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エントロピー増大の法則と我々の将来
熱力学の第二法則とも呼ばれるこの法則を、社会に適用すると明るい未来はないのでは?という風にしか考えられません。意見をお聞かせ下さい。 現在社会はエネルギ不足になっています。石油が枯渇しそうになり、原子力や燃料電池、あるいは風力等の自然エネルギの開発が加速しています。しかし、上記の法則がある限り第一法則を満たす範囲で、有用な質のエネルギは減る一方で、逆に質の悪い熱エネルギが増大するように思えます。最終的には全宇宙が熱的死になると予測されているそうですが、それを考えるとエネルギ源を開発、大量消費するより、如何に節約し効率よく使う社会システムを作る事が必要だと思われます。現在の資本主義では、大量生産大量消費で死期を加速している様に思えます。 宇宙の熱的死は遠い将来の話でしょうが、間違いない物理的真実です。その前に地球という系で、温暖化で熱的死がくる気もします。マクスウェルの悪魔がいない限り(笑)。世界経済をコントロールしているのは、この様な状況を知らない政治家ばかりです。これからの世界は、以上の状況も考慮した社会システムを理系の方も主導して構築するべきと思えます。 皆さんはどう思われますか?
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#6です。 また少し長くなってしまいますが、最近の非平衡熱力学の進歩を紹介すると言う意味も込めて、質問者さんの要望に答えて回答補足を致します。 貴方の理解は細かい所で混乱がありますが、大局的にはそれで良いと思います。重力により熱力学の大前提である「示強変数」と「示量変数」が存在していないので、通常の意味で宇宙全体が熱平衡状態(熱死)に到達することが出来ないと言うことです。したがって、「示強変数」と「示量変数」があるという前提で論じられている熱力学の第二法則には適用限界があると言うことです。見方を変えると、重力が漏れ口の役割をしてしまうので、宇宙全体が熱力学でいう孤立系であるという言葉が意味をなさなくなっているわけです。あるいは重力が、実効的にはあたかも全宇宙全体を非平衡開放系とさせていると言っても良いかも知れません。 (2)については、地球上で次々と複雑な散逸構造が出来上がって来ているので、地球のエントロピーは大局的に見て今現在は減少しているとも考えられます。 質問(3)(4)に関してですが、例で説明しましょう。例えば誰かが貴方の肩にぶつかったとします。その時もし貴方の肩の内部がその衝撃を受けたと言うことを永久に忘れることが出来なかったら、貴方は貴方として存在することが出来ません。この初期条件の情報を忘れるということを物理学では散逸と言い、その忘れることを量的に表したものがエントロピー生成です。ですから、エントロピー増大は与えられた構造を安定に保つために本質的な役割を演じている訳です。 散逸構造が出来るためには、平衡状態から十分離れている必要があります。そのことにより、はじめて非線形効果が役割を演じられるようになります。そしてその非線形効果が、系を取り巻いている環境を決めるパラメーター空間の中で 、系に安定性に関して「分岐点」とよばれる点の存在を許すようになります。その分岐点を通過すると、今まで安定だった物理的構造が不安定になり、それと同時に今までになかった幾つか複数個の新しい安定構造が可能になります。簡単な物理系では通常一つの不安定構造から二つの安定構造が産み出されます。ですからこの点を分岐点とよぶのです。この分岐点では、この二つの内どちらの構造が実現するかは本質的に非決定論的(すなわち確率的)です。すなわち、ある物理集団では偶然に右が実現し、他の物理集団では偶然に左が実現すると言う具合です。具体的にはある種の化学物質を水溶液の中でかき回しながら溶かすと、その化学反応の過程で全ての分子が光学的に右偏向の分子に成ったり左偏向に成ったりすることがありますが、どちらになるかはコイン投げで表が出るか裏が出るかと同じように確率的になります。系の環境がこの分岐点から十分離れているときは、系は決定論的な法則に従いますが、分岐点の近傍では確率論的振る舞いが重要になっています。