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イレッサ薬害問題について
肺がん治療薬のイレッサの副作用で600名以上の方がなくなったと新聞でみました。私の十年来の友人が肺がんでこのイレッサに望みをたくして治療を受けています。幸いがんは小さくなり、今のところは問題はないようです。 またある患者の家族はイレッサを薬害として訴訟を起こしているようですが、これはどのように考えたらよいのでしょうか? 今までの薬害エイズや肝炎といった問題とは本質が異なるのではないかと思います。現に効果がある患者もいるわけですから。それでもやはり「薬害」なのでしょうか?
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ある種の抗がん剤は、毒ガスのマスタードガスの研究から偶然腫瘍に対し抑制効果がある ことを発見したことから開発されています。 これは、抗がん剤の多くが極めて高い毒性 があることを示しています。 抗がん剤は、がん細胞だけでなくすべての細胞を破壊す る細胞毒ですので、必然的に健康な細胞も破壊します。 抗がん剤による治療の最も大きな問題は、がん細胞の遺伝子の型により、抗がん剤は実際 に投与するまで効くかどうか分からない点です。 また、副作用は、程度の差はあるもの のほぼ確実に表れ、抗がん剤が効かない患者は苦しむだけになります。 ゲフィチニブ(イレッサ)は、それまでの殺細胞的な抗がん剤と異なり、ガン増殖に関わ る特定の分子を標的とする分子標的薬として、承認前から、入院の必要のない飲み薬で、 副作用の少ない画期的な夢の新薬として大々的に宣伝されて販売されました。 しかしながら実際は、宣伝とは異なり、間質性肺炎や急性間質性肺炎(ステロイドパルス 療法が奏効しない場合、治療法のない致死的な疾患)等の急性肺障害の副作用症例が3~ 5%程度の確率で発症し、また、喫煙の習慣のある肺癌患者において重篤な副作用により 致命的になる場合も少なからずあることが判明したため使用を控える傾向にありました。 一方で、喫煙歴がない肺癌患者において高率で生存期間延長や寛解が示唆されています。 進行性肺がんを専門に治療をしている多くの医師は、慎重な投与で安全性に注意すれば進 行性非小細胞肺がんの約30%程度に有効性と臨床的改善が十分期待ができるとしています。 そのため、厚生労働省でも本剤の安全性評価について専門医の意見を取り入れて、現時点 では慎重な投与を行うことを前提として、特別な処置を必要としないと評価しています。 したがって、ゲフィチニブ(イレッサ)の使用に関しては、副作用や完治寛解の可能性に つき、患者さんに説明して同意を得た上で使用するのが重要とする意見がまとめられてい ます。(ただし、欧州では承認申請が取り下げられました。) 製薬会社は経営を維持するため、膨大な研究開発費と開発失敗の高いリスクを抱えながら、 画期的な新薬を作り続けなければなりません。 通常、新薬開発のために、遠大な時間 (10年以上)と莫大な経費(100億円以上)が費やされています。 新薬が、人体 に副作用が少なく、病気に対して画期的効能が認められると特許が切れるまで莫大な利益 を生むことになります。 そのため製薬会社は、新薬が人体に対し重篤な副作用がある場合、これを認識していなが ら、新薬認可がスムーズに運ぶように 臨床試験を担当する医師の所属する研究機関に研 究費名目で多額の寄付をするなど様々な裏工作をすることがあります。 これにより医師主導で行われる臨床試験において、判断の根拠となるデータの捏造、改竄、 盗用など科学的不正行為により、製薬会社に有利な報告をすることがあります。 >ある患者の家族はイレッサを薬害として訴訟 >を起こしているようですが、これはどのよう >に考えたらよいのでしょうか? 実際問題として、イレッサの副作用により急性肺障害が発症し、これにより公式発表で 600名以上(一説では1000名以上、全体の3~5%)の方が亡くなっています。 本件訴訟は、イレッサの輸入を承認した国(厚労省)と日本で輸入販売したアストラゼネカ の日本法人を相手どった、被害(死亡による逸失利益)の救済を求める損害賠償請求訴訟 (国家賠償訴訟)です。 争点として、 製薬会社が臨床試験により急性肺障害を発症したという副作用報告やイレッサ投与により 肺障害が悪化したという動物実験の結果などを厚労省に正確に伝えていなかったことに対 する違法性の有無。 臨床試験や承認前の個人輸入による使用により副作用症例が報告されていて、このことに よる、イレッサにより急性肺障害が発症することに関する厚労省の予見可能性の可否。 海外等の臨床試験症例で重篤な肺障害を発症した事例が報告されていたにもかかわらず、 そうした症例について検討をほとんど行わないままイレッサの承認をした厚労省の善管注 意義務違反の有無。