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ニッケル(II)錯体の形について
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ニッケルもそうなのですが、低周期の遷移金属は同族の高周期元素とは性質がかなり異なります。 今回のご質問にあるとおり、パラジウムや白金ではテトラへドラル構造はレアですが、ニッケルではよく見られる構造です。 ここで重要になってくるのは、結晶場理論や配位子場理論ではふつう議論に入ってこない、配位子間の立体反発効果です。というのは、ニッケルイオンは小さく配位子との結合が短いので、配位子どうしがぶつかるのを避けなければならないのです。 VSEPRモデルの説明で、平面四配位とテトラへドラルでは後者の方が配位子間反発を避けられるというのを習っていると思います。対称性を考えれば自明ですが。 したがって、原理的にはテトラへドラルをメインにとるべき、と考えてもよいでしょう。 いっぽう、結晶場理論・配位子場理論では、d8のニッケル(II)イオンなら平面四配位の方が電子的な安定化が得られるだろう、と予測されます。 ここで、前述の立体反発と電子的効果のバランスを考えることになります。 d軌道分裂が小さく配位子場が弱い場合は、立体反発を乗り越えてでも平面四配位になるMotivationが低いため、テトラへドラルをとります。 いっぽう、シアン化物イオンのように配位子場が強い(もっと正確には、強力なシグマ供与性かパイ受容性を持つリガンド)場合、配位子場分裂が十分に大きくなるため、立体反発の分で不利になっても、平面四配位をとることでトータルでは安定化されますので、平面四配位をとることになります。
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お礼
回答ありがとうございます。 非常に細かい回答、ありがとうございます。 VSEPRのも勉強ももう一度してみようと思います。