貴方も自分の人生を振り返ってみて下さい。貴方が精神的にも金銭的にも家族的にも安定しているときには、ちょっとした出来事で貴方の人生が決定的に変わることはほとんどありませんが、それらが不安定になって来ると、ちょっとした偶然で人生がすっかり変わってしまうでしょう。 このように散逸構造の安定化と不安定化を次々と繰り返すことによって、物質や生命体や社会構造は次々に今まで無かった新しい構造を取るようになり、ある物理系ではある一つの経路を通った進化を経験し、他の物理系では他の経路を通った進化を経験し、という具合に、この宇宙の中に多様性が現れて来るのです。 また、ある分岐点で右の経路を選んだ物理系が次の分岐点に到達するための時間スケールは、左の経路を選んだ物理系で次の分岐点に到達する時間スケールとは必ずしも同じではありませんから、種によって進化の速度に違いが出て来る訳です。例えば、太古の分岐点ではミミズの経路を選んでしまった種は未だに次の分岐点に到達せずにミミズのままで居ますが、ミミズでない経路を選んだ種はその後次々と分岐点を経て、ついに我々人間になったのだと言うのが、散逸構造における分岐の理論の主張です。 ですから熱力学から得られる主張は、時間の流れの向きは、次々の多様化する方向に流れている。別の言い方をすれば、統一化に向かう流れは熱力学的な見方をすると進化ではなくて、退化だといっても良いかと思います。 以上述べた非平衡熱力学を理解するためには、非線形数学という現在の数学的レベルでは全く未開な領域の数学的論理の理解を要求しています。それ故、そのレベルを知らずに平衡状態近傍での線形領域の現象だけを論じて来た旧態の熱力学の知識だけで論じられている「熱死」などの概念は、改めて見直さなくてはいけない状況にまで、現在の熱力学や統計力学は進歩しております。 また、上でも触れましたように散逸構造の理論では非決定論的な確率概念が本質的な役割を演じておりますので、ニュートンの法則、シュレーディンガー方程式、一般相対論などの全ての物理学の基本法則が決定論的な側面を持っていることと、一見矛盾しているようにも見えます。この矛盾をどう解くかというのも、現在の物理学の大テーマの一つです。 地球温暖化は我々人間に対しては間違いなく不都合な状況をもたらすと思います。しかし、地球上の生物の歴史を見て来ると、過去には10mを超える肉食恐竜がおり、30mを超える草食恐竜がいました。と言うことは、それを養うための植物層は現代と比べると途方もなく豊かだったと言うことです。多分、そのころの地球は現在の地球よりもっと暖かく、巨大な植物の繁茂に適していたのでしょう。ですから、人間にとって不都合なことが、即、地球にとって不都合なことと結論をするのは余りにも自己中心的、人間中心的な物の見方ではないでしょうか。
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- cyototu
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#6です。 散逸構造の理論の紹介まで含めた近代熱力学の断トツな教科書として、 「Modern Thermodynamics」by Dilip Kondepudi and Ilya Prigogine, Wiley 1998 をお薦め致します。多分、日本語訳ももう出ているかも知れません。先年亡くなられたPrigogine教授は散逸構造の理論の提唱として1977年にノーベル化学賞を戴いており、近代非平衡熱力学の権化と言われていた方です。Prigogine教授は、非平衡熱力学と非平衡統計力学の両方に股がっての巨人でしたが、Kondepudi教授は、非平衡熱力学に関してのPrigogine教授の高弟の一人です。この教科書は学部の学生向けに書かれている、近代熱力学のすばらしい入門書です。
お礼
いい参考書を教えて頂きありがとうございます。 私はSolid MechanicsやMulti-body-dynamics等の数値解析が専門で、熱力学に関しては学部と解説本を読んだ位の知識です。教えて頂いた本を入手し手みたいと思います。院はUSですので、学部レベルであれば英語でも読めると思いますので…。貧乏なのでsoft coverがあればいいんですが。 回答者様は海外で先端領域を研究されている方と思います。貴重なお時間を頂きありがたく思います。
