• 締切済み

量子化学の共鳴積分について

今,2原子分子の結合について考えています. 原子AとBが結合することを考えて,1電子がAにのみ存在する状態をφA,Bにのみ存在する状態をφBとします.このとき,以下のような共鳴積分βの関係式が出てきました.   β = ∫φA* H φB dV = ∫φB* H φA dV ここで,Hはハミルトニアン演算子です. 後半の等式   ∫φA* H φB dV = ∫φB* H φA dV  (1) がなぜ成り立つのかが分かりません.式(1)の左辺を内積で表して   (φA, H φB) = (H φA, φB) = (φB, H φA)* と変形しました.ここではHのエルミート性を用いています.しかしこれは,式(1)の右辺の複素共役になってしまいます. 共鳴積分が実数であるなら,式(1)は成り立つと思いますが,共鳴積分が実数である理由がわかりません. 共鳴積分が実数である理由,上の式変形の誤り,もしくは他の考え方をご回答いただけると幸いです.

みんなの回答

  • siegmund
  • ベストアンサー率64% (701/1090)
回答No.3

大学で物理の研究と教育をやっています siegmund です. 分子軌道法周辺は専門ではありませんのでそのつもりでお読みください.   ∫φ_A* H φ_B dV = ∫φ_B* H φ_A dV  (1) はおっしゃるように一般には成り立ちません. > 共鳴積分が実数であるなら,式(1)は成り立つと思いますが,共鳴積分が実数である理由がわかりません. そのとおりで,実数とは限りません. 波動関数は位相(つまり e^(iθ) 倍)はどうでもよいので, もし ∫φ_A* H φ_B dV が実数としても, 例えばφ_A を iφ_A に変えれば実数でなく純虚数になってしまいます. 重なり積分ではなく ∫φ_A* H φ_A dV (両方とも φ_A) なら任意の位相因子は消えてしまいますので, こういう問題は起きません. つまり,H を φ_A と φ_B を基底に取って2行2列の行列で表示したときに, ∫φ_A* H φ_A dV の類は対角成分,∫φ_A* H φ_B dV の類は非対角成分になっていますが, 対角成分はきちんと決まるのに対し,非対角成分は位相因子が不定なのです. β = ∫φ_A* H φ_B dV = ∫φ_B* H φ_A dV と書かれていたのであれば, その積分が実数になるようにφ_A と φ_B の位相関係を決めているのだと思われます. 分子軌道法ではしばしば暗黙の内にこういう選択がなされています. また,∫φ_A* H φ_B dV を実数になるように選んだとしても符号の自由度がありますから (+と-),その選び方によりこの積分は正にも負にもできます. したがって,分子軌道法でこういう積分の正負だけ見ていろいろなことを判定してはいけません. ちょっとネット検索してみましたら, http://www.rsi.co.jp/kagaku/cs/pio/pio_files/kaisetsu.pdf に軌道の符号の選び方の注意が載っていました. oze4hN6x さんのご回答で, (φA+iφB, H(φA+iφB)) = λa+λb+i{(φA, H φB)-(φB, H φA)} が実数であることから i の係数(つまり { } 内)がゼロとなっていますが, { } 内は純虚数でもよいです. これは H のエルミート条件に他なりません.

marimmo-
質問者

お礼

ありがとうございます. 返事が遅れてしまい申し訳ありません. 「暗黙の了解」で話が進んでいると,初心者には厳しいですね. ご回答のように扱うことができる,ということを頭に入れて勉強していこうと思います. これらもよろしくお願いします.

  • oze4hN6x
  • ベストアンサー率65% (26/40)
回答No.2

No. 1です。すみません、見当違いのことを書いてしまいました。 正しくは以下です。 まずは、エルミート演算子 H について (φA, H φA) = λa (φA, H φB) = λb としたときのλa, λbが実数であることを示します。 (φA, H φA) = (H φA, φA) = (φA, H φA)* ですから、λa = (λa)* つまり、λaは実数です。(同様にして λb も実数です) さて、これが任意のφA, φB について成り立つことを踏まえると、 (φA+iφB, H(φA+iφB)) = λa+λb+i{(φA, H φB)-(φB, H φA)} の右辺もまた実数であることになります。したがって、 (φA, H φB) = (φB, H φA) となります。

  • oze4hN6x
  • ベストアンサー率65% (26/40)
回答No.1

複素関数の内積の定義の問題ですね。一般に複素関数f, gの内積(f,g)は (f,g)=∫f* g dV です。つまり、 ∫φA* H φB dV = (φA, H φB) ∫φB* H φA dV = (H φA, φB) ということですから、後はおわかりでしょう。

marimmo-
質問者

補足

ご回答ありがとうございます. > ∫φB* H φA dV = (H φA, φB) この式なのですが,H φAとφBの順序がなぜこのようになるかが分かりません > (f,g)=∫f* g dV にあてはめてみるなら,   f = φB   g = H φA なので,   ∫φB* H φA dV = (φB, H φA) ≠ (H φA, φB) となるのではないでしょうか?

