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窒化ケイ素の熱伝導率が低い理由
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- ceramist
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固体の熱伝導は電子熱伝導、フォノン熱伝導、フォトン熱伝導に分類できます。絶縁体で不透明な物質の熱伝導は、結晶格子の振動であるフォノンが波動として伝播して熱エネルギーを伝えるフォノン伝導によります。フォノンが散乱されると熱伝導が阻害されます。その因子として、 1.フォノン-フォノン散乱(成分原子の原子量の差が大きかったり、元素の種類が多いとフォノンの平均自由行程が小さくなる) 2.不純物や格子欠陥、粒界による散乱 があります。ダイヤモンドの熱伝導率が高いのは前者によるものです。 窒化ケイ素も窒化アルミニウムも構成元素の原子量の差は比較的小さく、共有結合性も高い結晶です。従って、フォノン-フォノン散乱の効果は小さく本質的(=純粋な単結晶)な熱伝導率は非常に高い(いずれも>300W/mK)です。 窒化アルミニウムには酸素(厳密にはアルミナ)が固溶してアルミニウム空孔、および、窒素のサイトへの酸素の置換した不純物欠陥とこれが会合してできた積層欠陥が生成します。高熱伝導率の窒化アルミニウムセラミックスは、高温での焼成により不純物の酸素を粒界にトラップして窒化アルミニウム粒子内を高純度化することにより作製されます。すなわち、低温短時間で作製された窒化アルミニウムセラミックスは一般に熱伝導率は低くなります。 一方、窒化ケイ素は焼結助剤にアルミナを用いるとシリコンのサイトにアルミニウムが酸素のサイトに置換固溶します。焼結中にこれらの不純物を除去することは難しいので、不純物によるフォノン散乱により熱伝導率は低くなります。しかし、焼結助剤にマグネシアを使ったり、窒化ケイ素マグネシウムを焼結助剤として粒成長を十分起こしてやることで、比較的高い熱伝導率(>100W/mK)の焼結体が作製できることも報告されています。
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