- Meowth
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人生そんなすてたもんではありません
お礼
回答ありがとうございます。 数世代はそうですよね。まあ、エネルギ枯渇すればそれなりの生活があるでしょう。そちらの方が今の社会より幸せかもしれませんしね。我々の先祖は皆そうだったんですから。
- cyototu
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#6です。 質問者さんの最後の質問について書き忘れたので補足します。 旧来の熱力学第二法則を少々粗っぽく表現すると 「孤立系のエントロピーは増大する」 ということですが、開放系での熱力学第二法則は、 「部分系のエントロピーはエントロピー流とエントロピー生成の和であり、内部の運動によるエントロピー生成は常に正かまたは零である。」 と表現できます。ですから、孤立系でなくても、熱力学の第二法則は適応出来ます。 我々の人間社会のあり方について、熱力学の知識を基底を置いて論じるのに私は多いに賛成です。ただし、ある時代の限られた知識だけで得られた結論をそのまま適用限界の認識も無く、途轍もなく複雑な人間の営みに適用してしまうのは危険だと思います。人間の営みは我々が今まで知的に得られた論理で理解で律しきれる程単純なものだとは思えません。現在の高度に発達した数学言語でも、非線形性に関してはほとんど何も語れない程未熟です。そのことをはっきり認識しつつ、そしてまた、次に何が起こるかについて、決定論的な要因によう場合もあり、また、偶然に支配された確率的な要因もあると言うことを認識しながら、今まで手に入れてきた知識や合理性を臨機応変に使いこなして行くのが、好ましい態度なのだと思います。
お礼
色々とご教授ありがとうございました。 あれから自分で考えましたが、地球-太陽の系では散逸構造の構築等により「部分的」に負のエントロピーが発生する要因があるという概念は理解しました。あと、エントロピー増大が生物多様性等に影響し、必ずしも悪い事では無い事は非常に勉強になりました。ただやはり現在の我々の住む系は、トータルとしてエントロピー増大しており、その速度は産業活動により以上に加速していると感じます。そして、その急激な変化が長年かけて構築された環境の「低い」エントロピー増加を「急激」な物に変え悪影響が「人類と生物」に対して起きていると感じます。唯物論的な考え方からはそれはそれで仕方ない事かもしれませんが、個人としては深刻な問題と捉えています。また、確かにエントロピーを産業活動に当てはめてどうかという議論はあると思います。物理学的には確立された理論でもないかもしれません。ただ工学的には「確実ではなくても近似で方向性がわかれば、それを考慮するべき」と思いますので、その考えを私の生活や仕事の中で生かして生きたいと思います。
補足
度々ありがとうございます。第二法則が孤立系でなくても適用可と伺いスッキリしました。 まず私の熱力学第二法則(多分旧来の)に関する理解を整理します。 (1)基本:「熱は温度が高いものから低いものへ流れ、その流れは外部から仕事が無い限り不可逆過程である。 (2)導き出される結果: ・エネルギーには質があり、位置や運動エネルギーと比べ、熱エネルギは有用ではない。 ・最小作用の原理により、系のポテンシャルエネルギが低くなる様な振舞いを構成物質は起こすが、同時に確率が高い状態もとろうとする。 ・エンジン等で仕事をするには「温度差」が必要であり、いくら高温でも温度差が必要。その意味でエントロピー増大は仕事率を落とす。 ・高温であるほど確率的要因がエントロピーに影響する。 ・情報理論で使われるエントロピーは、情報量の多さをWとした場合 S=klogWで定義され、情報量又は未知数の多さを表す。 ・以上の関係を式にすると F=E-TS F:自由エネルギー(仕事が出来る高質なエネルギー) E:全エネルギー(位置や運動) T:温度 S:エントロピー で自然はFを最小にするように作用する。