑えることはできません。  そもそも学校閉鎖が無意味というのは理解に苦しみます。CDCも、「学校内での感染拡大の阻止には効果があるものの、市内の感染拡大阻止には明確な効果が認められなかった」と言っているだけです。  学校閉鎖が無意味というなら、普段季節性インフルエンザが流行した時の"学級閉鎖"も無意味なんでしょうかね?  休校になった学生が街に遊びに行ってしまっては意味がなくなってしまうのは当たり前です。また、高校や大学ならまだしも、小学校や保育所では休みになった子供の面倒を誰が見る?という問題もあります。  そんなこんなも含めて、"たいして病原性の強くない"今回の新型に対してそこまでやるのは、「疾病によって起きる被害」と「防疫活動によって起きる被害」のバランスを考えた時、如何なものか、という見解の相違があるだけです。  これがH5N1の強毒型によるインフルエンザだったら(でも感染様式や潜伏期間といった疫学的な基本パラメータはやっぱりインフルエンザには変わりありません)、どの国も目の色変えて学校も職場も閉鎖するでしょうよ。  我が国の対策が検疫オンリーだったような書き方もしていますが、その一方で発熱外来の増設など、国内対策も(十分かというとどうかな?とは思うものの)ちゃんとやっていたように思えるのですけど。  私の住む地域では、1週間ほどの間に発熱外来が数倍に増設されました。  もしこれが、検疫開始早々に数人の新型感染者を毛課役で摘発することができたとすれば、"国内体制整備のための時間稼ぎ"という検疫の目的は見事に達成されて、誰の目にも「成功」だったわけです。  結局、防疫対策の策定は「確かな情報」がない状態で意志決定することを余儀なくされ(情報が確定する頃には手遅れ)るわけですから、ある意味「ギャンブル」です。そしてギャンブルをする時は「最悪の事態が来ても最悪の状態には陥らない」ような手札を切るのが普通に考えると最善の手であるわけです。  今回の新型は、日本が検疫などの対策に乗り出した時点では、まだ病原性ははっきりとは判っていませんでした。H1N1なので弱毒型ということだけは判っていましたが、これはいわば「ウイルスの型別」のひとつのようなものですから、強毒型or弱毒型という分類がそのまま病原性の強さを示すわけではありません。全世界で1億人近くの人を殺したスペイン風邪だって弱毒型ですから。  この時点での致死率は、メキシコの発表では5%を超えていましたから、もしこれがウイルスの病原性を高度に繁栄しているとすれば、スペイン風邪よりよほど強力なウイルスである可能性もあったわけです。 http://www.kimuramoriyo.com/25-swine_influenza/  この上記ブログの冒頭の、 >国内の新型インフルエンザ対策の一番の功労者は、神戸の開業医の先生でしょう。  にしても、もしこれが新型ではない空振りで、同じように「この患者には疫学的に新型感染を疑えるようなところはないが、インフルエンザの症状なので検査が必要だ」と考えて、検体を衛研に送る医者が大勢出てくれば、診断体制が崩壊するのは目に見えています。  これで新型が発見されたので「功労者」になったわけですが、空振りだったら「過敏に反応した」と批判されるのでは?  結果論で批判したり賞賛したりするのは簡単なことですが、それは"他人事"として見ているからで、内部の人間がそんな態度で良いのか?ということはすこぶる疑問に思います。  国内患者の治療のための医療体制を充実させるべき、という意見もありますが、通常の医療体制では対応できないことは明白で、執筆者の主張される減圧室も病床数も医療スタッフも、新型の流行が終われば持て余すだけになります。この時のために普段から医者を増やすことなどできませんし(病院の方が潰れてしまう)、増やしたところで流行が終われば医者の大量失業が待っているでしょう。  だからこそ、「感染拡大の速度を少しでも抑える」ことが重要だと思うのですけどね。そのための学校閉鎖や職場閉鎖、集会の禁止といった措置であり、"拡大を阻止できない"のは最初から判っていることです。  問題は速度、なのですが、それを「阻止できないから無意味だ」と言われても困ってしまうと思いますよ。  