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相続放棄を前提にした死因贈与契約
- 相続放棄を前提にした死因贈与契約についての相談です。
- 具体的には、不動産以外の全財産を相続放棄し、死因贈与する契約についての質問です。
- 具体的な問題として、私署証書の契約で銀行預金や生命保険の名義変更は可能か、また相続放棄と死因贈与の順序についても知りたいとのことです。
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>相続放棄を前提とした死因贈与って、権利の乱用ってことはないですよね? 微妙なところだとは思いますが、少なくとも、多くの専門家を悩まし、意見の対立を生むことにはなると思います。 (^ー^) このような複雑で法律的にも微妙なやり方は私も今まで聞いたことがありませんし、何よりも、普通に相続をしてその後不要な農地を処分するやり方をするよりも、実に余計な手間と費用が掛かります。 また、これは余談ですが、私は当初、これが認められるのであれば、親の財産に多額の借金などがある人の場合、あらかじめ不動産や預貯金を子との間で死因贈与契約を結んでおき、親が死んだ時点で子は一旦相続放棄をし、その後、不動産や預貯金のみを贈与されることが可能になるのではないかと考えたりしたものです。 しかし、この場合、債権者は詐害行為取消権(民法424条)を行使することによって死因贈与契約そのものを取り消し、債権回収ができると思い至り、実務の面で迂遠となったり手間や時間がかかることにはなっても理論的には問題無いと考えました。 ただ、実際にこのようなことが行われ、債権者側が提訴した場合、裁判所がどう判断するかは微妙なところだと思います。理論的にはどうであれ、このような複雑な脱法行為に近いやり方は認めない可能性の方が高いように思います。 それはさておき、このような面倒なことをなさるよりも、 (1) 素直にsatorujapanさんが相続した上でお母様のご兄弟の方に農地を贈与なさるか (2) satorujapanさんが相続した上で農地所在地の自治体や国に農地を贈与するとか、或いは、当該農地の隣地所有者に安値で売却または贈与するとか (3) お母様も納得の上であるならば、あらかじめお母様のご兄弟に農地を遺贈する旨の遺言書を作成なさっておかれるとか このような方法を採られた方が、 複雑で訳の分からない、場合によっては認められるか認められないか微妙で綱渡り的な法律行為を何度も繰り返して余計な手間や費用を掛けるよりも、スッキリしていて、しかも皆さんからも感謝されて良いのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか? 私には、何故ここまで法的に微妙な綱渡りをし、余計な手間をいくつも掛けてまで農地の相続を嫌うのかが分からないのですが。 仮にお母様のご兄弟が農家であって、その農地の近くにお住まいで、しかも新たな農地を欲しておられるというのであれば、satorujapanさんが相続放棄したことによって棚ぼた式に相続人になって感謝するかもしれません。しかし、どう考えても単なるお荷物にしかならないとすると、かえって迷惑を掛けることになり、怒りはしても喜びはしないと思います。 老婆心ながら、お母様を含め、よくご親族の方々とも相談の上、場合によっては弁護士の先生などにも相談して、もっと皆にとって良い方法をお探しになられた方が良いような気がしてなりません。 以上、ご参考まで。
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- nobitatta
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>「不動産以外のすべての財産を死因贈与する」 この書き方で問題はありません。預貯金の名義書換は可能です。 書類に書き方の不備があったり、或いは、添付すべき書類に不備があるような場合には公証人の方が指摘して下さるでしょうからその指示に従えば良いと思われます。 公証人の認証は、意思表示者本人であることの確認と、本人の意思の確認作業が最初に行われるため、お母様と共に、実印や身分証明書を携えてお尋ねになられれば良いと思います。
お礼
大変参考になりました。詳しい説明ありがとうございました。 本当の最後の最後の質問ですが、相続放棄を前提とした死因贈与って、権利の乱用ってことはないですよね? しつこくてすみません。
- nobitatta