ここで束縛エネルギーTSは仕事をしない低質なエネルギーであり、マクロ的には熱エネルギー、ミクロ的には乱雑さを表している。 以上が現状までの私の理解です。これと頂いたアドバイスを元にもう少し考えてみたいと思います。 追伸:最後に記載頂いた、「ある時代の限られた知識だけを~」というのは大切なご意見だと思います。そして新しい理論も認識しながら、臨機応変に使いこなすというのは慎重で正しいご意見と感じました。ただ、現在の社会活動は、同様に複雑で把握しきれていない市場原理中心に構築されています。そこでは物理的合理性が軽んじられてると個人的には感じています。私は双方の「バランス」が一番重要だと思います。
- cyototu
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熱力学についての誤解が、話をめちゃくちゃにしているように見えます。 宇宙の熱的死は必ず訪れるという仮説は、重力まで考えると大変危ない仮説になっています。そのことを少し長くなりますが説明しましょう。 先ず熱力学の第二法則を語るためには、この宇宙が「示量変数」と呼ばれる物理量によって記述が可能であるとの前提に立っています。「示量変数」とは系の自由度の数を増大させた時に、その量の値が自由度の数の1次に比例して増大する量のことです。具体的には系の全エネルギーの値とか系の全粒子の数が「示量変数」の例です。もし、「示量変数」があるならば、それを系の自由度の数で割ったものは、自由度の数を無限大にしても、それは有限になっています。この有限量のことを「示強変数」と呼びます。その具体的な例は温度などです。この「示強変数」と「示量変数」が存在しない系では、熱力学は存在しません。 さて、簡単なモデルとして中心力の2体相互作用し合っているN粒子系を考えてみましょう。その場合、自由運動のエネルギーは各粒子の運動量の2乗に比例したN項の和で表せますので、全運動エネルギーの和はNに比例し、従って、全運動エネルギーは「示量変数」です。ところが、全位置エネルギーの和は2体相互作用のあらゆる粒子の組み合わせの和ですから、N(N-1)/2項の和です。従ってNを無限大にして行くと、この項の数はNの2乗に比例しています。従って、短距離力でないかぎり、全位置エネルギーの和は「示量変数」ではありません。重力を無視すると分子間力は短距離力ですから、各々の粒子は一時に高々有限個の粒子の相互作用するだけになります。したがってそれをN個の各粒子に対して和をとれば、全位置エネルギーも「示量変数」に成れる訳です。 ところが重力は長距離力です。したがって、重力が無視出来なくなると各粒子は残りの全ての粒子から相互作用を受けることに成ります。それ故、この場合全位置エネルギーはNの2乗に比例してしまい、熱力学が成り立たなくなってしまいます。熱力学をその裏にある分子の運動から基礎づけることを目的とした統計力学では、ボルツマン方程式という大変重要で基本的な方程式がありますが、天体の銀河系の星の集団に対してはボルツマン方程式が存在していません。その理由はまさに、重力が長距離力であるために「示量変数」という概念を使って系の性質を論じることが出来なくなってしまうことにあります。 別な言い方をすると、この宇宙の粒子は短距離力による衝突によってエントロピーを増大させ、熱平衡状態(すなわち熱死状態)に近づこうとしているのですが、長距離力の重力がそれを妨げて全宇宙を非平衡状態に保っているのです。 ご存知のように現在華々しい成果を産み出している「散逸構造」の理論によると、系が平衡状態から十分離れた非平衡状態に保たれていると、系の内部で起こる散逸、すなわちエントロピー増大のおかげで、系が物理法則にしたがって自発的に構造を作り出します。このとき、系の内部運動でエントロピー生成が起こるおかげで、系の構造を壊そうとする外からの破壊因子の記憶が減衰(すなわち散逸)し、系の構造が長時間安定に保たれます。ですから、非平衡系では、エントロピー生成は熱死へと導く要因ではなくて、構造を安定化させる要因になっています。そのことを強調するために「散逸構造」と名付けられているのです。 