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海洋に蓄えられたエネルギーが気温の変化でへっていく
隕石衝突、大火山爆発、何でもいいのですが大気中に太陽を遮断し、地球が放出する熱を吸収してしまうような超大量のアエロゾルが放出されたとします。地球に届く太陽光線は大幅に減るけどそれは逃げられないので、地表の温度は例えばー20度ぐらいに下がるけど成層圏は温度があがったとします。海には今までのエネルギーが蓄えられているので、それが少しずつ放出されて地上の温度(-20度)と同じになるときがやってきます。それはいつ?というのを知りたい場合、潜熱と顕熱の値がわかっているとして、(50W/m-2と10w/m-2とする)何を考慮に入れればよいでしょうか。出来得る限りシンプルな算出をするとして。 Ts-T1/ΔT=0(海面とその上空の温度差がゼロになる)時を算出すればいい。と思ったのですがどうなのでしょうか。-20度は全地表面の平均として、それを現在の海面温度の平均と比べ、その差がゼロになる地点を調べる。潜熱が海から上空の大気に移動することだけを考慮に入れる。 。。。顕熱は考慮に入れなくて問題ないでしょうか。そもそも考え方があっているかどうかもよくわかりません。どなたか助けていただけるとありがたいです。
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こんにちは。今丁度水面の熱収支の仕事をしています。 この問題は潜熱と顕熱の値がわかっているだけでは計算できませんね。考えに少しおかしい点があります。 まず、熱収支(潜熱、顕熱などのバランス)から考えるためには、水面での純放射量を考える必要があります。 純放射量は水面が受ける(または放出する)純エネルギーで: 水面の純放射量=日射-日射の反射+大気から受ける長波放射-水面が大気に放出する長波放射 という式で決まります。 brenさんは日射が大きなエネルギー源だというのは理解しているようですが、長波放射を考えることが抜けています。特にbrenさんの考えるような日射が極端にさえぎられる状態では、日射の項がすごく小さくなるかわりに太陽エネルギーを吸収して暖められた大気が大きな長波放射を水面に向けて放出します。また水面は潜熱や顕熱としてだけでなく、大気に長波放射を放出するという形でエネルギーを使います。この放射エネルギーは水面温度によって決まりますが、多分潜熱や顕熱として挙げられた50W/m-2とか10w/m-2とかよりはかなり大きな値になるので無視できません。 水面が大気に放出する長波放射 さて、純放射量(W/m-2)が決まると次に水面における熱収支計算をします。水面における熱収支計算は純放射エネルギーの水面での再配分だと思えばいいです。 純放射量=潜熱+顕熱+水中熱伝道量 ここで潜熱は水の蒸発に使われるエネルギー、顕熱は空気に直接伝達して空気を暖めるエネルギー、水中熱伝導量は陸地における地中熱伝導量にあたるもので、水中の水温を温めるために使われるエネルギーです。 この式を書き直すと、 水中熱伝道量=純放射量-潜熱-顕熱 になります。普通の状態では水中熱伝導量は昼にプラス(=水温が上がる)、夜にマイナス(=水温が下がる)になっていて、水域では著熱量が多いので時間差などもあるけれど年間平均はゼロになります。 でもbrenさんの考える状況では年間平均がおそらくマイナスになるので、水温がどんどん下がっていきます。 前述のように熱は直接伝達する以外にも長波放射としても伝達するので、水温が気温と平行になるわけではないんですが、最終的に-20℃まで下がるとすると、それにかかる時間は: Σ(水中熱伝導量)=(現在の蓄熱量)-(水温が-20℃における蓄熱量) ここで蓄熱量をJ(ジュール)で計算するとΣ(水中熱伝導量)がJで求まります。蓄熱量は別に温度と比熱から計算で求めて与える必要があります。 だから水温が-20℃になるまでの時間は: 時間(秒)=Σ(水中熱伝導量)÷水中熱伝導量 ここでΣ(水中熱伝導量)はJ、水中熱伝導量はW/m2です。 ここでは秒で求めましたが、多分膨大な数になるので、最終的には時間の単位を日に変換して計算完了です。
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- ruehas