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>死因贈与契約(私署証書)の執行者が私に指定されていれば、(同条但書)で相続人の印鑑なしで名義変更できると考えてよろしいのでしょうか? これは、私は難しいと思います。 言うまでも無いことですが、相続人であるならば、相続を証する書類を提示することによって名義変更は簡単に出来ますが、今回の場合、相続放棄によって相続人ではなくなります。仮に相続放棄前に名義書換をしてしまうと、単純承認したものとして相続放棄は認められなくなります(民法921条1号本文)。 問題の書面が遺言書で、遺言執行者として指定されていたのであれば、執行者として就職することを承諾した時点から、執行者は相続財産管理と遺言執行に必要な一切の行為をする権利義務を有することになります(民法1012条1項)。 遺言執行者にこのような強力な力を認めているのは、遺言書自体が特別の方式をもって作成された場合にのみ有効なものとなることと、公証人を通じて作成されたか家庭裁判所の検認(民法1004条)を経ることを要するなど、公機関がその効力発生に対して必ず関与する方式をとっているからこそ認められるものであると考えられます。 死因贈与の場合、原則としてその性質に反しない限り遺贈に関する規定が準用されますが(民法554条)、今回の書面のように公機関が関与せず当事者同士のみで作成された死因贈与契約書の場合、遺言書における厳格な方式や手続などと比較して考えても、「執行者」と記載はされていても遺言書における「遺言執行者」の場合とは異なり、名義書換に関する事務手続の代行権限を有するという程度の権限しか認められないものと考えます。 この書面が、前回も述べましたように、執行証書として死因贈与契約公正証書が交わされたのであれば強制執行も可能となります。しかし、そうではなく、あくまでも当事者同士の契約に過ぎないということですから、この書面に相続人の承諾無しに強制的に契約内容を実現するまでの効力は無く、相続人が拒絶した場合には裁判所に提訴し勝訴した上で無いと、その内容の実現は無理であろうと考えます。 >執行者が指定されてても、相続人の協力(相続人の名義書換の義務)を得られた場合、執行者が単独で名義書換できるということでしょうか? 相続人の承諾書と委任状と、その死因贈与契約書とがあれば、satorujapanさん単独での名義書換は可能と考えられます。
お礼
私署証書でも相続人の協力が得られれば有効に執行され、また公正証書(執行証書)なら協力が得られなくても強制的に執行できることがわかりました。丁寧なご返答ありがとうございました。 恐縮ですが最後に1つだけ質問させて下さい。 強制執行する旨の記載してある私署証書を、公証人役場で認証してもらえば公正証書(執行証書)になると思いますが、「不動産以外のすべての財産を死因贈与する」という漠然とした記入の仕方でも財産が特定されて、名義変更の執行に差し支えないでしょうか?
- nobitatta
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まず、相続税に関して私の説明に間違いがあったことをお詫びします。 確かに、相続税法上では遺贈も死因贈与も同じ扱いになっていました。見落としていました。 また、死因贈与により相続税が課せられる場合、通常であれば相続税額が2割増しになるのですが、一親等の血族なので通常の相続税が課せられることになります(相続税法18条)。 >まず、死因贈与契約書を提示して相続放棄手続きをし、相続人が決定してから死因贈与契約を実行すればいいのですね。 順番としてはそのようになります。 >追補1:死因贈与契約の執行者を私にしてありますが、死因贈与に関しては執行者が単独で名義書換は無理なんでしょうか? satorujapanさんが執行者(本人の代理人)に指定されていた場合、これは可能と考えられます。贈与契約の相手方(お母様であり今回の場合には相続人を含む)の代理人になることは、原則は「自己契約」となって無効なのですが(民法108条本文)、今回はあらかじめお母様の許諾があることになるので有効になると考えられます(同条但書)。 >追補2:「相続放棄したことによって相続人となった人が遺贈義務者となり、名義書換の義務を負います。」ということですが、子が全員相続放棄した場合、母の親は亡くなってますので母の兄弟が相続人になると思いますが、その相続人が預貯金名義書換の義務を拒否した場合はどうなるのでしょうか? この場合、遺贈の場合と異なり、遺言の執行に関する規定(民法1004条~1022条)の適用が無いため、遺言の執行に関し、相続人らによる遺言執行の妨害行為の禁止規定(民法1013条)や遺言執行者を相続人の代理人とみなされる規定(民法1015条)の適用はありません。 そのため、通常の契約の履行がなされなかった場合と同じで、相続人は債務不履行責任を負うことになり、satorujapanさんとしては、相続人相手に損害賠償請求(民法415条)や相当の催告期間を設けた後に契約の解除(民法541条)をすることができると思われます。 仮に損害賠償請求をするとした場合、裁判所を通じて請求し、勝訴した後に執行ということになりますので、時間も費用もかかります。その間にそのお金を消費されてしまっていれば元も子も無くなってしまいます。 そこで、お母様が無くなった場合には直ちに強制執行に服する旨のお母様の陳述が記載された公正証書(執行証書)によって死因贈与契約書(贈与契約公正証書)を作成なさっておかれた方が安心・確実だと思います。公正証書は公証人役場で作成してもらうことが出来ます。
