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未遂犯を設定している意義

jg5dzxの回答

  • jg5dzx
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回答No.1

はじめまして。 自分の復習の意味で、日本の刑法における未遂犯に限定して、思い出せることを書いてみます。 間違いなどあるかもしれませんので、詳細はお調べください。 日本の刑法において、処罰の対象となるのは原則として「すでに発生した結果に対する責任」を問うもの(既遂犯)です。(※故意犯と過失犯、罪刑法定主義を参照) 但し、一定の罪種については、たとえその結果が行為者の予想通りに発生しなかったとしても、そのまま看過することが公共の秩序維持の観点から好ましくない場合に、明文で「過失犯も処罰する」とあらかじめ規定されているのです。 例として、殺人罪を挙げます。 刑法第199条により、人を殺した者は、殺人罪を問われます。 殺人罪の構成要件は、人を殺す意思を持って、実行行為に着手し、人の死亡という結果が発生すれば足ります。(※正当業務行為を除く、刑法第35条) 構成要件を満たせば既遂となりますが、人の死亡という結果が発生しなかった場合、殺人罪を問うことはできません。 警察官Aの面前で、犯人Bが殺意を持って被害者Cに向け、実弾が装填された拳銃のひきがねを引いたが、弾丸が当たらなかったためにCが死亡しなかった場合、(銃刀法など他罪は別論として)警察官AはBを殺人罪で捕まえることができないのです。 未遂罪を設定することによって、着手行為があれば人の死亡という結果の発生を待たずに殺人未遂罪(刑法第203条)が成立することとしているのは、侵害される法益が重大であるため、結果の発生をまたずとも違法とすることにより、法益の確実な保護を図る意図があるのです。(同じ意図で、殺人罪については殺人予備罪(刑法第201条)も規定されています。こちらは着手前の準備段階でも違法とするものです。) これがご質問の、「未遂犯を設定している意義」に当たると思われます。 日本の刑法においては、未遂を処罰するかどうかはあらかじめ罪種ごと個別に指定されています。 障害未遂、中止未遂なども併せてお調べになったらよろしいかと思います。

mezoriso81
質問者

お礼

詳しくありがとうございます。 難しいですけど、なんとなくわかります。 解説ありがとうございます。

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