散逸構造の具体例は物理系ばかりではなく、現在ではこの地球上の生命体の構造や人間の社会構造もその中に含まれているとの認識が多くの科学者の中で受け入れられるようになって来ています。ただし、この地球上での散逸構造の出現を可能にするために地球を非平衡状態に保っている第一義的な要因は、重力よりもむしろ太陽による熱の流れです。 誌面が足りないのでここでは詳しく説明しませんが、散逸構造のもう一つの要点は系が熱平衡状態から十分離れると、非線形効果による系の不安定性が現れてくることです。この不安定性のおかげで前には安定していた構造が壊され、今までに無かった、前より複雑な構造が新たに現れて来ます。ですから、より多様で複雑な構造を作り出すためには「不安定性」が必要なのです。余談ですが、多分皆さんが思春期に不安定になるのも、その後に来る安定した大人への脱皮のために必要なことなのでしょう。 このように、社会構造の不安定化や古い社会構造の崩壊、あるいは地球温暖化などの現象を短絡的にエントロピー増大による構造の破壊と見るのは、近年の物理学の発展を無視した見方になっております。逆に非平衡系ではエントロピーが局所的に増大していることで新しい安定した構造が現れて来ているのです。 したがって、時間は単純な系では構造の破壊を促すように流れていますが、エントロピーが増大する方向に流れる同じ時間の向きが、より複雑な構造をもった生物の進化や社会の歴史的進化をもたらしてもいるのです。
補足
丁寧な回答ありがとうございます。完全に理解できない部分も多いですが、ポイントを以下にまとめました。 (1)宇宙では、熱力学第二法則は成立しない。(「示強変数」と「示量変数」が存在しない為) (2)地球は散逸構造の系であり、太陽からのエネルギ流入がある開放系であるためエントロピーは一定範囲に保たれる。 (3)散逸構造系では、エントロピー生成は熱死へと導く要因ではなくて、構造を安定化させる要因になる。 (4)系が熱平衡状態から十分離れると、非線形効果により系の不安定性が現れ、今までに無かった前より複雑な構造が新たに現れて来ます。非平衡系では、エントロピー生成は熱死へと導く要因ではなくて、構造を安定化させる要因になっています。(=(3)) (5)エントロピーが増大する方向に流れる同じ時間の向きが、より複雑な構造をもった生物の進化や社会の歴史的進化をもたらしてもいる。 以上から以下の疑問があります。 (1)に関して:宇宙は閉じた系であるが、熱力学第二法則が適用出来ないので熱的死は起こりえないという事でいいでしょうか? (3)(4)に関して:非線形性が現れるということは、微小のゆらぎにより系が著しく不安定になるカオス的状態とも思われます。より複雑な構造が現れるということは理解できますが、カオス的状態が構造を安定させる要因といえるのでしょうか? (5)に関して:指摘通りと思います。現在はその社会の歴史的進化が、エネルギ消費量の増大による非有用熱熱エネルギの増加となっているのではないでしょうか?複雑な構造の構築や生物の変化(進化とはいいきれない)が、我々にとって好ましい方向に向かっているのでしょうか?少なくとも、次々と絶滅種が出ている状態では、自然の進化のスピードが人類の経済活動弊害のスピードに追いついていない気がします。 誤解を招く書き方でしたが、宇宙の熱的死が地球温暖化を引き起こしてるとは考えていません(ご指摘だと熱的死は起こらないのですが)。また、散逸構造についても初めて聞く内容で勉強になりました。またエントロピー増大により生物の変化を引き起こす事も何となくわかる気がします。ただ、最終的にわからないのは、ではどこまでが孤立系で第二法則が適用出来るのかという点です。地球は違い、宇宙も違うとすれば理想化された機械の系だけなのでしょうか?そうであれば、第二法則を経済活動に適用するのは確かに不適切でした。
- debukuro
