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平家物語「ものその者」⁈
平家物語「敦盛の最期」の中に、『ものその者で候ねども』 という節があります。 ここで質問です。 この 一節の中の「ものその者」の正しい表記は 「者その者」 「物その者」 「ものその者」 どれでしょうか?? この3つのように紹介されていることが多いんです(> ‸ <)
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漢字では「物」と書いたり「者」と書いたりしますが、日本語の「もの」という概念はそのどちらにも共通する概念だからどちらの字もあてられているわけです。つまり人格であっても物体であっても一個の存在として認められるほどのものを「もの」と言うわけです。 ですのでどちらでもありますし、「者そのもの」「物そのもの」「ものそのもの」という書きかたもあるようです。 広辞苑では【物】として 〈1.形のある物体をはじめとして、存在の感知できる対象。また、—略—。〉 とあるので現代文では「物」をあてるという考え方のようですね。 大辞泉は もの【者】 の項目に 《「物」と同語源》 とありますが、やはり【物】として 1.空間のある部分を占め、人間の感覚でとらえることのできる形をもつ対象 2.人間が考えることのできる形のない対象 3.妖怪・怨霊など、不可思議な霊力をもつ存在。 4以下略 としています。やはり現代文では「物」をあてるという考え方のようです。 結論としては古文でもありどれとは決められないように思います。 大事なのは「物」と書いてあったり「者」と書いてあったりしても「ああこれは『もの』だな」と考えて上の辞典のような意味であるとか「もののかずにも入らない」「名乗るほどのたいした者じゃない」などを見当つけることではないでしょうか。 また現代文であってもわざと仮名にしておくという書きかたもあると思います。「物」では物質とか物体に結びつけやすくなるのを避けるためなど。
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- ithi
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norichika17 さん、こんばんは。 確か平家物語というのは原作者というのがしっかり明記されているわけではなく、平曲や語り本、読み本という形式があるそうですから、大体内容が同じでも、詳細な表現が若干異なるということはままあると思います。だから、そんなにこだわることはなくここでは「身分の高い平家の公達である敦盛に対して身分ではとても劣るが熊谷次郎直実というものである」と名乗りを上げ、身分の低い直実に敦盛は名乗ることができなかったという風に素直に考えるのがよいと思います。 そいうことは専門の研究者に質問することです。 詳細は下記のURLを参照ください。 平家物語 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%AE%B6%E7%89%A9%E8%AA%9E#.E8.AA.AD.E3.81.BF.E6.9C.AC.E7.B3.BB
- Pinhole-09
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「ものそのもの」の始めの「もの」は位が高く、 後の「もの」は位が低いので、 始めは人物の物、後は曲者の者のような感じで、 「物その者」に一票を入れたいです。
- kamobedanjoh
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「者」は人を表す場合の一般代名詞。 従者を供の者、戦闘要員は武者、愚者は愚か者、富者は富める者というように、人に対して広く用いられます。 「物」は全ての存在に対する一般代名詞。 生物は命ある物、動物とか事物とか人物とか万物に対して用いられます。 古語での「もの」には、特別な意味が含まれる場合があります。 「もの」は戦や戦闘行為、それに伴う武具や備えの意味で用いられていました。 「物部氏」は古代朝廷に仕えた戦闘集団でした。「もののふ」と言えば武人・武士。「もののぐ」は武具そのもの。 現代でも『腕力にもの云わせる』等の用法が残っています。 奈良盆地山辺の道沿いの「物部神社」は、元は古代の武器庫でした。 『平家物語』は琵琶法師の語りの台本として、鎌倉期以降に集大成されていますから、書き残された時代にどの意味で「もの」を用いたかは、叙述全体から判断すべきでしょう。 結論としては「ものその者」の表記で正しいと考えます。
- kine-ore
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琵琶の音曲にのせた口伝を文字に記した、いわゆる口誦文学であるだけに、その異本は80にも及ぶとされています。 参考:山下 宏明「口誦と文字テクスト」 file:///C:/Users/toshio/Downloads/article.pdf 系統1. 「物その数にては候はねど 頭註(物の数にも足らぬ怪しき者なれど)」 引用: 山内二郎「高等国文講義」金刺芳流堂(明42.11) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/868019/295?viewMode= 「物(もの)其(そ)の数にては候はね共(ども)」 与謝野寛 等編「日本古典全集. 平家物語 下」日本古典全集刊行会(大正15) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1021092/72?viewMode= 系統2. 「物其(その)者では候はねども」 山田孝雄 校訂「平家物語. 下巻」岩波書店(昭和20-21) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1129639/111?viewMode= ご質問については、「物その者」という記し方に当たります。 ともかく、どちらのテクストであっても、「名乗るほどの者ではありませんが──卑下していつた言葉で、物その数とは物ぞという人数に数へられるほどの者の意。」で意味合いにおいて大差はありません。 東京開成館編輯所 編「近世近古文読本教授資料. 巻3」(昭和4) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1457240/41?viewMode=