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水溶液の定義について
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> では教科書の3定義は誤りだとして、溶液とそうでないものとの定義を教えていただけますでしょうか? 水溶液とそうでないものの違いは、水に混じっている粒子の大きさです。 大まかな目安として、粒子の直径が1ナノメートル程度かそれよりも小さいときに水溶液といいます。粒子の直径が1マイクロメートル程度かそれよりも大きいときは水溶液とはいいません。その間の、粒子の直径が1nm~1μmの場合は、コロイド溶液といいます。粒子の直径が小さめのコロイド溶液は透明ですが、粒子の直径が大きめのコロイド溶液は不透明になります。不透明なコロイド溶液、例えば牛乳など、は、小学・中学の理科では、水溶液ではないものに分類されます。小学・中学の理科で使われる(かもしれない)透明なコロイド溶液としては、デンプン水溶液が考えられます。こちらはその名のとおり、水溶液に分類されます(濁ったデンプン液を使っているのであれば、デンプン水溶液ではなくデンプン水と呼ばないと生徒が混乱するんじゃないかと思う)。 > 水溶液の3条件、濃さはどこも同じ・沈殿物が生じない・透明であるの3つだったと記憶しています。 「透明であること」というのは水溶液の定義というよりも、その液体が水溶液かどうかを判別する方法のひとつ、と考えるのがいいでしょう。水に混じっている粒子の質量パーセント濃度がそれほど低くなくて、なおかつ水に混じっている粒子の色がそれほど濃くない場合には、透明か不透明かで水に混じっている粒子の大きさを判別することができますので、透明か不透明かで水溶液かそうでないかを判別できます。 目で見てすぐに分かるこの判別方法は、非常に優れた水溶液の判別方法です。ですけど、粒子の濃度が極端に低いときや、濃い色の粒子が溶けているときには、判定に失敗します。粒子の直径が大きくても、その数が少なくなれば、不透明度が下がりますから、十分に濃度が低くなれば透明に見えます。つまり水溶液でないのに水溶液であるかのように見えます。逆に、濃い色の粒子が溶けていて向こうが見えない水溶液の例としては、高校化学の実験で使われる過マンガン酸カリウム水溶液があります。 水に混じっている粒子の色が濃い場合でも、粒子の直径が小さくて濃度が薄ければ色の着いた透明の液になりますので、水溶液であると判断できます。この水溶液の濃度を濃くして向こうが見えなくなったとしても、粒子の直径が大きくなったのでない限りは、不透明でも水溶液です。 > 水に赤インクを1滴たらしたものは水溶液ですが、ではインクの量を増やして向こうが見えなくなれば水溶液の透明の条件が消えるので水溶液ではなくなるということなのでしょうか? 水に赤インクを1滴たらしたものが水溶液かどうかは、赤インクの成分の粒子の大きさに依ります。見た目では濁りがなくて透明に見えたとしても、粒子の直径が大きければ、水溶液ではありません。赤いものを水に一滴たらして透明になったということは、粒子の濃度が極端に低いということなので、見た目では水溶液かどうかを判断できません。 粒子の大きさがインクの量に依らないと仮定するなら、インクの量を増やして色が着き始めてから向こうが見えなくなるまでの状態から、水溶液かどうかを判断できます。澄んだ赤色が濃くなっていくなら水溶液です。濁った赤色(曇った赤色)が濃くなっていくなら水溶液ではありません。 インクの量を増やして向こうが見えなくなってしまった状態では、水溶液でないから不透明なのか、それとも水溶液だけど溶けている粒子の色が濃いから不透明なのかを、判断できません。 ということで、まとめると以下のようになります。 (1) 透明か不透明かで水溶液か否かを判断するのは、簡便で比較的正確な判別方法である。 (2) それでも、完全というわけではなく、判定に失敗することもある。 (3) 水溶液か否かは、水に混じっている粒子の大きさで決まる。 (4) 水溶液か否かの境目となる粒子の直径は、きっちりと決まっているわけじゃない。境目付近の液体のことをコロイド溶液という。
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