仮勘定から本勘定への振替時期は、減価償却開始時(事業供用可能時)ではなく、完成時であったかと思います。
そうすると、「遅くとも」、減価償却開始時に1個の資産として計上され減価償却対象となるべきものについては、事業供用可能要件さえ加われば減価償却できる状態になった段階で本勘定へ振り替えるのが、あるべき仕訳といえるのではないでしょうか。
この点、購入したサーバーは、設置した段階で「事業供用可能要件さえ加われば減価償却できる」といえるように思います。この場合、納入から設置までの期間は仮勘定へ計上することもまた、あるべき仕訳となります。もっとも、この期間は短期間でしょうから、仮勘定を通すまでもないともいえます(重要性の原則)。
したがって、まず、あるべき仕訳を選択しつつ、納入から設置までの期間に対しては重要性の原則を適用することで、「一端経理処理上建設仮勘定以外」の仕訳方法を実現できましょう。
なお、減価償却は、資産計上後すぐにおこなわねばならないとされてはいません。ですから、事業供用可能となるまで本勘定に計上しつつ減価償却しない、という状態は発生しえます。
また、減価償却開始の時期は、正確には、実際の事業供用時ではなく、事業供用可能時であることにも注意を要します。「事業供用可能時」とは、契約や意思決定により事業に供することが出来る時点ではなく、物理的に供用可能など客観的に見て供用可能となった時点をいいます。事業供用可能時に遅れて実際の事業供用時で減価償却を開始している場合には、会計理論上、重要性の原則等で説明可能かどうかを検討することになります。
次に、前回投稿でも述べましたとおり、勘定科目名については、既存のものに絶対的に拘束されることはありません。建設仮勘定についても同じことがいえます。
したがって、サーバーの購入から事業供用までの期間中、仮勘定へ計上することを前提にした場合でも、それを示す勘定科目名として「建設仮勘定」以外の名称にするほうがより実態を表すものと会社が考えるときは、その名称を選択すれば、「一端経理処理上建設仮勘定以外」の仕訳方法を実現できましょう。
さらに、ご存知のとおり、コンピュータに関して、ハードウェアとソフトウェアとは、両者が有機的一体となり切離しが事実上不能である場合には、両者を合算しハードウェアとして有形固定資産計上することになります。そうでない場合には、ハードウェアは有形固定資産に、ソフトウェアは無形固定資産に計上させることになります。
このとき、それぞれにつき仮勘定に計上する場合にも、それぞれの区分に、すなわちハードウェアにつき仮勘定に計上する場合には有形固定資産区分に、ソフトウェアにつき仮勘定に計上する場合には無形固定資産区分に計上するのが、原則となります。
したがって、サーバーの購入から事業供用までの期間中、仮勘定へ計上することを前提にした場合でも、ソフトウェアについては、「そうでない場合」に該当すれば、実態を表すにふさわしい仮勘定を無形固定資産区分に設置することにより、「一端経理処理上建設仮勘定以外」の仕訳方法を実現できましょう。
なお、ソフトウェアに関する無形固定資産区分での仮勘定の科目名は、「ソフトウェア仮勘定」とするのが一般的であるように思います。
また、「そうでない場合」であっても、重要性の原則を適用することにより、ソフトウェアに関する仮勘定該当部分についても、有形固定資産区分へ計上することが出来ます。この場合には、重要性の原則が適用できる限りにおいて、現状の方法でも構わないといえます。
補足
監査法人より、建設仮勘定が妥当と指摘されたのですが 建設中のものやそれに付帯する設備でなれば納得しますが 当社のビジネスは、基本APSサービスなので 仮にあるフロアに、100万のサーバーを購入したとします。 しかし、それが稼働し売上につながるのは3ケ月後だとすると 確かにすぐ、減価償却対象はおかしいと思いますから 何かの仮勘定で計上するのが望ましいと私は、思いました。 もっとわかりやすく言うと 商品として、100万のサーバー そのサービスに使用する、ソフトウェア100万 場合を考えた場合、建設仮勘定でしょうか? 宜しくお願い致します。