関連するQ&A

  • 窒素原子からの共鳴安定化・H+との結合性・混成軌道

    1.化合物とH+との結合体(共役酸)では、Aの窒素原子がH+と結合して、Bの窒素原子からの共鳴安定化を受けることになる。 2.AとBの窒素原子では、Aの窒素原子の方がH+との結合性が強い。 3.Aの窒素原子の非共有電子対は、sp2混成軌道に収容される。 4.化合物はピリジンよりも塩基性が小さい。 画像の化合物の上記1~4の選択肢のうち、正しい物をすべて選んでください。 間違っている記述は訂正を、正しい記述はなぜそうなるのかという理由を簡単で構いませんので合わせてよろしくお願いいたします。

  • 窒素原子や化合物のH+との結合性の正誤問題

    1、画像のAとBの窒素原子では、Bの窒素原子の方が、H+との結合性が強い。 2、画像の左の化合物とH+との結合体(共役酸)では、Bの窒素原子がH+と結合して、Aの窒素原子からの共鳴安定化を受ける。 3、画像の左の化合物の塩基性はピリジンよりも小さい。 上記の3つの記述のうち、誤っている選択肢を一つ選んでください。間違っている選択肢は訂正と解説を、正しい選択肢は、簡単で構いませんのでその理由を教えてください。よろしくお願い致します。

  • 積分

    以下に示す式の積分について解き方を教えて下さい。 v=4*A*π*∫e^-(B*v^2)*v^3*dv ここで、積分範囲は0から∞とする。 v^2=4*A*π*∫e^-(B*v^2)*v^4*dv ここで、積分範囲は0から∞とする。 なお,記号の読みはπ(パイ),v(ブイ)である。A,Bは定数である。

  • 【量子力学】エルミート共役と複素共役など

    量子力学が相変わらず難しすぎて、どこがわからないのかわからないという状況なのですが、 少し糸口になりそうな部分がわかったような気がするので質問させて頂きます。 複素共役を考えると、ブラケットでは、例えば  (1) (<ψ|A|φ>)^* = <φ|A^†|ψ> となり、同じものを波動関数の式では  (2) {∫ψ^*Aφdx}^* = ∫φ^*Aψdx (全空間で積分ということでdxとしています) のように書かれると思うのですが、エルミート共役はどのようになるのでしょうか?  (3) (<ψ|A|φ>)^† = ?  (4) {∫ψ^*Aφdx}^† = ? という意味です。 私が今思っていることとしては、「内積をとった(ブラケットが閉じた)もの全体に対するエルミート共役」 という概念を考えること自体がおかしいのではないか、などと考えているのですが…。また逆に、  (5) {A|ψ>}^† = <ψ|A^†  (6) {A|ψ>}^* = ? という疑問や、更にこれを波動関数の式((2)みたいな式のことです。何と呼ぶのかわからない…。)で書くとどうなるのか、 などなど、もう何も分かってない気がしてきます(^^;; とりあえず質問は上記の通りなのですが、(2)のような表記の意味がどうにもよくわからっていないというのが正直なトコロです。。 ブラケットなどの行列力学のような書き方は比較的しっくり来るのですが…。 波動関数というもの自体が、「関数だからベクトルじゃないの??」とか、 「順序とか関係なく、[ψ,φ]=0でいいの??」とか…。もうなんだか混乱しすぎ…orz という感じなので、どうかお救い下さい。 恐らく質問文が既にいろいろ間違ってたりするのでしょうが、何とか汲み取ってご教授くだされば幸いです。 いろいろ質問が多くなってしまいましたが、よろしくお願い致します。

  • ハミルトニアンのユニタリー変換

     原子核が原点に位置する,電子数 Z 個の原子と,光との相互作用を表すハミルトニアンを考えているのですが,ミニマル結合ハミルトニアンのユニタリー変換の過程が良く分かりません.教えていただけないでしょうか? ミニマル結合ハミルトニアンを    H' = (1/2m) Σ_{j} { p_{j}+ e A (r_{j}) }^{2}      + (1/2) ∫σ(r) φ(r) dr      + (1/2) (εE^{2} + (1/μ)B^{2}) とします.ややこしい式ですが,右辺第 1 項にだけ注目するので,説明は控えさせて下さい.  このハミルトニアンに対し    U = exp {- (ie/h~) Σ_{j} ∫_{0}^{1} r_{j}・A (λ r_{j}) dλ}     = exp {- (ie/h~) Σ_{j} B (r_{j})} なるユニタリー演算子を用いて H = U^{-1} H' U というユニタリー変換を考えます.  ただし,h~ = h/2π であり,また ∫ の積分範囲は 0 から 1 まで.また r_{j} は電子の座標です.A (r) はベクトルポテンシャル演算子です.B は,A の積分表記が複雑なので置き換えただけの演算子です.また p_{j} = p = - ih~ ∇_{j} は運動量演算子です.  H' の右辺第一項に対しユニタリー変換を行うと    U~{-1} { p + e A (r_{j}) } U = p - e ∇_{j} B + e A (r_{j}) となるらしいのですが,なぜこうなるのかが分かりません.具体的には,U^{-1} e A U = e A となるのは分かるのですが,U^{-1} p U = p - e ∇ B となるのが,なぜだか分かりません.  どなたか,ご教授いただけないでしょうか?