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地球の温暖化とエントロピーを同列で扱うことには無理があるようです エントロピーは閉じた系 地球は開いた系です 地球で問題になっている温暖化は熱的死ではありません 出て行く熱よりも入ってくるあるいは発生させている熱が多いだけのことです 熱的死とは高温も低温も無く全体が一様な温度になりエネルギーの移動が起こらない状態です 現在の資本主義では、大量生産大量消費で死期を加速している様に思えます これは誰もが気にしているのですが今の暮らしの質を落としたくないという欲のほうが強く働いているからですね 理系が主導して、とはいっても金を出しているのは資本側なのです 悲しいことですが事実です 宇宙開発だって米ソ対立が無かったら月に到達していたかどうか疑問です 両国が軍事的優位を誇示するために始まった宇宙競争ですから そうでなければ国は膨大な予算を出してくれません ソ連解体でNASAの予算が大幅に削減されたことでも明らかです 理系は金食い虫なんです・゜・(ノД`)
お礼
回答ありがとうございました。 私も温暖化直接エントロピー増大により引き起こされてるとは思っていません。理系と資本側との関連は同意です。だた、今の流れは資本主義>物理的合理性なので、もう少しバランスがとれればいいなと思っています。自然は資本主義で支配されていませんから。。。
- htms42
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いろんなことがごちゃ混ぜになっているのではないでしょうか。 空間のスケール、時間のスケールも混乱しています。 宇宙の熱的死というのと地球の温暖化とを並べるとおかしくなります。 宇宙の熱的死というのは100億年のスケールの話です。今問題になっている温暖化は100年というスケールでしょう。 ある時期の地球の環境を条件として生命が誕生したのですからその環境が続かなければ生物は生存できません。これは星としての地球の寿命とは全く関係がないことです。地球にとっては小さな揺らぎかもしれない変化が生物にとって大問題になるのです。生物の存在よりももっときつく環境に依存した形で社会システムが出来上がっています。地球がちょっとくしゃみしても崩れてしまうようなシステムになっているのです。 地球は熱を地球外に捨てています。地球と宇宙空間に温度差があるから可能なことです。地球からの放熱で宇宙空間の温度が上がったというのであれば温暖化と宇宙の熱的死が結びついてきますがそういうことはないでしょう。宇宙の熱的死につながる原因で温暖化が起こっているのではありません。運動して体が熱くなれば着ているものを脱ぎます。ところが脱ぐ代わりに着るものを増やしたらどうなるかという問題ではないでしょうか。熱くてたまらなくなります。発熱量を減らすか着ているものを脱ぐかしか対策はないのです。ここで熱的死のイメージを使うのでしたら地球の表面に限って使う必要があります。地球が宇宙に開かれていなくて閉じているという面があればある程度有効になります。ここに宇宙の熱的死を持ってくるのは見当違いだろうと思います。
お礼
回答ありがとうございます。 ご指摘通り、温暖化の「原因」がエントロピー増大とは思っていません。ただ、人類の活動の結果として温室効果が起こって地球内の平均温度上昇→温度差で動作する内燃機関の効率低下+クーラー使用による消費電力増大+地球の極の低温地方→温度上昇(地球全体温度が均一化している)等を考えると、結果としてエントロピー増大が「加速」しているという感を受けています。 他の回答者からも指摘頂きましたが、確かに地球は閉じた系ではないです。それに宇宙の熱的死は遠い将来でしょう。ご指摘のように地球の温度上昇で宇宙の温度が上昇している訳ではありません。わたしが「宇宙の熱的死」を持ち出したのは「そういう物理的予測があり、それは地球にも当てはあまる」といいたかったからで、「宇宙の熱的死で地球が滅亡する」というわけではありません。 ただ、地球もそういう法則の「支配下」にあり、それを考慮した社会システムが必要ではないかと思ったのが意図です。
- tera_tora
