• 締切済み

非常に強力な超伝導磁石の使い途は?

anthraceneの回答

回答No.4

有機化学をやってる人間なので少々畑違いかもしれませんが、No.1の方がNMRを挙げておられましたので、いつもNMRを使ってる人間として補足させていただこうかと思います。 一般に有機化合物と聞いて想像されるような、ベンゼン環が数個ある程度の化合物なら、1Hが300-500 MHzのラジオ波で共鳴する、9テスラ前後の超伝導磁石を用いたNMR装置で十分に分析が可能です。 実際、1H, 13C, 31P, 11B, 29Siなど、有機分子に入っている元素のうちほとんど全ての核が測定できます。 一方、タンパク質やDNA、あるいは近年さかんになってきていますが、生体膜の分析など、生体高分子の分析になると、なにしろ分子が巨大であるため、もっと強力なNMRが必要になります。 最近では理化学研究所がNMRによるタンパク質分析のために、1 GHzクラスのNMR(磁場にすると24テスラ程度)のマシンを多数揃えています。 特にたんぱく質の場合は、アミノ酸のつながりを分析するためには通常の1H, 13CのNMRでは不十分で、アミノ基の15Nを使ったNMRが必要になります。この核は非常に感度が低く、観測が困難であるため、このような強力な磁石が必要である一因となってます。

参考URL:
http://www.yokohama.riken.go.jp/jpn/facilities/nmr.html
KinakoAme
質問者

お礼

NMRへの応用の可能性を改めて考え直すきっかけとなったような気がします。ありがとうございました。

KinakoAme
質問者

補足

 補足入力が遅くなってしまいまして申し訳ありません。私も固体NMRをやっている者としてバルク超伝導磁石を超伝導コイルに変えて用いるのに興味があります。自分の質問に答える形になりますが,anthraceneさんのコメントを読んでいて思いついたことがあるので,ここに記します。  最近の冷凍機技術はすごくてコンプレッサー付きで片手に乗ってしまう大きさの冷凍機がありますから,これと高温超電導のバルク超伝導磁石を組み合わせれば,ハンディタイプのNMR装置が実現できるかもしれません。ただし強力な磁界をシールドしておかないと大変なことがおきますので,高温超伝導の磁気シールドも必要となるでしょう。化学用だと高速の回転機構も必要でしょうから,これは小さなボンベに圧縮ガスを詰めておくとして,装置全体の大きさはサムソナイトの旅行カバンくらいには収められそうですね。重さは50kgといったところでしょうか。これでanthraceneさんが言われた9 T程度のマグネットは実現できそうです。  実際には実現までに様々な問題が生じると思いますが,NMRに用いる最大の難関は磁界の均一度でしょう。高温超伝導のバルク磁石は,着磁に用いるマグネットの均一度を反映すると考えられるので,パルス強磁界などの方法ではだめで,高い均一度を持つ超伝導コイルマグネットが必要となりますね。これはすでに世の中にあるので,メーカに1台設置されていればよいということになります。もう一つの問題は,世の中でハンディタイプのNMR装置が必要かどうかですね。おそらく価格は相当安くなると思いますので,低価格で同一機能という売りがあれば充分市場に受け入れられそうです。  これまで使われている普通(?)の高分解能NMRの超伝導コイルは,メインの磁界は永久電流モードで発生させていますが,励磁するための電流リードを抜き差しする機構や液体ヘリウムを長時間保つためのクライオスタットの構造,ならびに磁界の均一度を高めるために,調整用のコイルが付属するなどの様々な周辺部品が装置を巨大化させています。高温超伝導バルク磁石を用いれば,これらがいっさい必要なくなるのですからコンパクト化するのは当然と言えますね。  プロトン周波数で1GHzは越えたのですか?知りませんでした。1GHz越えに関してもこのコンパクトNMRにはアドバンテージがあるかもしれません。というのはグルノーブルや筑波などにあるビッターマグネットでは30T以上の定常磁界が発生できるので,高温超伝導バルク磁石をビッターマグネットに持って行って着磁してしまえば,簡単に1GHz以上の磁界が手に入るからです。つまり次世代(?)のコンパクトNMR装置では30~40 Tの磁界を有することになるので,2GHz-NMRも夢ではなくなるでしょう。高温超伝導体の上部臨界磁界は100T以上と言われていますから,パルス強磁界による着磁によって5GHz-NMRすら可能となるかもしれません。しかもコンパクトで安価にです。まあこのくらいの磁界の強さになったら,さすがに持ち運びは御遠慮願いたいですが。

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