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倒立V型エンジンのメリットについて
- 倒立V型エンジンの長所は、機首上部の幅が細くなることにより前方下方視界が向上し、機首上部に機銃を装備するスペースが広く取れることです。
- また、プロペラ軸線が下がることにより、プロペラ軸内機銃を装備したときの機体設計に及ぼす影響が少ないです。
- 一方、倒立V型エンジンの短所としては、プロペラ軸線が下がることにより、主脚が長くなり、重量増加と離陸・着陸時の前方視界が悪化することが挙げられます。
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そのWikipediaのページの上から2枚目の画像を良く見て下さい。 >プロペラ軸はエンジンの出力軸と同軸ではなくて、ギアトレインを介入させ る事で、プロペラ軸がエンジンのクランク軸より下の、左右のシリンダーバンクの間を通る様になっています。 >上下いかようにも配置可能なものでありまして と御考えになっておられる様ですが、プロペラ軸の位置を左右どちらかにずらしてシリンダーの更に外側に配置するのは論外だとして、倒立V型エンジンでエンジンの上部の更に上の方にプロペラ軸を配したのでは、機首部分が高く盛り上がった形状となってしまい、前方視界が悪化しますし、機首部分の横断面の面積が大きくなる分、空気抵抗も増えてしまいます。 同様に、倒立ではない通常のV型エンジンに対して、エンジンの下部の更に下の方にプロペラ軸を配したのでは、機首部分の下部が大きく垂れ下がった形状となり、機首部分の横断面の面積が大きくなる分、空気抵抗も増えてしまいますしまいますし、プロペラの位置に関しましても >プロペラ軸線が下がることにより、主脚が長くなる。これにより重量増加と、離陸・着陸時の前方視界が悪化する。 という短所が、倒立V型エンジンとは比べものにならないほど酷くなります。 そのため、倒立であろうと正立であろうとV型エンジンである限り、もしクランク軸とプロペラ軸を同軸にしない場合には、何れにせよプロペラ軸は左右のシリンダーバンクの間を通す様にするしか無い訳です。 尚、クランク軸とプロペラ軸を同軸にした場合には、エンジンの更に上や更に下にプロペラ軸を通した場合ほどではないにせよ、倒立V型の場合にはプロペラ軸の位置が高くなり過ぎて、機首上部に機銃を装備するスペースが圧迫されますし、倒立ではない通常のV型エンジンの場合にはプロペラ軸の位置が低くなり過ぎて、 >プロペラ軸線が下がることにより、主脚が長くなる。これにより重量増加と、離陸・着陸時の前方視界が悪化する。 という短所が、クランク軸とプロペラ軸が同軸ではない倒立V型エンジンとは比べても酷くなります。 それと「プロペラ軸内機銃」に関して言いますと、これを装備するためには、当然の事ながらプロペラ軸と同軸で、プロペラよりも後ろの所に機銃の銃身を通さなければなりません。 もしプロペラ軸がクランク軸と同軸である場合、プロペラ軸内機銃の銃身もクランク軸の中を通さねばならないという事になりますが、レプシロエンジンのクランク部分には、ピストンの往復動を回転運動に変換するためにクランク機構が使われており、クランク機構はピストンが下死点の位置に来るたびにピストンロッドがクランクの回転中心軸を横切る構造になっていますから、その中心部に直線状の形状をした銃身を通す事は出来ません。 ですから、「プロペラ軸内機銃」を装備する事が可能なのは、クランク軸とプロペラ軸が同軸ではない場合だけであり、実質的にギアを介してプロペラ軸とクランク軸を分離したV型エンジン(倒立でも正立でも可)くらいしか選択肢は無いのです。 【参考URL】 倒立V型エンジン - Wikipedia > 同エンジンのカットモデル https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6c/Daimler_DB_605_cutaway.jpg/250px-Daimler_DB_605_cutaway.jpg モーターカノン - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%83%B3 クランクシャフト - Wikipedia > クランクシャフト(赤色) ピストンの往復運動を回転力に変える。 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/ac/Cshaft.gif/300px-Cshaft.gif
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- 918thBG
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詳しい者ではありませんが、マニアとしての意見を投稿させていただきますので参考程度にお読みいただきたいと思います。 Bf-109もJu-87も、英米の軍用機と違って最初から「野戦」を想定して開発されていると認識しております。電撃戦の主役は機甲師団であり、空軍は機甲師団の進撃に追随して制空権を維持するのが当初からの運用方針でした。従って、きれいに舗装された滑走路や雨露をしのぐ格納庫を備えた基地からの運用ではなくて、荒れ地や原野を転戦するような運用が想定されていたと考えます。 本格的に戦争になれば、オクタン価の高い燃料の安定供給など期待できないと事前に割り切って、あえてオクタン価の低い燃料での運用を設計段階から想定するなど、実に合理的な開発思想を貫いているところがドイツ人らしいと思います。 ご質問文中でも触れられておりますが、記録的な生産機数も、戦時体制での大量生産を考慮して生産性優先の設計となっていたからだと思われます。 この「軍事的実用性」を最優先する設計ポリシーは、当然のことながら前線での日常の点検・整備にも十分な配慮をしていたに違いないと私には思えます。すなわち、整備員が機首のカバーを外して点検・整備する時に、正立V型では何か踏み台がなければ高さの関係でやりにくいと思いますが、倒立V型では地上から直に手が届くというイメージがあります。 もちろん、上下逆になっているメカを扱わなくてはならないという面はあるでしょうが、野戦で設備がなくても迅速にメンテナンスができるという合理性が基本にあるのではないでしょうか。 さて、「プロペラ軸線が下がる」という言葉の問題ですが、質問者さんも書いていらっしゃるとおり、減速ギヤの設計で上下の位置は融通が利くと私も思います。 第一義的には、機体全体の空力特性優先で位置を決めるものでしょう。しかし、そうはいってもクランク軸とプロペラ軸を一致させるような設計はスペースの取り合いに関して無駄が生ずると思います。 クランク軸から最小限のギアを介して動力を伝達すると、プロペラ軸はクランク軸から若干ずれた位置になるのが自然かと思います。そうすると、倒立Vではクランク軸が機首の最上部に位置しますから、それ以上上に持って行きようがありませんね。必然的にクランク軸より少しだけ下に持ってくることとなると考えます。
