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Siバンドギャップと絶縁破壊
(1)Si結晶のバンドギャップは1.12eV (2)絶縁破壊電界は0.3MV/cm程度 のようですが、(2)は(1)から概算できるのでしょうか?
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(1)電子の運動エネルギーが高くなりさえすれば、電離は起きます。エネルギーと運動量の保存が必要と言われてますが、高エネルギーでは運動量の保存は関係なくなるようです。 ただ、不思議なのは電子の孔と言われている正孔の方が電離し易い半導体(ゲルマニウム, SiC)があります。 (2)キャリア(自由電子, 正孔)の出自は問いません。熱, 光で発生したものでもよいし、電界によって電離した自由電子や正孔でも電離を引き起こします。 (3)衝突電離についての理論は勿論あるのですが、衝突電離係数を定量的に算出する段階には達していないのです。直接遷移と間接遷移の割合が問題というよりも、直接遷移に必要なエネルギーが簡単に得られる状況では間接遷移は問題にならないと思います。 細かな数値を特定する問題ではなく、高エネルギー現象の根本が分かってないのです。高エネルギー現象は返って単純であるような気がしますが...。 ついでに言うならば、この方面の理論は何十年も停滞してます。
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- d9win
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バンドギャップが大きいと絶縁破壊電界が高くなることは確かですが、数値的に算出はできません。 バンドギャップにしろ、絶縁破壊電界にしろ、明確に分かりきってないためです。 例えば、各半導体に対して絶縁破壊電界強度を特定することは出来ません。半導体の絶縁耐力(耐圧)は、耐圧保持領域で自由電子や正孔が加速されてシリコン原子に衝突して電子を切り離す現象が正帰還的に起こる電圧です。 ところが、この時の衝突電離係数が未だに正しく理解されてません。例えば、自由電子の衝突電離係数はシリコンでこそ正孔の値よりも大きいですが、ゲルマニウムや最近話題のSiCでは逆です。この理由の簡明な説明はなされていません。 また、シリコンやゲルマニウムのバンドギャップは通常1.1eVと0.6eVと言われてます。これは間接遷移に相応する値ですが、その他に直接遷移に相応する値があります。さらに、高エネルギー加速器で使われる半導体検出器では、正孔-自由電子発生エネルギーとしてさらに大きい値が使われています。 絶縁破壊電界は一つの目処です。サブミクロンで数Vの耐圧を保持する微細構造デバイスの絶縁破壊電界は、数百μmで数千Vの耐圧を保持するパワーデバイスよりも一桁程度大きいのです。 また、高エネルギーの衝突電離現象においては、正孔-自由電子の対発生は間接遷移に限られない可能性が高いはずです。 現状はこのような状況です。バンドギャップから絶縁破壊電界を算出できるのは遙か先の段階になります。
お礼
ありがとうございました. いくつか調べて考えてみました.以下の解釈でよろしいでしょうか. (1) 電界だけでSiから電子を直接切り離すことはできない. (理由はエネルギーと運動量が保存されないと励起は起きない.マクロな力qEは電子軌道に影響を与えないから) (2) 半導体の絶縁破壊は欠陥,熱,光など何らかの理由で確率的にわずかに存在しているキャリアが加速され,シリコン原子に衝突することによって起こる(臨界を超えて正帰還になったとき). (3) 衝突電離係数の理論が確立していない.また,直接遷移やフォノンを介した間接遷移がどの割合で起こるのか不明.などから,現時点ではバンドギャップと耐圧は定性的にしか説明できない. よろしくお願いいたします.
お礼
ありがとうございました.過去のご回答も拝見させていただき, イメージがつかめるとともに,半導体の不思議気づくことができました.