• ベストアンサー

紫外線吸収剤について

kaitou_1の回答

  • kaitou_1
  • ベストアンサー率47% (8/17)
回答No.3

当方、紫外線吸収剤などの実用面は素人ですが、分子科学の専門家として、ご質問の文章から、推測される事を述べます。 まず、質問文でご説明された紫外線吸収剤の働き「紫外線を吸収し、熱として逃がす」という課程には二つの課程が含まれている事にお気づきでしょうか。つまり紫外線を吸収する課程、熱として逃がす課程です。 紫外線のエネルギーは少なくとも3eVと分子の結合エネルギーに迫る大きさであるので、もし分子が紫外線を吸収した場合何らかの形でエネルギーを逃がさないと、分子が解離してしまいます。その課程として「熱に逃がす」という課程があります。 さて、ご質問文からベンゼン核を持つ分子が紫外線吸収剤としてよく用いられるということですが、ベンゼン核はこの「熱に逃がす」課程(Internal Conversion、内部転換とよばれます)を促す作用があると言われています。ので、この作用によってベンゼン核が紫外線吸収剤に適しているという事ではないかと思います。 さて、紫外線吸収についてですが、有機分子がNo2さんのおっしゃるUVAを吸収するためには、長い共鳴構造(二重結合がつながっった構造)が必要です。(物理化学の教科書の電子遷移又は紫外線吸収の項、特にヒュッケル近似の項を読んで頂ければ書いてあると思います)ベンゼンだけではその共鳴構造の長さは足りず300nmまでしか吸収しないのですが、ベンゼンにさらに二重結合をいくつもつなげた分子(場合によってはさらにベンゼン環をつなげたようなもの)では300nm以上の波長も吸収出来ます。また、もっと容易に紫外線を吸収する物としてはある種の金属があります。ベンゼン核を持った分子に金属を錯体として付加したような分子も長い紫外線を吸収する事ができるでしょう。 紫外線吸収剤の正確な分子構造を当方は知りませんので、推測の域を超えないのですが、紫外線吸収剤はこのような長い共鳴構造を持つ分子又は金属が付加された分子ではないだろうかと推測します。ご質問のPET樹脂などでは、ベンゼン環があるものの、それぞれは両側が単結合で共鳴構造がとぎれとぎれに切れてしまっているために300nm以上の波長を吸収する事が出来ないのではないかと思います。

tyumaru
質問者

お礼

遅くなりましたが、ご回答ありがとうございます。 非常に参考になりました。 また、宜しくお願いいたします。

関連するQ&A

  • 紫外線吸収剤と増感剤

    紫外線吸収剤はUVを吸収して熱と光に変える働きがあると聞いたのですが、UV重合開始剤の増感剤はUVを吸収した後違った働きをするのでしょうか?増感剤の働きについて教えて下さい。よろしくお願いします。

  • オゾン層 紫外線吸収のメカニズム

    オゾン層が紫外線を吸収するメカニズムについて調べております。 お詳しい方がおられましたら、ぜひご教授いただければ幸いです。 オゾンが酸素分子と酸素原子から生成されるとき、紫外線の作用で酸素分子が酸素原子が解離することは知っています。 オゾンの生成熱はおよそ-145kJ程度ですから、上記の反応でオゾンが生成されるときにエネルギーが必要になります。このエネルギーを紫外線が与えているとすれば納得できます。 としますと、オゾンが紫外線の作用でまた分解することと、その際にエネルギーが系の外に放出されること、オゾン層が紫外線を吸収する事実、この3つがつながらないのです。 ウィキペディアでオゾン層の項目を見ますと、反応の過程におけるエネルギーの授受が示されていますが、一般式なのでその規模がわかりません。 検索していくつかのサイトも参考にしましたが、「オゾン層は紫外線を吸収する」という一般的なレベルにとどまっているところが多く、疑問が解決できませんでした。 詳細な説明がある文献やサイトの情報でもありがたいです。 よろしくお願いいたします。

  • 官能基で吸収したエネルギーは同一分子内の他の官能基もしくは分子中心で使われることはありますか?

    こんにちは、共役系構造をもつ分子構造は光をよく吸収することを学びましたが、吸収された光のエネルギーは、その分子構造そのものでしか使われないのでしょうか? それとも同一分子内の他の箇所で使われることも可能でしょうか? たとえば、アミンの一つのアルキル基をベンゼンにした場合、紫外域の250nmの光をベンゼンが吸収した場合、アミンのNが電子を放出するためのエネルギーに費やされることはありますでしょうか? 

