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記憶と細胞について

ある漫画で次のような台詞がありました。 ・人間の7年たったら体中の細胞がほとんど入れ替わる ・記憶は古い細胞から新しい細胞へ受け継がれていく ・古い記憶があやふやになっていくのは、受け継がれるときに劣化するからだ 上に挙げた3つのものは、生物学的に、本当ですか? よろしくお願いします。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • ruehas
  • ベストアンサー率68% (816/1194)
回答No.4

こんにちは。 我々の身体で筋肉や骨などを作る「体細胞」は一定の寿命で入れ替わりますが、脳や脊髄などの「神経細胞」といいますのは新しいものに作り替えられるということはありません。我々は生まれてから死ぬまで、生涯に渡って同じ神経細胞を使います。ですから、この身体の細胞が一定期間で入れ替わるために脳の記憶が薄れるというのは、これは致命的に間違っています。そしてもちろん、我々の脳内では古い細胞から新しい細胞に記憶情報が引き渡されるなどということは一切行なわれていません。 このように、神経細胞といいますのは生まれたときから数は同じで、それが新しく作られるということはありません。このため、概ね成人を過ぎた辺りからその数は毎日のように減ってゆくことになります。ですが、だからといって仮に百歳まで生きたとしましても有り余るほどの数が残っていますので、この神経細胞の減少は加齢による記憶の劣化とはほぼ無関係であると考えられています。 そして、学習記憶といいますのは神経細胞の中に書き込まれているのではなく、それは神経細胞同士の接続による「神経回路」として作られるものです。ですから、記憶情報といいますのは別に細胞膜の中に保存されているというわけではないのですから、それを別の神経細胞に移し変えるなどというのはやろうと思ってもできることではないんです。 では、この記憶接続を構成する細胞がひとつ死にますと、回路は別な細胞を探して接続をし直します。このときに劣化が起るかどうかというのはまだ確かめられてはいませんが、無数の接続によって作られる神経回路といいますのはそんなに単純な構造ではありませんので、これによってどれか特定の記憶が壊れてしまうなどということはまず起りません。逆に、この接続の修復といいますのは、むしろ神経細胞の欠落によって我々の記憶が失われてしまわない理由と考えられています。 通常、記憶といいますと大脳皮質の学習記憶を指しますが、これは「長期記憶」と呼ばれるもので、その記憶回路といいますのは「シナプス接合の可塑的強化」と「機能タンパク質の合成」などによって物理的に固定されています。ですから、構造的には大脳皮質の長期記憶といいますのは使わなくとも劣化するということはありません。では、我々はしばしば古い記憶を忘れてしまうということがありますが、これがどうしてなのかといったことに就きましては、残念ながらまだほとんど解明されていません。 このように、その漫画は決して生物学の正しい認識に基づいて描かれているものではありませんから、ほとんど当てにしない方が良いと思います。

xenotactic
質問者

お礼

詳しい回答ありがとうございました。 生物を履修しなかったもので、 細胞がどうこうというのはあまりよく知らなかったのですが、 「記憶」がどんなもので、どうやってなされているのかが よく理解できました。 漫画の場合、上の3つの命題をもとに、 ロマンチックなストーリーの展開をしていくのですが、 実際にはそんなことないんですね。 すっきりしました。どうもです。

その他の回答 (3)

  • keiii1i
  • ベストアンサー率47% (30/63)
回答No.3

>人間の7年たったら体中の細胞がほとんど入れ替わる 「ほとんど」と曖昧になっているので完全には否定できませんが、 細胞の中には、分裂しない細胞もあります。例えば脳の神経細胞は生まれた時は約1兆個あります。これは成長の段階では成長して大きくはなりますが分裂して増えることはなく、死んでいく一方です。成人では大きさもほとんど変わることなく1日に約5万個が消滅しています。 しかし全体から見ればたいした数ではないので80歳になっても全体の1割が消滅したに過ぎません 脳以外の神経細胞も増えることはなく、神経に損傷を受けると、一生直すことができません。これを再生しようとするのがES細胞やIPS細胞といった研究ですね また筋肉の細胞も増えることはありません。ひとつの細胞が大きくなることはありますが、細胞の絶対数はかわりません。心臓も筋肉できていますが、心臓癌なんていうものがないように、心筋細胞も増殖しません。 したがって決して少なくはない量の細胞が一生のうちに新しくはならないということになります。 >記憶は古い細胞から新しい細胞へ受け継がれていく まるで分化した細胞が新たな細胞を生み出しているようないいかたですが、細胞は幹細胞から分化して、前駆細胞となり最終的な役割を持つ細胞になっていくわけで、正しくありません >古い記憶があやふやになっていくのは、受け継がれるときに劣化するからだ 記憶は脳によって蓄積するとするなら上で言ったように脳細胞は増殖しませんからその様な現象が起こるわけがありません

xenotactic
質問者

お礼

記憶と細胞の関係についてよくわかりました。 ありがとうございました。

  • MIYD
  • ベストアンサー率44% (405/905)
回答No.2

>・人間の7年たったら体中の細胞がほとんど入れ替わる ほとんどがどれだけの割合を意味しているのか次第です。 100%入れ代わっているわけではありませんし、全く入れ替わらないと言うわけでもありません。 >・記憶は古い細胞から新しい細胞へ受け継がれていく >・古い記憶があやふやになっていくのは、受け継がれるときに劣化するからだ これらを示すデータは無いと思います。

xenotactic
質問者

お礼

簡潔で分かりやすい回答をありがとうございました。

  • darwin22
  • ベストアンサー率0% (0/2)
回答No.1

自分なりに分子生物学等の本を読んだり、講義を受けたりして学んだことを元に回答すると、以下のように思われます。 >・人間の7年たったら体中の細胞がほとんど入れ替わる 入れ替わる周期は、細胞の種類、体の部分によって様々なようです。 ただ、かなりの細胞は1ヶ月~1年程度で入れ替わってしるようなので、 7年もたてばほとんどの細胞が入れ替わっているだろうといえるでしょう。 >・記憶は古い細胞から新しい細胞へ受け継がれていく >・古い記憶があやふやになっていくのは、受け継がれるときに劣化するからだ 記憶というのは細胞個々が蓄えているものではありません。 しかし細胞の集合体である脳は記憶を蓄えています。 では記憶がどのように蓄積されているかというと、神経細胞同士のつながりによって、(いわば)神経回路の形で記憶されています。 この回路は常に変化を続けていますが、そこにはある程度法則性があります。 シンプルに言うと、何度も使用された回路は強く太くなり、使われない回路は徐々に細くなり、やがては途絶えてしまうこともあります。 つまり、何度も思い出さない限りは、時間が経つごとに徐々に記憶はあいまいになり、やがては忘れてしまいます。 これは、細胞が入れ替わることによって起きているというわけではなく、生きている神経細胞が他の神経細胞に接続している腕を太くしたり細くしたりすることによって実現しています。(よく使われる腕は太くなり、使われない細くなっていく) 入れ替わった細胞は基本的には前の細胞がしていた仕事を引き継ぐので、ネットワークの形は細胞が入れ替わってもそれほどは変わらないと考えられます。 結論としては、最初の命題は概ね正しいと言え、残りの二つは完全に間違っているとは言えないが、細かさ、正確さが足りないと言えると思います。

xenotactic
質問者

お礼

すばやい回答ありがとうございました。

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