日本(厚労省)が世界で最も早く肺がん治療薬として承認しています。 イレッサの承認、販売開始につき、間質性肺炎等の急性肺障害の危険性について厳重な警 告を行い、入院処方に限定するなど、急性肺障害の発症を抑止するためのあらゆる方途を 取るべき注意義務が国(厚労省)にあったかどうか。 以上を争点としています。 したがって、訴訟の原因に理由があると言えます。 >ではなぜイレッサという抗がん剤だけが「薬害」 >扱いされている部分があるのでしょうか?それ >が不思議でなりません。他の抗がん剤だって大 >きな副作用はありますよね? 抗がん剤の副作用は、悪心・嘔吐、脱毛、白血球減少、血小板減少、肝機能障害、腎機能 障害などが起こりますが、薬によって、副作用の種類、程度は異なります。 また、副作 用の出方に個人差があります。 それらの副作用は、総じて死に直結するものではありま せん。 これに対し、イレッサの副作用は、急性間質性肺炎(ステロイドパルス療法が奏効しない 場合、治療法のない致死的な疾患)等の極めて重篤な急性肺障害がおこり、死に直結する 致死的な疾患を併発することが問題です。 以上参考程度に。
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- buusuka002
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<なぜ訴訟になってしまう人もいればそうでない人もいるのでしょうね 主治医や病院の対応が重大な要素だと思います。状況もそれに加わるかもしれません。熱が出たのが土曜日だったりしたら、当直医の対応になったと思われますので、処置が遅くなってしまいさらに重篤な状態になっていたでしょう。 主治医は十分な説明を行い、イレッサ使用の是非をきちんと確認し、さらに当直医への申し送りも怠りないものでした。それに対して、どういった文句のつけようがあるでしょうか。 イレッサを使うにあたり、改善できるかと藁をもつかむ気分でした。使うことを決定したのは本人とわたしたち家族です。 十分な説明を理解し、承諾した結論でしたので万が一の場合でも、自分たちの選択ですから異論の余地はなかったと考えています。
お礼
ご回答ありがとうございます。患者側が納得できるまで説明していただければ確かにそう思いますね。訴訟を起された方々の手記を読んでいるとインフォームドコンセントの欠如を考えさせられました。
- buusuka002
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昨年父はイレッサを服用し2ヵ月後、間質性肺炎のため生死の淵をさまよいました。38度前後の発熱のみの訴えでしたが、イレッサを服用していたため念のために緊急の受診を主治医にお願いし、診察結果は間質性肺炎、約1ヶ月の入院で、ステロイドの大量投与の治療を受けました。 父のケースは、気づいて受診した時期、患者の体力、主治医の治療方針などが功を奏し助かったのだと思いますが、何かひとつでもバランスが崩れたら今は亡き人になっていたことでしょう。 そのときの顕著な症状は発熱、それに伴う体のだるさだけであり、抗がん剤による吐き気やその他の諸症状に比べれば、風邪を引いた程度の感じだったようです。そのため父と母は少し様子を見てから受診しようとの考えでした。この様子を見ている期間が生死の分かれ目だったのだろうと感じています。 イレッサの使用は基本的なコースの中の適切な時期に処方され、父にはあまり有効ではなかったと結論を出しました。 間質性肺炎に罹患し、タイミングがずれて、父がこの世の人でなくなっていても薬害とは思わなかったでしょう。他の抗がん剤による苦痛を目の当たりにしてしまっています。イレッサを使用するとき、奏功を期待していました。しかしその前に使用した抗がん剤にまさるものではなかったというだけです。気づきが遅れたとしても訴訟はありえないものと、現時点で感じています。 、
お礼
ご回答ありがとうございます。大変なご経験をお話いただき心に響きました。 >気づきが遅れたとしても訴訟はありえないものと、現時点で感じています。 何がちがうのでしょうね。なぜ訴訟になってしまう人もいればそうでない人もいるのでしょうね? やはり難しい問題なのですね。
- cirujano
