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有機化合物の結晶化について

大学で天然物由来の物質の単離と 構造決定を主に研究しています。 先日、植物の抽出物から 化合物一種を単離し、 NMRと質量分析を行いました。 その結果、 トリテルペン様の化合物だということが判明したのですが プロトンNMRのピークが至るところで重複しており、 さらに、カーボンNMRのピークも非常に近いところに2~3本ある ということから、 解析が困難で、もっと確実なデータを得る為に X線解析を依頼することになりました。 (私の所属する大学にはX線解析装置が無いため、他大学に依頼することになりました) そこで、結晶を作り始めたのですが X線解析に適した 程よい大きさの結晶を作ることができず、 (結晶が小さすぎて解析ができませんでした) 誘導体化して結晶性を上げることになりました。 今回単離したトリテルペン様化合物は NMR解析の結果から 一箇所、ヒドロキシル基があることが分かっていましたので、 そこにMTPAを結合させて トリテルペン様化合物のMTPAエステルを合成しました。 MTPAは本来、新モッシャー法で用いられる化合物で 化合物の立体構造を決定する為のものですが 今回は結晶性を高める目的で用いました。 その結果、 無事に適度な大きさの単結晶ができ、 X線解析を依頼することができました。 ここで疑問なのですが 結晶性を向上させる目的で利用される化合物は 他にどのようなものがあるのでしょうか? 今回のように結晶を作製してX線解析を依頼したのは 初めての経験だったので 周囲の人のアドバイスを聞き、 実験をこなすので精一杯で 結晶性が上がったメカニズムを考察するまで 考えが及びませんでした…。 MTPAエステル化体にしたことによって なぜ結晶性が向上したのかも疑問です。 大学の図書館などで参考書を探したのですが 結晶化に特化した本が見つからず 自分の力だけでは謎が解明されませんでした。 教えていただければ幸いです。 よろしくお願いします。

みんなの回答

  • phosphole
  • ベストアンサー率55% (467/834)
回答No.3

対象にする化合物によってもノウハウは全く違ってきますので、 脂溶性の有機~無機分子をやっている人間の感触程度で聞いていただければと思いますが、 まず、重い元素入っている方が結晶化しやすく、しかも良い結晶(ペナペナ板とか糸でない)になりやすく思います。重い元素は、分子間引力を強める効果が期待できます(ハロゲン結合とか)。臭素は良い選択です。 また、芳香環はたいがい良い方向に働きます。芳香環同士の相互作用や、分子内のC-H結合と芳香環パイ電子の相互作用といった、結晶を整えてくれる良い働きが期待できます。 なお、結晶自体の良し悪しと別に、X線回折の場合は反射の強さも重要です。 軽い元素ほど散乱しにくいので、炭素や水素ばっかりだと辛いですが、上記の臭素なんかが入っていると、臭素が効いて強い反射が得られますし、後々の解析の際も重元素の効果で初期位相が決めやすくなってくれるので、いろいろありがたいものです。絶対配置を決めるにも重元素が無いと難しいので、ブロモ安息香酸は優れた結晶化促進基ですね。

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回答No.2

午前にお答を書いたのだがパソコンが勝手にシャットダウンされてしまった、一瞬遅かった、便利だが時々分けの分からない動きをするバックアップソフトのせいらしい。同じ事を再度書くのは腹が立つが、お答一件では寂しい、前回は冗長だったので簡素に書く(初めからそうしろとは言わないで欲しいウツに落ち込む) 1.>程よい大きさの結晶を作ることができず、 私も経験があるが狂った様に探すと必ず良い溶媒はある。 私はアホなので結晶さえ出来れば良いや、それに重原子がある方が良かろう、と高価な4-ブロモアニリンなど使って合成し直した、THFから再結晶した、一応溶媒は探したが余り良いのが無い、直接の指導者だった講師に渡した、後で文句を言われた、臭素が多過ぎて水素が見えない、さらに結晶溶媒まで着いている、元素分析しないで出したのがバレバレだ、結果は満足出来るものだった、だがその結果が出る頃に、臭素など付けなくてもアセトニトリルならきれいに再結晶出来た事が分かった、講師はプリプリしたが口は私の方が達者だ詭弁を並べておいた。(大笑) 2.>MTPAエステル化体にしたことによってなぜ結晶性が向上したのかも疑問です。 これは非常に簡単、あなたの可愛い子(物質)はトリテルペンで水酸基がある、巨大な脂肪族アルコールだと言える、一方MTPAは芳香環を持って居るしエステルにしたから水酸基が消えた、芳香族は常に結晶性が高いその上極性基が消えたから変な「極性」部分が無くなって分子全体が無極性になった、それだけ。 3.>結晶性を向上させる目的で利用される化合物は他にどのようなものがあるのでしょうか? 有機珪素化合物、不思議でしょう。こいつらをくっつけると蒸気圧が上がるのでGC/MSなどにブチ込む時使いますが、結晶性も上がるのです。 4.>大学の図書館などで参考書を探したのですが結晶化に特化した本が見つからず 何処を探しましたか?鉱物関係はダメですよ、生物それも動物の成分(あなたのもそれだ)をX線にかける事に特化した書籍が少なくとも二十年前にはありました、その頃はX線しか構造が分からない化合物がごまんとあったのです。 以上アホな大先輩の言葉だと思って下さい。

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回答No.1

研究テーマとしてはNMRよりもX線による構造解析に近いことをやっている者です。 化合物としてエステル化した段階で元のターゲットと異なる物質になっていると思いますので、「エステル化によってなぜ結晶性が上がったのか?」という問いに強いて答えるとすれば「違う物質になったから」と言うしかないように思います。一般的に親水性のヒドロキシル基をエステル化すれば、エステルとして疎水性になることで水溶液中での凝集は起こりやすくなるのではないでしょうか。とすれば結晶性が上がるのは当然という気がします。 私は「結晶性を上げるためにエステル化する」というような構造改変は、元の化学組成の構造とは違うものになる可能性があるように思います。たとえエステル化した物質の結晶構造が決められたとしてもそれをもってエステル化以前の物質の構造(特に結晶の場合)とは言えないのではないか、という気がするのですが・・・?(もちろん分子構造の目星はつくと思います。)

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