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エントロピーの増大はエネルギーの秩序です。最終的には質の悪い熱運動に成り果ててしまいます。但し、その間に、どのようにエネルギーを活用するかは別問題です(エントロピー増大過程の経路は問わないと言うことでしょうか…)。理想的なことを言えば、一次エネルギーで発電し電気を作り出し、その廃熱で身近なものへとまわす、いわゆるコジェネレーションですね。例えば、過程でお湯を沸騰させるには、ガスで数百度まで温度を上げ熱するか、質の高いエネルギーである電気を敢えて使い、沸かすかですが、100℃のお湯があればいいだけで、それは廃熱でまかなえるのではないかとか、風呂に入るにいたっては45℃のお湯で十分です。一昔前、このシステムは騒がれていましたが、やはりコストの関係上、システムとして現実的な値段で作り上げるのが難しいのでしょう。 地球と言う系でいえば、エントロピーを減少させている(流入エネルギーがあること)要素が一つあります。太陽光でしょう。これは昔自分が計算したことがありますが、地球に降り注ぐ太陽光のエネルギーがすべて確保できれば、人類には十分過ぎるエネルギーが確保できます。それをいかに確保するかが、今後の人類に課せられるエネルギー問題の解決に大きく結びつくでしょう。自分も調べたところ、一番効率的にエネルギーを確保できるのは水力発電でしょうということになりました。太陽光パネルでは、コストもかかり、もともとエネルギー密度の小さい太陽光をパネルで拾うこと自体大変な作業ですが、地球を循環する水を雨と言う形で位置エネルギーに変えてくれることは太陽光のエネルギーの凝縮ともいえます。結局、風力発電も太陽光エネルギーを利用した発電ですが、風もいかんせん、エネルギー密度が低い、やはり効率的なのは水力発電です。水力発電はインフラさえあれば、半永久的に利用できます。私は、水力発電をこれからは重視すべきだと思っています。 そして、遠い将来なのかもしれませんが、核融合が現実的に発電に用いられるようになれば、また事態も変わってくるとも思います。 いずれにせよ、化石燃料や原子力に依存したエネルギー体系は限界がありますので、一刻も早く切り替えるべきでしょう。
- b_bb
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ごめんなさい。ちょっとわかりやすく追記します。 一言でいうと、熱的死より大きな理由あるんだから熱的死なんて気にしなくていいじゃない!ってことです。
お礼
つまり、熱的死は必ず訪れるという仮定。 節約は訪れを遅らせるだけであるという事実。 そして、人類は熱的死以外の理由で滅亡する可能性のほうが高い。 >意図はよくわかります。確かに熱的死なんかより、核戦争や新型インフルエンザ、小惑星の衝突等で滅亡する確率が高いかもしれません。しかしそれらについては、政治かもある程度認識があってそれなりの対策は打たれている気がします。ただ、第二法則の避けられない宿命の対策には、効率のよい無駄を抑えた社会システム構築が重要だと思いますが、しかし今は、資本主義(個人、国家の利益)が最優先と私には見えるのです。ある意味、エントロピー増大則の結果、利用できない熱エネルギが増加し+温室効果で地球温暖化が加速していると思います。プラス、途上国の発展によりエネルギ消費量は増大しています。ここ数百年で消費されたエネルギ量は、それ以前に全人類が消費したエネルギを凌駕しています。私達はこの状態が長く続くと錯覚してますが、これはごく近年だけの話ですから・・・。 とまあいろいろ書きましたが、私もわかりやすくいうと「もっと節約、効率のいい社会システムを政治主導で構築して下さい!」と、いう事です。利益第一主義のシステムでは、死期を早めるのではという私の疑問です。
- b_bb
- ベストアンサー率23% (4/17)
んーっと、つまり、宇宙という一つの系が閉じていると考えると、エネルギーが凝縮されている形態である質量が不可逆変化によって熱エネルギーにかわるということ、なのか? 節約っていうのは同意しますが、モノによってはリサイクルするとそれこそエネルギー消費するわけで天然資源から作りだしたほうが熱エネルギ―的にはエコなこともありますよね。 つまり、ものによっては消費こそがエコってことですね。 僕は資本主義はあまりよろしくないと思いますが他に代わる有用な経済形態が思いつかないし、今のところないので、今の社会システムを消極的には否定しますが積極的に否定するつもりはありません。 資源なんて地球に限らずそこら中にあります。つまり地球の系は閉じてないです。