お礼
死因贈与契約でも、公正証書(執行証書)にすれば、強制執行することができるのですね。 ありがとうございました。 追補1と2のご返答の解釈で、混同しています。 死因贈与契約(私署証書)の執行者が私に指定されていれば、(同条但書)で相続人の印鑑なしで名義変更できると考えてよろしいのでしょうか?。 執行者が指定されてても、相続人の協力(相続人の名義書換の義務)を得られた場合、執行者が単独で名義書換できるということでしょうか? できましたら、ご回答宜しくお願いします。
- mambo_no5
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ANo.1に間違いがありますので指摘します。 相続税法 第一条の三 <略> 相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)<略> となっていますので、死因贈与契約による贈与税は相続税法によります。
お礼
ありがとうございます。贈与税ではなくて、相続税が適用されるんですね。 できましたら、追補1.2の質問のご回答も宜しくお願いします。
- nobitatta
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1.できます。 死因贈与の場合、遺贈に関する規定が準用されており(民法554条)、相続人の承諾書は不要で、通常は相続放棄したsatorujapanさん以外の相続人、または、satorujapanさんが相続放棄したことによって相続人となった人が遺贈義務者となり、名義書換の義務を負います。 お母様のお子さんがsatorujapanさん以外にいらっしゃる場合にはその方達、その方達が既に亡くなっておられた場合にはそのお子さん達が相続人になります。 仮に、相続人が全員相続放棄したり存在していなかったりした場合には、家庭裁判所が選任した財産管理人がその義務を負います。 2.相続放棄の申し立てを家庭裁判所にすることと、死因贈与契約とは別のものです。 先ほども述べたように、基本的にはsatorujapanさんを除いた相続人が名義書換の義務を負っており、相続人が全員放棄したり存在していなかったりした場合には、家庭裁判所の選任した財産管理人がその義務を負うことになります。 相続放棄は、全財産に対して行うものですから、死因贈与の目的物を財産目録から除外すると言うことは、相続財産の一部の隠匿とみなされる可能性があり、その場合には放棄は認められずに単純承認(つまり全財産を相続)したものとみなされることがあります(民法921条3号本文)。 疑問がおありになる場合には、家庭裁判所への相続放棄の申し立ての時に、同時に死因贈与契約書を提示すべきと考えます。 ただ、死因贈与はあくまでも相続ではなく贈与なので、税金は贈与税がかかります。 相続税の場合、5000万円+相続人の数×1000万円で、例えば相続人が2人いた場合には7000万円まで非課税です(相続税法15条~16条参照)。 しかし、贈与税の場合、110万円までが非課税で、それを超えた額については贈与税がかかります(詳しくは相続税法第21条の7参照)。 売却の手間を掛けても農地をも相続した方が得か、贈与税を払っても死因贈与による方が得か、思案のしどころではないでしょうか?
お礼
丁寧なご回答ありがとうございました。 まず、死因贈与契約書を提示して相続放棄手続きをし、相続人が決定してから死因贈与契約を実行するればいいのですね。 追補1:死因贈与契約の執行者を私にしてありますが、死因贈与に関しては執行者が単独で名義書換は無理なんでしょうか? 追補2:「相続放棄したことによって相続人となった人が遺贈義務者となり、名義書換の義務を負います。」ということですが、子が全員相続放棄した場合、母の親は亡くなってますので母の兄弟が相続人になると思いますが、その相続人が預貯金名義書換の義務を拒否した場合はどうなるのでしょうか?
お礼
今までの度重なるご返答感謝致します。 nobitattaさん ありがとうございました。