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難しい問題です。 薬害と考える人はそうと思うでしょうし、そう思わない人は薬害でないと思うでしょう。 薬というものは必ず副作用があり、効果と副作用は裏表です。医療関係者はそれが当然と思っていますが、多くの患者はその事実を理解せずに薬を飲んでいるのが、いまの世の中です。よくよく考えると、副作用がない薬はないことはわかるのですが、自分がその副作用の対象になるとは考えていません。その副作用に当たった人にとっては薬はあくまでも毒でしかありません。 肺癌の場合、イレッサが会ったお陰で元気で暮らしている人もいると良く聞きます。 もちろん、副作用の説明が不十分であるなど、患者側がこの薬の使用に納得をしていなかったのなら別ですが、イレッサを使わなければなかったという状態であったのも確かですし、難しい問題です。 もし、このためにイレッサが発売禁止になった場合に、困るのはだれか、それは別の癌の患者です。医者や薬品会社ではありません。 最近、サリドマイドも癌患者の運動で癌に使えるようになりました。あれだけ、薬害で問題になった薬でも癌の為には使えるようになる世の中です。 患者の為になる医療がどういうものか、それは、患者自身が考えて行かねばならないと思っています。 文章長くなってすみません。ちょっと回答からずれてしまったところもあるかも。
お礼
>薬というものは必ず副作用があり、効果と副作用は裏表です。医療関係者はそれが当然と思っています 患者(今回は知人ではありますが)もそれなりに勉強しますのでこういったことは理解しているつもりです。まして抗がん剤になれば副作用は避けられませんから、しっかり受け止めるつもりではあります。 >副作用の説明が不十分であるなど、患者側がこの薬の使用に納得をしていなかったのなら別ですが、イレッサを使わなければなかったという状態であったのも確かです やはりインフォームドコンセントの問題も大きいと考えています。副作用のことは理解しているつもりで検索をかけていたら「薬害」と出てきたものですから。どのように考えたらよいのかわからなくなっていたところです。副作用と薬害とは本質がちがうと思うのです。サリドマイドもきちんと情報提供されていれば妊婦が服用することもなかったわけですから。 ではなぜイレッサという抗がん剤だけが「薬害」扱いされている部分があるのでしょうか?それが不思議でなりません。他の抗がん剤だって大きな副作用はありますよね? >患者の為になる医療がどういうものか、それは、患者自身が考えて行かねばならないと思っています。 そうですね。自己責任って言われる部分でしょうか。 >難しい問題です。 専門家でありながら率直なご意見ありがとうございます。建前だけのインフォームドコンセントに疲れていたので、専門家の方でも難しい問題であることがよくわかりほっといたしました。
姉が過去にイレッサの治験をやっていました。 600人と言う数字だけを聞くと、莫大な人数ですが、この母体数をご存知ですか? 姉が治験を行っていたときは死亡者は100人だったのですが、そのときの総患者数は10000人だったそうです。つまり、確率で言うと死亡した確率は 全体の1%だったのです。 人の命なので、たとえ1%でも、死んでいるんだ!と思われる人もいるとは思いますが、 きつい言い方ですが、このままイレッサを服用しなくてもガンで死亡してしまう(極端な話末期ガンですね)のだったら、神にすがる思いで服用するんじゃないでしょうか? つまり、結局死んでしまうのなら、治療薬は試すだけ試すんじゃないでしょうか? 1%の確率で死んでしまうと不安がるより、99%の望みがある、と思っても良いと思います。
お礼
>人の命なので、たとえ1%でも、死んでいるんだ!と思われる人もいるとは思いますが まさにそのとおりで、1%に当たれば当事者にとっては100%です。私はただこの1%を大切にしたいのです。ですから母体数からみればたった1%の600名かもしれませんが、それで片付けていいのだろうか?身近な人がこの1%にはまったらどうしようと思うのです。逆に効果があった人もいるわけです。ただ一ついえることは、国際的にこの薬は「延命効果がなかった」と結論づけていることです。 ご回答ありがとうございました。
お礼
とてもわかりやすいお話で大変よくわかりました。少し何かが見えたような気がしました。 医療者はすぐに「副作用のない薬はないのだから副作用は仕方がない」といったような言い方をする方が多く、あたかも薬のことを何も知らないように話されることがつらいですね。それなりに患者も学習するのですが、いろんな情報が氾濫していてどれが正しい情報なのか悩んでいるのでして・・・ さらに副作用の議論になれば、医療者は必ず母体数はいくらか?そのうちの600人というのはたった数%にすぎないと言われます。私自身も統計の仕事をしているので、こういった考え方も持ちえていないわけではないのですが、できる限りこの数%に入らないようにと思います。まして抗がん剤となれば副作用は致死的なものになります。まさにロシアンルーレットを打つ状態で、当事者としてはなかなか簡単に引き金を引けないのです。ですから薬害といわれたら・・・とても心配になりましたが、考え方がとてもよくわかりました。ありがとうございました。