この方のブログ、「大惨事になる」とか「パニックになる」など、それこそ"恐怖を煽る"ような文言が多く、予測もあまり当たっているようには思えません。「国内感染が広がる」「新型侵入は阻止できない」なんてのは当たり前の話で"予測"ではないですし。  何より新型が出た直後に、こんなことを書いていました。 > インフルエンザウイルスは1シーズンの流行でもA型からB型へと顔を変えて薬やワクチンを効かないようにすることからわかるように、頭の良いウイルスです。その頭のよいウイルスが致死率50%のような強毒ウイルスに変異して猛威をふるう!ということはあまり考えられることではありません。 > > トリで流行しているH5N1型は致死率50%以上というものなので、これが人から人へうつる能力を獲得して大流行を起こせば、ウイルス自体死に絶えてしまうのです。頭のよいインフルエンザういするがこのような自爆テロのようなことは考えにくいことです。ゆえにH5N1型は新型インフルエンザとして猛威をふるうことはあまりないと思われます。  ・・・この人、本当に感染疫学の専門家なんですか???  まず、季節性インフルエンザは「A型からB型へ顔を変えて」なんてことはしません。A型とB型の2種のウイルスが流行しているだけです。そもそもこの2つのウイルスは"型"という言葉が使われていますが、現在では属のレベルで異なるウイルスと分類されています。  それと「頭の良いウイルス」というような擬人的表現は、私は好まないのですが、まあそれは良いとしても、「自爆テロのようなことはしない」というのは事実に著しく反しています。  致死率が時に100%に達する高病原性鳥インフルエンザは何?ということです。異種動物に感染したウイルスが時に激烈な病原性を持つのは枚挙に暇がないほどなのですが。  私も強毒型のH5N1がそのまま新型になってパンデミックを起こすことは考えにくい、と思ってはいますが、その理由はこれとは違いますね。  他にも論理的に破綻している部分が多いので、この人が防疫対策の策定に関わっていなくて良かった、と思いますね。  例えばアメリカは、新型が発覚した時点で既に国内に侵入してしまっていましたし、メキシコとは地続きで毎日膨大な人間が行き来していますし、最初から検疫がそれこそ無意味な状況でした。  また、彼の国は健康保険の未加入率も高く、お金がない人は医者にもかかれない国なので、感染者も死者も正確な数字は今後も把握できないでしょう。  とすれば、アメリカは「普通の季節性インフルエンザと同様に扱う」しか選択肢が残されていないのです。言い換えれば「指をくわえて見ている」ということです。  国内でも「季節性と同様の扱いで良いのではないか」という議論がありますが、現在の新型対応と季節性の対応の大きな違いは、「感染拡大を抑えるための措置をするか否か」です。季節性と同じ扱いをするということは、「ウイルスの感染拡大を抑えることは放棄する」と言うのとほぼ同義です。季節性に対して「感染拡大を抑える方策」って学級閉鎖以外には何もしていないでしょ?  検査も現在は法的に「発生は全数把握すべき疾病」ですが、季節性と同様の扱いにするということは、「定点把握」に移行するということです。つまり正確な感染実態の把握も放棄する、ということです。 (そもそも真実正確な実態は把握できっこないのですが)  どちらかというとそういう国の方が多いようですし、それもありだとは思うのですが、「季節性と同様の扱いにすべきだ」と発言している政治家達が、そこまで判って言っているのかどうか、というところでしょう。  国のマニュアルの方も弱毒の今回に合わせて改訂されますが、それ以前の「国内未発生期」から「国内発生初期」に至るまでの対応は、理には適っていたと思います。理に適いすぎて「たいした病原性でもないのにそこまでマジメにやるの?」と余所の国から笑われていた、というところでしょう。  でも、見積もりよりほんの少し病原性が高かったりするだけで、青くなるのはあちらだったかもしれなかったわけですし、これから病原性が強い方向に変異する可能性もあるわけですから、まだ結論を出すのは早い、と思います。

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