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活性化エネルギーと温度、圧力
活性化エネルギーについてお伺い致します。反応速度そのものについては、温度や圧力に影響されますが、活性化エネルギー自身は、温度や圧力に影響されないのでしょうか?
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活性化エネルギーが温度や圧力に左右されるかということですが、結論から言うとされません。温度が上がるということは物質のエネルギーが高くなるということで、活性化エネルギーを超えられる物質が多くなり、反応が速くなります。しかし活性化エネルギー自体は変わりません。(触媒の有無によっては変化しますが) 化学反応は分子や原子が突然組み変わるわけではありません。分子同士が衝突するなどしたときに原子と結合したり、離れたりします。その組み変わる瞬間(遷移状態)というのは構造的に不安定なわけです。その不安定な状態までもっていくのに必要なエネルギーが活性化エネルギーです。触媒があると別の比較的安定な遷移状態をとれるので活性化エネルギーが小さくなります。(活性化エネルギーを高くする触媒もあります。) 以上の話から、活性化エネルギーは反応前の状態から遷移状態になるとどれだけ不安定になるか、と言い換えられるので、外部の因子には関係がないということがわかると思います。
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- c80s3xxx
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結論から言うと,影響される. そもそもアレニウス式は狭い温度範囲でないと成立しない実験式であるということを認識する必要がある. それは頻度因子と活性化エネルギーを温度非依存の定数とするからなのだが,逆に言うとアレニウス式の不完全性は活性化エネルギーと頻度因子の少なくともどちらかを温度依存とすれば解消するともいえる.要は,活性化エネルギーや頻度因子を温度などに依存しないとするのは,多くの場合は近似的にそう見える,というだけのことであることを認識するべきだ. 活性化エネルギーに物理的なイメージを与えるのは,雰囲気としては悪くないのだが,現実には活性化エネルギーの意味は,速度定数の対数と温度の逆数をプロットした時の,傾きを表すパラメータ以上でも以下でもない.なぜならばアレニウスの式自体が精度の低い実験式だからだ. アイリングは量子論と統計力学を使って反応速度を理論的に記述する「絶対反応速度論」の創始者だが,統計力学的な扱いのなかで exp(E/kT) という項が導入され,これがアレニウス式の指数関数的挙動の根源だ.しかし,同時に頻度因子に当たる部分も温度の関数になることも導入されてしまう.ただし,これは温度に比例とか温度の平方根に比例とかの形になるので,指数関数の因子に比べれば温度依存性は極めて小さいといえる.現実的に測定されるような温度変化の範囲では,ここを定数として温度変化の影響はすべて指数関数因子に押し付けても,十分にもっともらしく式に乗るように見える.測定値には誤差があるから. 溶液反応は溶媒が液体である範囲でしか実験ができないので,室温近辺で液体であるような溶媒を使う限りどう頑張っても100 K 程度しか温度を変えることができない.300 K に対して±10%強が限度だ.しかし,指数関数因子のほうはこの範囲でも100倍とか1000倍とか変化するので,速度の温度依存はほとんど指数関数因子に押し付けてしまえる. 固相反応や気相反応ではもっと大きく温度を変えられるので,はっきりとアレニウスプロットが曲がる.これを頻度因子の温度依存性とみるか,活性化エネルギーの温度依存性とみるかは,考え方の問題だ.なぜならアレニウス式自体が実験式だからだ (そして初めに戻る). 圧力に関しても,反応物間の相互作用への影響はあるので (気相反応ならなぜ理想気体の状態方程式が近似式に過ぎないのかというのと同根),その影響はある.それをどこに押し付けるかは考え方の (以下同様)
お礼
大変、詳細なご説明をありがとうございました。私の力では、正直、文字を追うだけで精一杯でしたが…… 参考にさせていただきます。
お礼
結果的に、圧力や温度などの外部因子には影響されないのが活性化エネルギーというわけですか。なるほど。大変、参考になりました。ありがとうございました。