  • 化学の問題!!

    (a)水素原子AとBの1sオービタルをそれぞれφA、φBとして、2個の水素原子から水素分子が形成される様子(結合性分子オービタルΨb)を図示せよ。 また式(規格化定数は1とせよ)で表せ。 (b)上と同様に、反結合性オービタルΨaの形成の様子を図示せよ。 また式(規格化定数は1とせよ)で表せ。 (c)各水素原子の原子オービタルとそれからできる水素分子の2つのオービタルのエネルギー準位の概略図と水素原子と水素分子の電子配置を矢印を用いて示せ。 (d)上で求めた2原子分子のオービタルのエネルギー準位図に電子配置を記して、He2分子が存在しない理由を述べよ。 留年がかかってるのでどうかお願いします

  • 量子力学 共役演算子がわからない

    量子力学でノートを見返していました。 ダガーやブラケットが出てきますが、概念がいまいちわかりません。 というか何がわからないのかすらわからなくて困っています。 1.<a|b>=<b|a>∗ ひっくり返すと共役複素数になるのはわかるのですが、実際どんなことを言っているのかが・・・ 2.A^|a>=<a|A^ も同じくです。 3.共役というのとエルミートというのは同じことをいっているのでしょうか?? 4.ダガーとはいったいなんなのでしょうか? 5.<a|A^|a>=<a|A^+|a>*というのは1.の性質を使っているのだろうとは想像できるのですが、どうしたらこの等式が成り立つのかがわかりません。 6.O^|a>=b|b>の共役が<b|O^+=b*<b| 7.O^† = -O^ 8.共役演算子の性質として <f|A^|g>=<g|A^†|f>*が成り立つので、 (αA^)† = α*A^† (A^+B^)† =A^† + B^† (A^B^)† =B^† + A^† (A†)†=A^ が成り立つとあるのですが、どれもなんでこうなるのかがいまいちわかりません。 いっぱいあるのですが、根本からわかっていないので、説明があると助かります。 よろしくお願いします。

  • 物理化学の積分

    物理化学の反応速度論における積分の使用目的がわかりません。 積分型速度式というらしいのですが、一次反応において、その速さは -d[A]/dt=k[A] これを整理して d[A]/[A]=-kdt これを積分していくと速度式に変形されるのですが、この式を積分することにより何を求められるのでしょうか? たとえば、次に示すのは私の理解している積分の概念と、具体的な使用の意味です。 f(x)をx1~x2の範囲で積分すると、f(x)のグラフのx1~x2の範囲におけるグラフとx軸間の面積が求められますよね?で、このx1~x2の範囲がとっても微小な場合、f(x)のx1≒x2におけるx軸からの長さが求められますよね。 x1~x2の範囲がとっても微小な場合、f(x)を積分して求められる値は、f(x1)≒f(x2)だと私は考えております。 で、その範囲がだんだん広がって、値をどんどん積んでいけば、総合的な値が求められます。 そして、ここからが具体的な使用目的なんですが、 たとえば、速さvを、時間tで積分すると、その指定された範囲時間内の移動距離が求められます。 おなじく、基質の濃度の時間ごとの変化量を、時間tで積分すると、各瞬間の変化量がどんどん積み重なり、結果総合的な変化量が求められます。 私が知りたいのは後半のような具体的な意味です。 それとも、ここでの積分は変形して速度式を導くためのひとつの方法とでも考えたほうがよいのでしょうか?

  • 量子力学について

    2原子理想気体のモル比熱は2/5Rですが、 これを証明するのにハミルトニアンを用いて H=1/2m(px^2+py^2+pz^2)+1/2I(Pθ^2+pz^2/sin^2θ) より E=H=(kT/2)×5=5/2kT となっていました。 H=1/2m(px^2+py^2+pz^2)+1/2I(Pθ^2+pz^2/sin^2θ)の式の 導出を教えてください。 また参考サイトがあれば教えてください。

  • 「ベンジルアニオンの共鳴安定化」

    化学のお詳しい方に質問です。 (1)ベンジルアニオンのC(-)の電子はベンゼン環との共鳴を介して非局在化しているのか。 (ネット上にはしっかりとした共鳴構造式が書かれているものが多いのですが、問題集に「ベンジルアニオンが隣接するベンゼン環のp軌道と結合性相互作用をもたないため共鳴寄与効果は小さい」とあり、混乱しております。) (2)フェノールのO原子、ベンジルアニオンのC原子の混成軌道はsp2、sp3のどちらなのか。 (プロトン解離後に変化するのかも含めて) (3)上の疑問を踏まえたうえで、フェノール(C6H5-OH,pKa10)とトルエン(C6H5-CH3,pKa41)の酸性度の差はどのような理由からくるものなのか。 以上の点についてご教授ください。よろしくお願いします。