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質量保存の法則と反応熱の関係について

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回答No.7

おもしろい質問だと私は思います。ですけど、問題提起としては「普通の化学反応でも数値的に非常に小さな質量変化が起こっていて反応熱が発生している」と書かれるよりも、「化学反応で熱エネルギーが発生するときに、小さな質量変化が起こる」とされたほうが、誤解が少なかったのではと思います。それと「質量保存の法則が厳密に正しいとすると熱エネルギーは発生しない」は、化学反応に関する限り、どんなレベルであれ完全に間違っていると私も思います。理由はほかの方々の回答とほぼ同じですので繰り返しません。 さて、「化学反応で熱エネルギーが発生するときに、小さな質量変化が起こるのでは?」という考えは、それほどナンセンスなことではないと、私も思います。と申しますのは、『モルの定義』に少し変わった補則がついているからです。 モルの定義: 1. モルは、0.012 キログラムの炭素 12 の中に存在する原子の数に等しい数の要素粒子を含む系の物質量であり、単位の記号はmol である。 2. (省略)(第14回CGPM、1971) モルの定義の補則: この定義の中で、炭素 12 の原子は結合しておらず、静止しており、基底状態にあるものを基準とすることが想定されている。(CIPM、1980) この補則がつけられた経緯については、残念ながら私は知らないのですけど、おそらく質問者さまと同じような問題提起をされた方が委員会にいたのだろうと思うのです。この補則の意図するところは、「炭素 12 の質量は化学結合の有無により変化するのだから、どんな状態にあるのかを指定しなければいけない」ということではないでしょうか。 このモルの定義と、化学結合による質量欠損とを考えると、炭素 12 だけで構成されたグラファイト 1 mol は、0.012 キログラムより軽くなるはずです。軽くなるはずですので、どれくらい軽くなるかを計算してみましょう。 まず、グラファイト 1 mol をばらばらにするのに必要なエネルギー E は、炭素のモル気化熱に等しいと考えて 360 kJ とします。これと質量欠損の式 E = ΔM c^2 から、  360 kJ = ΔM (3e8 m/s)^2 = ΔM (9e16 m^2/s^2) となりますので、質量欠損 ΔM は  ΔM = (360e3 J) / (9e16 m^2/s^2) = 40e-13 kg になります。 モルの定義より、結合していない炭素 12 の 1 mol の質量 M は 12e-3 kg ですから、炭素 12 だけで構成されたグラファイト 1 mol の質量は  M -ΔM = 12e-3 kg - 40e-13 kg = 0.011999999996 kg となることがわかります。軽くなるといってもこの程度ですので、普通の化学反応では質量は保存していると考えてもまったく問題ないことが、この計算からわかります。 この質量保存則の破れを検出するために、どれくらいの精度の天秤が必要かを考えますと  ΔM/M = 40e-13 kg / 12e-3 kg = 3.3e-10 = 0.33 ppb より、0.01 ppb を持つ天秤があれば十分なことがわかります。 日本でいま最高の精度を持つ天秤は、キログラム原器を量るために開発された計量研の天秤だと思うのですけど、これの分解能が 0.1 ppb なのだそうです。この天秤でもまだ精度が足りないですけど、天秤の精度が十分なものと仮定して、どのような実験をすれば質量保存則の破れが検出できるかを考えてみるのもおもしろいかもしれませんね。 # 計算ミスで間違った結論を導いている可能性がありますので、検算していただけるとうれしいです。

参考URL:
http://www.nmij.jp/kenkyu/baseunit/substance.html,http://www.aist.go.jp/NRLM/standard/mass.html
take928
質問者

お礼

参考URLお知らせいただきありがとうございます。 詳しい質量保存則の説明はよく分かりました。とても参考になりました。 そうなのです。私が言いたかったのは『化学反応で熱エネルギーが発生するときに、小さな質量変化が起こる』なのです。

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