資本主義は膨張主義となりますが、その膨張を満たすだけの余裕が宇宙にはまだまだあります。 また、熱的死はおよそすべての物体からエネルギーを取り出した後に起こるわけですから、そのころには普通に人死んでますし、 つまり、熱的死は必ず訪れるという仮定。 節約は訪れを遅らせるだけであるという事実。 そして、人類は熱的死以外の理由で滅亡する可能性のほうが高い。 ということは、直接の死因でない熱的死を対策するために、今の資本主義を無理にかえるということは的外れだと思います。 無論、これは地球温暖化対策とかを一切しなくてよいという理由にはなりません。それによって経済活動が阻害されたりすることもありえますからね。 結局地球温暖化が間氷期なのか開発が原因かはまだわかりませんが、わかった時には遅いわけで、そういう対策はすべきとは思いますけどね。
お礼
回答ありがとうございました。 んーっと、つまり、宇宙という一つの系が閉じていると考えると、エネルギーが凝縮されている形態である質量が不可逆変化によって熱エネルギーにかわるということ、なのか? >熱力学の第一法則で、エネルギは形態を変えても保存されます。第二法則はそのエネルギの質に関する物です。つまり、仕事をさせられるエネルギとそうでないのがあり、後者が増えていくというのがエントロピー増大則です。 資源なんて地球に限らずそこら中にあります。つまり地球の系は閉じてないです。資本主義は膨張主義となりますが、その膨張を満たすだけの余裕が宇宙にはまだまだあります。 >これはたまに聞きますが、資源を探しに他の惑星に行くにはより多くのエネルギが必要です。その差し引きをすればマイナスになります。例えば、火星に資源を探しに行く場合、得られる以上のエネルギを消費するらしいです。 直接の死因でない熱的死を対策するために、今の資本主義を無理にかえるということは的外れだと思います。 >直接の死因ではないにしろ、エネルギ争奪戦が始まっているのは事実です。 そのエネルギ活用に影響する、効率、使用量の削減は資本主義に優先するのかなと思いました。それには熱力学第二法則の概念が重要かと。 個人的に、温暖化の議論をすると「経済活動が阻害される」とう発言をする政治家がいらっしゃいます。確かに経済活動は大事です。けれどエネルギが確保出来なければ、経済活動うんぬんの以前の問題と感じます。その意味でご同意頂いた、温暖化対策等主体で進めてほしいと願っています。
お礼
度々詳しい解説感謝致します。 ここ数日考えたり調べましたが、回答者さんの知識は最前線の知識で私は難解な点が多々あります。しかし、何点か考えをまとめました。定義や数式等を使わずに、概念だけで考えましたので間違いもあると思います。 (1)地球でエントロピー減少の要素があることは理解しました。 (2)「この初期条件の情報を忘れるということを物理学では散逸と言い、その忘れることを量的に表したものがエントロピー生成です」 >これは私には分かりません。情報理論のエントロピーS=klogW(W:未知な物の数)でWが増えるとSが増える事がエントロピー増大(生成?)という理解なのですが…。 (3)「このように散逸構造の安定化と不安定化を次々~この宇宙の中に多様性が現れて来るのです。」 >理解できます。確率的な予測と、観測による分岐はよく聞きます。多次元宇宙論もその1つと伺いました。 (4)「人間にとって不都合なことが、即、地球にとって不都合なことと結論をするのは余りにも自己中心的、人間中心的な物の見方ではないでしょうか。 >ごもっともです。私も反省しなければなりません。人間中心の考え方になってたかもしれません。ただ、人口が増加し他の生物が次々に絶滅している中、人間中心的な物の見方がされてるのが実情です。これを改善する切り口の1つが、第二法則ではないかという主旨でした。 ただ回答頂いた中から再度疑問があります。後日、記載させて頂くつもりですが、概要は「太陽-地球の系では、エントロピー減の要素はあるがやはり全体としては増大しているのでは?」という事です。宇宙の熱死は指摘頂いた散逸構造の例もあり未知な部分も多く、現在では?の状態であるのは分かりました。よって対象を絞りたいと思います。自分でも勉強してみます。お忙しいと思いますので、いつか機会あれば目を通して頂ければ幸いです。