お礼
ありがとうございました。
- kagakusuki
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>ユンカース Ju87などは、自社のJumo201型、倒立V12気筒エンジンを搭載しながらもプロペラシャフトはクランク同軸のように見えます。 Ju87のエンジンはJumo201ではなく、Jumo210系列かJumo211系列のどらかではないでしょうか? それでJumo210とJumo211Fの外観画像を確認してみましたが、プロペラ軸はどう見てもエンジンの最上部にあるクランクケースよりも大分下の位置で、回答No.2に貼った 倒立V型エンジン - Wikipedia > 同エンジンのカットモデル の画像に写っているエンジンのプロペラ軸と同じ様な位置に配置されている様にしか見えないのですが、どの辺りがクランク軸と同軸の様に見えるのでしょうか? 【参考URL】 Ju 87 (航空機) - Wikipedia > 3 主な派生型 https://ja.wikipedia.org/wiki/Ju_87_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)#.E4.B8.BB.E3.81.AA.E6.B4.BE.E7.94.9F.E5.9E.8B ユンカース ユモ 210 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%B9_%E3%83%A6%E3%83%A2_210 ユンカース ユモ 211 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%B9_%E3%83%A6%E3%83%A2_211
お礼
ありがとうございました。
補足
第一に、正立V12型のP51の外形とJu 87の外形は似ているよう見えます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/P-51_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)#/media/File:375th_Fighter_Squadron_North_American_P-51D-5-NA_Mustang_44-13926.jpg https://ja.wikipedia.org/wiki/Ju_87_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)#/media/File:Bundesarchiv_Bild_101I-329-2984-05A,_Russland,_Junkers_Ju_87.jpg つまり、Ju 87のプロペラ軸線が特に下方にあるようには見えません。 第二に、同じくJu 87の固定脚の長さがBf109に比べて短い(=Bf109程は長くない)ようにも見えます。 気のせいかも知れません。
- ts0472
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詳しくない者ですが 写真(下側)のエンジンに沿った内容だと思います クランク軸からギヤを使ってプロペラ軸が付けられています 左側のギヤ2個 上のギヤがクランク軸 下のギヤがプロペラ軸 ギヤトレインと判断して良いと思います プロペラ回転数と機銃発射タイミングを同じにしないといけないので難しいミッションのようなものは無いと思います 今では一般的なカウンターシャフトは付けられない クランク軸にプロペラが付けられていないので プロペラ軸で正しいと思います 短くても軸には変わりない エンジンの回転方向と逆にプロペラを回す事で カウンタートルクを減らす事ができると思います エンジンの回転方向に機体が回転する力を減らす事ができる 機銃の設置場所を確保するために選ばれた設置方法のように感じます 車でもシリンダーヘッド周辺よりオイルパン周辺の方がスッキリしていますから 良いものなら車にも使われていたでしょう
お礼
ありがとうございました。 大変参考になりました。
お礼
科学スキーさん、毎度ありがとうございます。 倒立V型、正立V型、ともにプロペラ軸をVバンク内配置とした場合で、比較して、倒立V型が「プロペラ軸線が下がる」と言っているわけですね。 よく理解できました。 メッサーシュミットの設計者がモーターカノンの実装を意図して、このような構造を採用したのは理解できますが、実際は、機関砲側の問題も多く、モーターカノンが実装されえたのは後期のF型からで、E型までの多くのメッサーシュミットでは、主翼に小径機関砲を実装して、命中精度はよくなかった。 さて、一旦、モーターカノンが実装できないという状態を受け入れた場合、倒立V型であっても、プロペラとクランク軸を同軸に配置することで、「プロペラ軸線が下がる」という短所を回避する設計はどう思いますか? 同世代のフォッケウルフなど星型エンジンの戦闘機は、プロペラ軸はクランク軸と同軸でしたので、離着陸時の重心高という欠点はありません。 モーターカノン実装に至る以前のメッサーシュミットで、プロペラ軸とクランク軸を同軸配置にしておれば、初心者による着陸失敗も避けられ、機体の損傷も回避できたのではないかと思うのでが、科学スキーさんはどうお考えでしょうか。 もし、お時間あれば、お考えをご教示いただければ嬉しいです。
補足
すみません。 ご回答を再読したら、倒立V型でプロペラ同軸の場合の問題をすでにご指摘いただいておりました。 ご案内かも知れませんが、急降下爆撃で正確なターゲットボミングを実施した、ユンカース Ju87などは、自社のJumo201型、倒立V12気筒エンジンを搭載しながらもプロペラシャフトはクランク同軸のように見えます。 (外見写真からだけの想像ではありますが、、、)