  • エポキシ系UV硬化樹脂についての解説本を探してい…

    エポキシ系UV硬化樹脂についての解説本を探しています。 エポキシ系(カチオン重合)のUV硬化樹脂について勉強中ですが、 初心者にも判りやすく解説されている本があったら、ご紹介して下さい。 特に知りたい内容としましては、 ・硬化のメカニズム(カチオン重合) ・アクリル系(ラジカル重合)との違い ・エポキシ樹脂の耐候性試験の条件 ・熱による影響(UV硬化後、熱が掛かることで硬化が促進する) 以上の4点です。 宜しくお願いします。

  • 紫外・可視領域の分子の吸収スペクトルについて

    「紫外・可視領域の分子の吸収スペクトルが幅広になる理由を述べなさい」という問題について、ご教授願います。 講義の内容や、文献をあたった結果から以下のように自分なりに考えました。 「分子が紫外線や可視光を吸収すると基底状態にあった電子が励起され励起状態となる。このときのエネルギー差に相当するエネルギーを持った波長の光が吸収されスペクトルとなる。しかし、分子の持つエネルギーはほかに、振動エネルギーや回転エネルギーなどがあるため、実際に吸収するエネルギーの値は一定ではなく幅を持ったものとなる。このため、吸収される光の波長にも幅が生まれ結果としてスペクトルに幅が生まれる。」 この内容について、合っているか間違っているかを教えて頂きたいのが1点目の質問です。 そして、課題のヒントとして 「分子の基底状態は振動により核間距離に幅がある。フランクコンドンの原理にあるように吸収は核間距離を変化させずに起こる。基底状態から励起状態に遷移するためには励起状態に存在を許容する準位がなければならない。といったことを考えよ」 というものが与えられたのですが、これをどのように考えたらいいのかがわかりません。これが2点目の質問です。 以上の2点について、考え方の方向性やヒントを示していただけるだけでも構いませんので、ご解答をお願いします。

  • 水の潜熱の吸収・放出でなぜ水が空へ上がるか?

    1.海水は太陽エネルギーや地面の熱(潜熱)を吸って軽い水蒸気となり空へ。 2.空で冷やされて潜熱を放出して水滴となります。 3.重力を受けて地上に雨となって降り注ぎます。 ふと思ったのですが、放出と吸収の潜熱が同じなら空での水滴の位置エネルギーは説明がつきません。位置エネルギーの増分はどこからの発生したのですか?

  • 核分裂のエネルギー源について

     原子核融合は、その際に起こる質量欠損により熱などのエネルギーを放出しますが、原子核分裂は、どのようにしてエネルギーを放出し、その熱エネルギーを原子力発電所などで利用しているのでしょうか。

  • NMR概要について

    NMRの概要に↓のような説明があるのですが。いくつかの疑問があります。 「磁場のなかにおいた試料に電磁波を照射させると、試料中の原子核がその特性に応じて異なるエネルギー状態を生じる。核磁気共鳴分光法とは、このエネルギー差に相当する電磁波を与えたときに起こる共鳴吸収を観測し記録する方法である。NMR法は有機化合物の構造決定や医療分野ではMRIなどとして応用されている。」 とあるのですが (1)その特性といいますのは、要は何なのでしょうか??核スピンのエネルギー吸収、放出過程のことなのでしょうか? (2)共鳴吸収とは何かよくわからないのですが・・? 例えばHの核が周ってたとして、それによって周波数が生じる。←これと外部磁場からのパルス?がどうなるとNMRが観測できるのでしょうか? (3)NMRは有機化合物やMRIには利用されないのでしょうか?? まことに恐縮ながら、一つでもわかる方がいらしたら教えて頂けるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

  • 原子の光の吸収と放出

    光は原子に吸収され、原子は電子のエネルギー状態が上がります。私が知りたいのはその後の状況です。 励起エネルギーは熱やスペクトル放出に変わるらしいですが、例えば銅イオンのような物質は、どっちの様式を主体に定常状態に戻るのでしょうか? また、この原理を聞いて、もしフォトンが多すぎた場合、銅イオンなどは光を吸収し切れなくて、ただ乱反射(透過)してしまうだけの場合があると思うのですが、そういうことってありますか?

  • 励起状態→基底状態

     こんばんは。  質問です。日焼け止めクリームは紫外線を吸収する物質が含まれていて、それで、日焼け止め効果があるんですよね!?  それで、紫外線を吸収すると、含まれている物質は励起状態になりますよね。そのエネルギーはどのように放出されるのですか??光子として放出しているのですか??でも、光ってませんよね!?それは、紫外線がそれほど多くないので、放出される光子も少なく、光って見えないだけなのでしょうか??それとも、放出される光子が非可視光線なので見えないのですか??それとも、別の方法でエネルギーを放出しているのですか??  それと、電子レンジの2.45GHzのマイクロ波は水分子を振動させますよね。どうして水分子は振動するのですか??普通、電磁波をあてて、ある物質を励起状態にすると、振動するものなんですか??電磁波の持つエネルギー量によって、物質を振動させたり、光子を放出させたり、するのですか??  ご回答お願いします。