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こんにちは。 地上の気温と海洋の水温が同じになるということは、これって、大気と海水が「熱平衡状態」になるっていうことですよね。 成層圏からの輻射も陸地の放射・吸収もない、海水と大気、このふたつ以外にエネルギーのやり取りが全くないという条件であるのならば、「熱量保存則」でなんとかなるんですが、それではダメでしょうか? 全く自信ないのですが、少なくとも、この方法であるならば、大気と海水の初期温度から、温度差ゼロの条件を導き出すことができます。 海水の熱が大気に移りますと、それによって大気の温度が上がりますよね。ですから、まず求めるべきは、海水と大気が熱平衡状態に至ったときの「平衡温度」です。 これは、温度差のあるふたつの物体にやり取りされる熱量によって導き出されるものですから、そのためには、どうしても地球にある大気と海水の総質量なんてものが必要になってしまいます。ですけど、この「平衡温度」が、質問者さんの仰る、大気と海水の温度差がゼロになるための条件であることは間違いないと思うんです。 空気と海水の総量が分かったならば、熱量の変化は下記の式で得られます。 海水が放出する熱量[J]:ΔQ1=m1・c1(t1-t) 大気の受け取る熱量[J]:ΔQ2=m2・c1(t-t2) m1:海水の質量[g] m2:大気の質量[g] c1:海水の比熱[J/g・K] c2:大気の比熱[J/g・K] t1:海水の初期温度[K] t2:大気の初期温度[K] t:平衡温度[K] 海水が放出する熱量ΔQ1と、大気が受け取る熱量ΔQ2の値は同じですから、 ΔQ1=ΔQ2 m1・c1(t1-t)=m2・c2(t-t2) となり、この式から、大気と海水の温度差がゼロになったときの温度、平衡温度:t[K]が求まります。 平衡温度:t=(m1・c1・t1+m2・c2・t2)/(m1・c1+m2・c2) 次ぎに、上記の式、どちらでも良いのですが、 ΔQ1=m1・c1(t1-t) の方に、得られた「t」の値を用いれば、熱平衡状態に至ったとき、海水から大気に移動した熱量:ΔQ1[J]が算出できます。 >-20度は全地表面の平均として、それを現在の海面温度の平均と比べ、その差がゼロになる地点を調べる。 >潜熱が海から上空の大気に移動することだけを考慮に入れる。 という条件であるならば、潜熱と顕熱の単位面積当りの値が分かっているのであれば、地球海洋の総面積を掛けた値でΔQ1を割ってやれば、計算上は時間が出て来ると思うのですが。 ですけどね、これだけのことに大気や海水で行なわれる熱対流や放射を全く考慮に入れないというのはやはり無理があるんじゃないでしょうか。その当りは、質問者さんがどのように考えておられるかは私には分からないのですが、これでは、何百年くらいでそのような状態に至るのかといった予測すら立てられないような気がします。まして、海洋表面が凍り始めたらお手上げですよね。 とはいえ、それを考えただけで、その先は地球システム級のエネルギー循環モデルということになってしまいますから、そうなれば、スーパー・コンピューターを用いたシミュレーションでもきちんとした答えなんか出せやしないんですが。 なんか、無責任な回答になってしまいましたが、他に専門家の回答を得られることを期待しまして、参考程度ということでお願いします。
補足
どうもありがとうございました。ご指摘のとおり、とても乱暴な計算なので、これで近似値がでるとかは期待できないのですが、これだけの情報で、どのくらいのことができるかというのが問題の趣旨でした。もちろん全てのエネルギー循環を考え始めたら、とても素人の手計算では収まりませんよね。ところで、いつもごっちゃになるのですが、水から空気にエネルギーが放出されるときに(または逆でも)、顕熱ってどうなるのでしょう。私の中のイメージでは、固体や地面など水分の(少)ないところで反射して放射されるのが顕熱、水を媒介としてその状態変化で受け渡されるエネルギーが潜熱。なので、海を考えた場合、海上に顕熱があり、その空気が海より冷たかったら、顕熱はそのままもっと上空へあがっていってしまう。だから海と上空の間の熱交換には関係しない。と思ったのですが、これって間違っている気がします。顕熱もこの式のエネルギーに加算していいってことですよね?またまた長くなってしまいすみません。
お礼
丁寧な説明ありがとうございました。長波放射は考えていませんでした。それは、熱フラックスという形ではないのですね?でもエネルギー換算できるのですね?そこのところ詳しく調べてみようと思います。大変参考になりました。